もう7月になりました。先月20日のことですが、長崎から珍しい魚がやってきました。
ホウボウ科ソコホウボウ属のオニソコホウボウという種類である。熊野灘から琉球列島、東シナ海に分布し、海外では台湾、中国、西太平洋に分布する。
オニソコホウボウもホウボウ科の魚で、胸鰭が大きい。胸鰭の色彩は暗い緑色で、胸鰭内側の下方は白っぽいのが特徴だ。ハナナガソコホウボウだと、胸鰭の内面に縞模様があるらしい。
上の写真のものとはまた別の個体。体の背面および体側上方には黄色に縁どられた暗緑色の斑点があり、ソコホウボウにもよく似ているのだが、ソコホウボウとは黒色斑の様子が異なっている。またソコホウボウは胸鰭内面に白い斑点があるが、本種にはない。またソコホウボウの吻棘はあまり伸びていないが、本種ではよく伸びている。吻棘がやはり長く伸びるハナナガソコホウボウとは、先述のように胸鰭の内側の模様や上膊棘の長さ(ハナナガソコホウボウは短く、オニソコホウボウでは長い)でも区別できるようだ。胸鰭の模様が見られないようなときにはこの特徴で見分けるとよいだろう。日本産でもう1種本種によく似たPterygotrigra cajoraroriは吻棘がかなり肥大している。この種については学名はあるものの、標準和名はいまだについていない。南日本の太平洋岸から西太平洋に分布しているようで、高知県のほか、遠州灘でも獲れている。
今回のオニソコホウボウは刺身にして食べた。きれいな白身である。味は薄いが、臭みもない。味が薄いためポン酢などで食べるととても美味しい。これは3匹分、1匹だけではこれの1/3となる。東海大学出版会の「東シナ海・黄海の魚類誌」では「漁業資源としての価値はない」などとぶった切られているが、これだけ美味しいものを価値がないとはなんたることか。昨今は特定の魚種に漁獲圧がかかっているのだから、様々な魚を食べて分散させることが正しいのだ。
今回は「印束商店」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます