魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

イトヒキオキハギ

2016年04月15日 11時31分23秒 | 魚紹介

昨日も一昨日も、魚の話題と言えばあの話題オンリー。いい加減にしてほしい。某氏の心中お察しします。マスコミはバラハタをソウシハギみたいにしたいのでしょうか。

これまで何回か小型底曳網の魚をこのぶろぐで紹介してきたが、今回はちょっとひといき。今年は新しく釣ったり買ったり飼ったり狩ったりした魚だけでなくこれまでに紹介できなかった魚も、というのは今年の正月ごろに述べた気がする。

フグ目・モンガラカワハギ科・オキハギ属のイトヒキオキハギ。

イトヒキオキハギが新種として記載されたのは2004年であるが、種標準和名はそのあとにつけられた。和名がつく以前から一部の釣り人の間では話題となっていた。

尾鰭が長くのびるのでイトヒキオキハギというのである。この個体は上葉のみ長いが、普通は下葉も同じくらい長くのびるようだ。

イトヒキオキハギの特徴は尾鰭だけではない。頬の部分に縦溝が3~4本あるのも特徴である。また体側の模様もオキハギとはだいぶ違っている。オキハギは体に黄色や青っぽい斑点があるが、イトヒキオキハギはそれらをもたない。ちなみに魚類検索図鑑の第二版において「オキハギ」とされたのはイトヒキオキハギで、第三版では終生がなされている。

日本におけるイトヒキオキハギの分布は沖縄島と八重山諸島とされたが書籍「与論島の魚類」でこのイトヒキオキハギを記載したひとり、松浦啓一氏が与論島で採集し「今回の与論島産の標本は北限記録更新となる」としている。この写真の個体は愛媛県で採集されたものであるが、これの標本を登録していないので北限の記録としては認められないようである。なおやはり写真だけの記録ではあるが、高知県宿毛市の沖ノ島では本種が防波堤でよく釣れるらしい。一方で「えひめ愛南お魚図鑑」の「オキハギ」のうち幼魚はこのイトヒキオキハギっぽい。

与論島で採集されたのは3個体で、水深は100m前後とかなり深い。一方この個体は愛媛県産で、定置網により採集された。「WEB魚図鑑」24199番と同一個体であると思われる。HN「うなぎα」さんから頂いたものであった。ありがとうございます。定置網であるためそれほど深い場所ではないだろう。また同所にアップされているイトヒキオキハギは20~40mほどの場所で獲れていてやはり深場ではないが、奄美大島のものは水深80mから獲れたものが掲載されている。南のほうではやや深い場所を好むのだろう。水温の問題か。今年5月のお出かけはやや深い場所でハタなどを釣りたいと考えているが、このような変わったゲストにも期待したい。

オキハギ

オキハギは食用魚で、刺身で食べたが美味であった。イトヒキオキハギを食用にするかは不明だが、混同されていたので気づかれないで食されているかもしれない。モンガラカワハギ科は北海道~九州までの地域ではあまり食されていないが、奄美以南ではよく食用となっている。しかしながらモンガラカワハギはシガテラ毒をもつ個体がいるともいわれていて要注意だ。またやはり何を食っているかわからないということもあり、カワハギと違って「肝醤油」とは考えないほうがよいだろう。

最後にオキハギ属2種の比較。上がイトヒキオキハギ、下がオキハギ。オキハギは高知県産で、やはりお友達に送っていただいたもの。感謝です。

オキハギ

イトヒキオキハギ

 

これほど違うのに同種と思われていたのは、モンガラカワハギ科魚類の中にはメガネハギのように雌雄により違う色彩や模様を呈するものがいるから、なのだろうか。


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