今回は久々に登場の高知県産の魚。スズキ目・タカサゴ科・タカサゴ属のササムロ。
ササムロはほかのタカサゴ科魚類と比べるとやや体高が高く、尾鰭に黒い線が入る。タカサゴ科魚類の中で尾鰭に黒い線が入るものはほかにクマササハナムロがいるが、クマササハナムロよりも体側にある帯が黄色く、幅が広いので見分けることができるだろう。
生鮮時ササムロは体が鮮やかなブルーで黄色帯はもっと明瞭である。胸鰭基部付近に黒色点があるが、これをもつのは本種とクマササハナムロくらいのよう。タカサゴなどでは胸鰭の内側が黒っぽくなるようだ。腹部は白いのだが、釣りあげられて少し経つと赤くなってくる。この個体も腹部がうっすらと赤い。
タカサゴ属は日本からはこのササムロのほか、ユメウメイロ、ウメイロモドキ、ハナタカサゴの4種が知られている。なお、属の標準和名になっている「タカサゴ」は本種ではなくクマササハナムロ属の魚である。またユメウメイロやウメイロモドキはウメイロと関連付けされることが多いが、ウメイロはフエダイ科の魚である。ただしタカサゴ科はフエダイ科と近縁で近年は再びフエダイ科の中に含められることもある(従来もフエダイ科の中に入れられていた)。
タカサゴ科の魚は基本的に熱帯性の魚であるが、一部の種は九州以北の太平洋岸でも時々見ることができる。私はササムロをこの高知県のほか、愛媛県でも見ているし、このぶろぐにおいても以前三重県の尾鷲の定置網で漁獲されたササムロの幼魚を掲載している。関東沿岸でも年によっては見られるが、関東近辺では越冬できない死滅回遊魚である。本種は沖縄では「ひらーぐるくん」と呼ばれるが、唐揚げなどにするにはタカサゴやクマササハナムロより大きいよう。この個体は刺身で食したがかなり美味であった。
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