魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ハナアマダイ

2022年07月07日 23時02分46秒 | 魚紹介

今回珍しい魚が鹿児島から届いたのでご紹介。スズキ目・アマダイ科・アマダイ属のハナアマダイ。

ハナアマダイは鹿児島県奄美諸島~沖縄諸島近海に生息するアマダイの一種。アマダイ科の魚は日本から4種が知られているが、琉球列島の魚市場で見られるのは本種くらいのものなので珍しい。

今回は鹿児島県産の個体。沖縄島近海では通常水深100~200mほどの場所から釣りや延縄などで漁獲されているが、本種もそのように漁獲されたものと思われる。従来からその存在は知られていたのだが、2012年になってようやく新種記載がなされたものである。本種は沖縄美ら海水族館で飼育例があるようだ。また、沖縄美ら海水族館ではROV調査を行っている。それによれば本種は泥底の海底に穴を掘ってすむらしい。アカアマダイなどでも同じような生態が知られている。なお、ハナアマダイが我が家にやって来るのはもちろん初めてなのだが、以前奄美大島へ遊びに行った際に名瀬の港に本種が水揚げされていたことがあった。

従来アマダイ科の学名はBranchiostegidaeとなっていたが、現在はLatilidaeとなっている。この科は3属ほどが三大洋の暖かい海に生息している。なおチリアマダイProlatilus jugularisという南米産の種はアマダイ科とされていたが、現在はトラギス科に含まれる。「ブルーコッド」とも呼ばれるミナミアオトラギスParapercis coliasというニュージーランド産種もいるが、これもトラギス属ではなくこのProlatilus属へ移すべきなのかもしれない。従来は英語圏などで特にアマダイ科はキツネアマダイ科の亜科とされていたこともあった。一方日本では従来から別科とされていたが、Fishes of the worldなどに従い、Wkipediaなどではキツネアマダイ科の中に入れられるなど、混乱が生じた。

ハナアマダイの特徴はいくつかあるが、まず頭部。頭部にはキアマダイなどに見られるような眼下の白い線はない。またアカアマダイのような眼後方の銀色をした三角形の模様もない。頬中央部の鱗列については、ほかの鱗よりも明らかに大きい2列の鱗からなる鱗列がある。眼に青い模様が入りとても美しい。

背鰭前方の背中線があり、黒くなっている。しかし魚類検索の第三版では背鰭前方の背中線が黒くない、とされているのに、この個体は明らかに黒いんですが。うーん。

背鰭の前方の鰭膜に暗色斑があるが、この個体ではあまり目立っていない。スミツキアマダイなどでは背鰭の暗色斑がよく目立つ。

尾鰭の色彩はキアマダイなどほかのアマダイに似ている。シロアマダイは尾鰭に細かい横帯が多数入るのでハナアマダイなどのほかのアマダイと見分けられる。水中では黄色い縦線が2本入るのが目立つが、この個体では目立たない。大きさの違いもあるかもしれない。この個体は全長40cmほどになる大きめの個体であった。

アマダイは色々な料理に向いているが、今回は塩焼きにして食べた。焼いても身がぷりぷりでかなり美味しい。シロアマダイが高級魚としてよく知られるアマダイ科の魚たちではあるが、ほかのアマダイもみな美味である。今回ハナアマダイを食したので、まだ食していない日本産のアマダイ科魚類はスミツキアマダイのみとなった。しかしこの種は東シナ海に生息しているものの、その主分布域は男女群島近海~台湾までの東シナ海、韓国近海であり、なかなか手に入れるのは難しいかもしれない。長崎の魚市場でさえなかなか見られないのだとか。なお学名はBranchiostegus okinawaensisで、英語名はOkinawan tilefishという。英語名は本種の現記載論文で使用されていたもので、Fishbaseのコモンネームではない。というか、なぜかFishbaseでは項目がなかった...

今回のハナアマダイも、鹿児島市 田中水産 社長 田中 積さんより。ありがとうございました!


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