魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

アネサゴチ

2016年02月16日 19時25分00秒 | 魚紹介

この間某「魚図鑑」への批判的な記事を書いたあと、その件について魚図鑑の運営者の方から対応について返事がかえってきた。かなりよい対応でありちょっと、ほっとした。その後日曜日には珍しいソコダラの仲間を見せてもらった。その某魚図鑑には現在3209種が登録されているという。そのうち私が登録したのは875種、データ数でいえば2201データとなる。しかしそれでも古いPC内データを探っているとまだ登録していない魚も多数出てくるのである。

アネサゴチもそんな魚である。アネサゴチは某図鑑にも登録がない魚で、珍しいもの、と思いきやそれほど珍しいものではない。2010年夏に小型底曳網の船に乗せて頂いたことがあったが、そこで採集されたさまざまな魚、そのなかの一種である。

ぶれていて見苦しいのですがご了承ください。採集されたときはオニゴチとおもっており、もしかしたら標本も「オニゴチ」として登録しているかもしれない。しかし胸鰭の様子がオニゴチと違うと思い、検索図鑑や「南日本太平洋沿岸の魚類」で調べまくっていたら、この種に当たった。

コチの仲間は意外と難しいグループである。小さいコチはほとんど「メゴチ」としてしまいがちだ。ちなみに釣り人がいう「メゴチ」というのは多くの場合ネズッポの仲間のことをいう。関西ではガッチョ。ノドクサリなんていったりもする。じゃあ関東の人はコチ科のメゴチを釣ったらなんていうのだろうか。釣りの本などにおいてはネズッポ類の釣り方の紹介のところに標準和名メゴチのイラストが掲載されている(写真はメゴチではなくネズッポ類であることが多い。コチ科のメゴチはあまり釣れないからね)。

結構脱線してしまったので、アネサゴチの話に戻る。アネサゴチはコチ科・アネサゴチ属の魚である。アネサゴチ属のコチはインドー太平洋の暖かい海域に生息し、8種が有効種のようである。うち日本には3種が生息している。先ほど名前が出てきたオニゴチもアネサゴチ属に含まれている。この属のもう1種はセホシオニゴチという熱帯性のコチの仲間で、2006年に新種記載された種。タイプ標本の中に沖縄県水納島産の標本が含まれる。

こちらはオニゴチ。オニゴチは関東沿岸および新潟県~九州、東シナ海に分布している。アネサゴチもほとんど同様の分布域、どちらの種も水深70mあたりの場所を曳く小型底曳網漁業ではよく漁獲されるよう。こちらのオニゴチは底曳網で直接漁獲されたのではなく、アンコウの口腔内から採集されたものである。

アネサゴチの特徴は頭部の棘にある。棘のある眼下骨隆起線が眼の側方で分断されているという特徴だ。オニゴチは、これが分断されていない。

ちょっとわかりにくいので色でマークしている。このマークしているところの間で分断されているのだ。上の写真と比べてほしい。このほかの特徴としてはオニゴチが体側に明瞭な暗色横帯が4本ほどあるのに対し、アネサゴチは目立つ横帯がないなどの特徴がある。

アネサゴチは水深150mほどの場所まで漁獲されるようである。これらの個体は2009年に沖合底曳網「海幸丸」、土佐湾の水深150mくらいの場所で漁獲されたもの。このときはこの種をセレベスゴチと思っていた。なかなかコチの類は難しいものである。

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