以前送っていただいた魚。スミツキヨウジという大きなヨウジウオの仲間。
沖合底曳網は水深100~300mをひくことが多く、本種も水深100mまでの海底に生息するとされている。わが国では高知県の柏島や沖ノ島に生息することは知られているが、鹿児島県の新聞社「南日本新聞社」のサイト「何でも質問隊」というコーナー(2005年3月12日本誌掲載分)のなかで、本種と思われる魚の写真が掲載されている。この標本も鹿児島県産である。
普通のヨウジウオの仲間は体がもっと細長いが、このスミツキヨウジは体が太い。全長も40cmほどになる巨大なヨウジウオだ。スミツキヨウジの特徴は尾部にある。尾鰭がなく、タツノオトシゴの仲間のように尾部自体が何かに巻きつくことができる形状になっている。実際にこの種はタツノオトシゴに近いらしい(タツノオトシゴ亜科)。
スミツキヨウジ属は5種が知られているが、その多くはオーストラリアや、ニュージーランド近海に分布している。本種はこの仲間では唯一日本に分布している種で、日本の分布は先ほど述べた。海外では台湾、澎湖、中国、オーストラリア北西・北東沿岸に分布している。
残念ながら上のスミツキヨウジ、もう現物は残っていない。この個体は耳石を採取したが、残念ながら標本を残すことができなかったのだ。
2013年にもこのスミツキヨウジをおくっていただいた。しかも今度は2個体である。上と下でやや形状が異なっているがこれは雌雄の差である可能性が高い。上の個体のおなかが膨らんでいるのは雄で、卵もしくは仔魚を持っているのかもしれない。となれば下は雌であろう。これらの2個体はもうすでに博物館へおくってあり、今度はちゃんとした文献になるのかもしれない。
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