魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ホシホウネンエソ

2022年11月02日 13時14分02秒 | 魚紹介

昨日は久しぶりのお仕事。先月はお出かけなどしており7日しか働くことができなかった。ということで、昨日「10月に入手したヘンテコ深海魚便の魚の紹介は最後」としていたが、紹介しておかなければいけないのにもかかわらず紹介できていなかった魚がいたのでここでご紹介。ワニトカゲギス目・ムネエソ科・ホウネンエソ属のホシホウネンエソ。

カタホウネンエソ

「ヘンテコ深海魚便」ではカタホウネンエソが最多で、ほかのホウネンエソ属は珍しい。日本には8種のホウネンエソ属魚類が分布しているが、駿河湾で見られるのはそのうちの5種である。カタホウネンエソ、ノコバホウネンエソ、スルガホウネンエソ、ミツユビホウネンエソ、そしてこのホシホウネンエソである。

ホシホウネンエソの後側頭骨棘

カタホウネンエソの後側頭骨棘

ホウネンエソ属には2タイプあり、それは後側頭骨棘の大きさにより分けられる。このホシホウネンエソは後側頭骨棘が小さく分岐していないことにより、カタホウネンエソなどの後側頭骨棘が大きく分岐するタイプと見分けることができる。

ホシホウネンエソの背鰭前黒色帯

先述の「後側頭骨棘が小さく分岐していない」ホウネンエソ属の魚は、駿河湾にはほかにスルガホウネンエソとミツユビホウネンエソというのがいる。いずれも駿河湾の特産種のようで、後者は学名さえ決定していないよう(従来使用されていた学名の種とは別種とされる)。これらとはホシホウネンエソの体側にある背鰭前黒色帯が体側中央線を越えることで、こえないこの2種と見分けられる。このグループのもう1種チュラプシホウネンエソも同様に背鰭前黒色帯が体側中央線を越えるが、ホシホウネンエソはその下端がとがるのに対し、チュラプシホウネンエソは丸い。なお、チュラプシホウネンエソはフィリピンと与論島に産しているが、そのうち沖縄、もしくは九州南部でも見つかる可能性はあるだろう。

ホシホウネンエソ

脂鰭はあるのだが、この個体では写っていない。この類は結構体がボロボロになりやすい。そのため、脂鰭が切れていたりする。この間このぶろぐでもご紹介したギンザケイワシも、普通はしっかりした脂鰭を有しているのだが、擦れるなどして小さくなってしまった。

ホシホウネンエソはわが国では東北地方太平洋岸~琉球列島近海までの太平洋岸、伊豆・小笠原諸島近海、九州-パラオ海嶺に分布している。海外では西太平洋の北半球からハワイ、天皇海山にまで分布している。タイプ産地は熊野灘とされているが、熊野灘では普通種なのだろうか。

深海魚らしいルックスで人気の本属魚類であるが、食してもよい。この仲間は揚げ物や焼き物にすると、同じ脂鰭を有するグループ、つまりサケやワカサギなどに似た味がする。唐揚げはなかなかうまい。今回のホシホウネンエソも「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。いつもありがとうございます。


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