本の記事はまた今度。今回はナンヨウキンメとともにいただいた魚類のご紹介。スズキ目・フサカサゴ科・シロカサゴ属のシロカサゴ。シロカサゴはこのぶろぐで紹介するのはこれが2回目。前回の記事はこちら。
シロカサゴはフサカサゴ科ではなく独自の科Setarchidaeにされることもある。日本産魚類検索の第二版ではフサカサゴ科の中にフサカサゴ亜科のほか、メバル亜科、ハチ亜科、シロカサゴ亜科、ミノカサゴ亜科、ヒメキチジ亜科、キチジ亜科、ヒレナガカサゴ亜科を含めてきたが、第三版ではフサカサゴ科にはフサカサゴ亜科のほかにはシロカサゴ亜科とミノカサゴ亜科が残り、他は現在は独立した科として扱われている。カサゴの仲間は概ね海底に生息しているが、このシロカサゴ亜科のメンバーであるクロカサゴなどは大きな胸鰭を使って中層を泳いでいるのだという。
背鰭棘数は11~13棘で、鰭棘には毒があり刺されると痛むことがある。取り扱いには注意しなければならない。底生動物などを捕食しているとみられるが、今回の個体は胃が反転しており、胃内容物を確認することはできなかった。
同じ属のアカカサゴとの見分け方は以前このぶろぐでも紹介していたと思うけれど再度UP。以下の特徴で見分けることができる。
シロカサゴの頭部。前鰓蓋にある棘のうち2番目の棘が1・3番目の棘よりも極端に短いということはない。
一方こちらはアカカサゴの頭部。前鰓蓋部の2番目の棘が1・3番目の棘よりも極端に短いのが特徴である。ただしこの棘の長さについては色々な段階のものがあり、これだけでこの2種を同定することができるのかという声もある。色彩的にはアカカサゴは赤色であるが、シロカサゴのほうは紫をおびた赤色という感じに思える。ただし冷凍などしてしまうと見分けるのは困難になってしまう。生息水深はどちらも100~1000mほどで、どちらも200m以深に多く見られる。ただし個人的にはシロカサゴのほうが深場に多いように思える。2009年の沖合底曳網ではシロカサゴの成魚は1匹しかみられず、ほかは幼魚であった。一方アカカサゴは数多く見られた。
●シロカサゴを食す
食味については前回のナンヨウキンメと同様、多くの図鑑で不味とdisられている(例えば北隆館「原色魚類大圖鑑」など、同書396頁のシロカサゴの項目で「不味」との記述がみられる)シロカサゴであるが、今回は食してみることに。
前回のナンヨウキンメの中骨を含むほかの魚と一緒に煮つけで食べることに。皿の上の方にある大きな赤い魚がそれである。なお我が家ではめったなことでは魚の頭が食卓にのぼることはない。肝心な味についてはかなり美味であった。
こちらはおそらくシロカサゴの卵と思われるもの。シロカサゴの繁殖様式はよく知られていないが、卵生ではないかと思われる。このシロカサゴもナンヨウキンメと同じく長崎 印束商店の石田拓治さんから。いつもありがとうございます。
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