高知県産のカマヒレマツゲハゼ。ハゼ科サルハゼ属の魚であるが、この個体は私が採集したものではなく、同行していただいた、「ばなんさん」さんが採集したものをいただいた。ありがとうございます。
その名の通り、背鰭が「カマ」のようになっているのだが、写真では頭部にある青輝点がよく目立っている。また、体側にも細かい模様が入る美しいハゼの仲間である。干潟や内湾の泥底にすむハゼの仲間は通常のサンゴ砂ではこのような微妙な色彩を再現できないことが多い。この水槽ではシーケム社「グレイコースト」を使用。ただ黒いだけではなく、pH低下の抑制やミネラル分の溶出という効果がある。リフュージウムなどで使用されるマッドを使用するアクアリストもいるようだが、こちらのほうが扱いやすいだろう。なお、水草用のソイルなどは絶対に使用してはいけない。シーケム社の日本代理店はLSS研究所なので、ほかのLSS研究所の製品があるお店ならば、入手できる可能性が高いと思われる。
こちらはまた別の個体。このくらいの大きさになれば「マツゲハゼ」の名前の由来となっている「まつ毛」がしっかり見えるだろう。このまつ毛のような皮弁により、日本産サルハゼ属のほかの種と見分けることができるだろう。この特徴を有するもう1種、マツゲハゼは体側の黒色点が少ないとされる。ほかにもタネハゼやクロコハゼなどが見られ、この個体を採集した場所のハゼ類の種数は予想よりもずっと多そうであった。来年こそは自分で採集したい。
分布域は静岡県以南、和歌山、高知、鹿児島、琉球列島。海外では西~中央太平洋、インドネシアに分布する。