魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カマヒレマツゲハゼと底砂

2022年10月26日 22時35分57秒 | 魚介類飼育(海水)

高知県産のカマヒレマツゲハゼ。ハゼ科サルハゼ属の魚であるが、この個体は私が採集したものではなく、同行していただいた、「ばなんさん」さんが採集したものをいただいた。ありがとうございます。

その名の通り、背鰭が「カマ」のようになっているのだが、写真では頭部にある青輝点がよく目立っている。また、体側にも細かい模様が入る美しいハゼの仲間である。干潟や内湾の泥底にすむハゼの仲間は通常のサンゴ砂ではこのような微妙な色彩を再現できないことが多い。この水槽ではシーケム社「グレイコースト」を使用。ただ黒いだけではなく、pH低下の抑制やミネラル分の溶出という効果がある。リフュージウムなどで使用されるマッドを使用するアクアリストもいるようだが、こちらのほうが扱いやすいだろう。なお、水草用のソイルなどは絶対に使用してはいけない。シーケム社の日本代理店はLSS研究所なので、ほかのLSS研究所の製品があるお店ならば、入手できる可能性が高いと思われる。

こちらはまた別の個体。このくらいの大きさになれば「マツゲハゼ」の名前の由来となっている「まつ毛」がしっかり見えるだろう。このまつ毛のような皮弁により、日本産サルハゼ属のほかの種と見分けることができるだろう。この特徴を有するもう1種、マツゲハゼは体側の黒色点が少ないとされる。ほかにもタネハゼやクロコハゼなどが見られ、この個体を採集した場所のハゼ類の種数は予想よりもずっと多そうであった。来年こそは自分で採集したい。

分布域は静岡県以南、和歌山、高知、鹿児島、琉球列島。海外では西~中央太平洋、インドネシアに分布する。

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ロイヤルデムワーゼル

2022年10月25日 22時45分11秒 | 魚介類飼育(海水)

個人的にはスズメダイの仲間が好みで色々飼育している。きれいなわりに安くて、丈夫な魚なのであるが、性格が強めということであまり注目されにくい。このスズメダイ、ロイヤルデムワーゼルは我が家にやってきてまもなく1年になる種。90cm水槽で飼育しているためか、あまりひどい喧嘩にはなっていないように思える。このほかに水槽にいるスプリンガーズデムワーゼル近縁種や、以前ご紹介したハクセンスズメダイ、フィジータルボッツらとともに元気に水槽内を泳ぎ回っている。

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ギンザメ

2022年10月24日 18時05分25秒 | 魚紹介

この間今漁期初の「ヘンテコ深海魚便」を購入。はじめてギンザケイワシが入っていて感動した。それと同じ箱にはいっていた深海魚。軟骨魚綱・全頭亜綱・ギンザメ目・ギンザメ科・ギンザメ属のギンザメ。

ギンザメ属の魚は世界中の深海に生息する。日本産は3ないし4種、世界的には20数種が知られている。日本産の中ではジョルダンギンザメが相模湾と東シナ海、シロブチギンザメが相模湾と八重山諸島に分布しているが、漁獲されているほとんどがギンザメである。この3種はいずれも臀鰭があり、尾鰭下葉との間に欠刻があるのが特徴。ギンザメはほかの2種とはことなり、側線が細かく波打っているので見分けられる。この科の現生のものはギンザメ属とアカギンザメ属の2属からなり、世界からは50種近く知られている。うち日本産は7種。

もう一種、ギンザメダマシというのがいる。これは側線が細かく波打っているのでギンザメに似るが、側線よりも上方に破線の横帯がある。また臀鰭もないのでギンザメと見分けられるが、見分けは簡単ではないかもしれない。この種はアカギンザメ属とされているが、海外の文献ではアカギンザメ属ではなく、ギンザメ属とされている。ただこの種は日本からの記録が少なかったが、近年相模湾や駿河湾などで漁獲されている。今後、本種が多く産するオーストラリア近海の個体群との比較研究が必要だろう。

ギンザメの背鰭。この背鰭には毒があるともいわれ、刺されないように注意する必要がある。この写真では側線が波打っている様子も観察できる。

ギンザメはあまり食用にされていないが、「フカの湯引き」の中にはギンザメ類も多少含まれるようである。ニュージーランドにはホシギンザメというアカギンザメ属の大型種がおり、それが使われるらしい。漁業者の間では「ギンブカ」と呼ばれるが、「フカ」というのは大体がサメのことを指すものの、ギンザメの仲間はサメの含まれる板鰓亜綱とはかなり縁遠い存在なので注意が必要。今回は刺身にして食べた。身にはまったく臭みがなく極めて美味しいし、軟骨魚綱なので骨も煩わしくない。一方肝は美味しくなかった。前回のアカギンザメは非常に美味しいものであったのだが、なぜだろうか。

今回も「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。いつもありがとうございます。

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ツートンのヤッコアミメサンゴ

2022年10月23日 21時37分48秒 | 魚介類飼育(海水)

我が家のイマイチな環境でもよく育ってくれるのがヤッコアミメサンゴ。枝状の欠片をフラグプラグにつけたもの。しかし、改めてみると色が微妙に違う。全く同じ群体の欠片を付着したのに、このようになっている。照明の当たり具合で色が変わってしまったのかもしれない。そのおかげで、下に垂れ成長したところの色彩も色が混ざっているように見える。グラフテッドモンティは高いし、ウミウシがついている可能性があるので手を出しにくいが、グラフテッドヤッコアミメサンゴは飼育しやすいし成長も早くあまり高価ではない。もっとも、この色彩のものはなかなか手に入らないのだが。

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ギンザケイワシ

2022年10月22日 23時00分36秒 | 魚紹介

標準和名に「サケ」「イワシ」とついていても、サケでもイワシの仲間ではない魚。ニギス目・ソコイワシ科・ギンザケイワシ属のギンザケイワシ。どうやらソコイワシ科はこのぶろぐ初登場のようだ。この科の魚は日本では8種ほどが知られているが、食用にされることはほとんどないのでほとんどなじみがないだろう。そもそもニギス目の魚自体、ニギス科くらいしか食用にされておらず縁遠い魚といえる。

この仲間は2つの亜科に分けられている。それぞれBathylaginaeMicrostomatinaeであるが、ギンザケイワシ属は後者に含まれる。そのほかのソコイワシ科魚類は前者に含まれる。またギンザケイワシ属は従来はニギス科に含まれていたことがある。MicrostomatinaeはほかにMicrostoma属と特殊な眼を有するXenophthalmichthys属も含まれているのだが、日本に生息するのはギンザケイワシ属のみである。ソコイワシ科にはよく似た名前のギンソコイワシというのがいるが、こちらは幾分口が大きい。また亜科もBathylaginaeのほうになっている。ちなみにこれらの亜科の標準和名はあるか不明である。

ギンザケイワシの特徴は眼が非常に大きく、口がとても小さいことである。ただしそれでも口の後縁が眼の前縁を超えないソトイワシよりは大きい。日本産ギンザケイワシ属のもう一種であるクロサケイワシはギンザケイワシよりも吻がやや長いことや、鰓耙の数で見分けることができる。第1鰓弓下枝の鰓耙数はギンザケイワシで18~23、クロサケイワシでは15~17とされており、ギンザケイワシのほうが多いようだ。分布域はギンザケイワシのほうが広く、東北地方太平洋沖、相模湾、熊野灘、土佐湾、沖縄舟状海盆。海外ではインド—西太平洋に生息する。クロサケイワシは東北地方太平洋岸、海外ではアラスカ~カリフォルニア沖にまで生息する。なおクロサケイワシの学名はNansenia sanrikuensisとされたが、これはNansenia candidaのシノニムとされる。北太平洋の亜寒帯の深海魚は太平洋の東西にわたる分布域をもつような種が多いような気もする。

なお、このギンザケイワシは私が初めて見たソコイワシ科魚類ではない。このほかにトガリイチモンジイワシも見ているし、クロソコイワシも見ている。ギンザケイワシも以前いただいたもの(東北地方太平洋岸産)を見ていた。なお、今回のギンザケイワシは静岡県戸田の「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。いつもありがとうございます。

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