自分で曲を書くアーチストがじわじわ増えてきている香港ポップス界。曲も詞も書けばダンスの振り付けもする、強烈な新人が出てきた。
86年生まれの23歳、アメリカのコーネル大学でダンスと心理学専攻。学生時代からアカペラグループLast Callのリーダーとして、全米各地で公演するなど、音楽活動に取り組んできた。香港に戻ってから、ミュージカルに出演したり、譚詠麟(アラン・タム)&李克勤(ハッケン・リー)のコンサート「左麟右李」に参加。莫文蔚(カレン・モク)と親交があり、そのつてでプロデューサー趙増熹、作詞家林夕の支持を得る。
デビューアルバムの曲はすべて自分で作曲・アレンジ・プロデュース。広東語詞は林夕門下生の林日曦、北京語詞は林夕が手がけた。作曲協力アレンジプロデュースに趙増熹、シンガポールの唐達。
8トラックまでが、3トラックの短いアカペラを含むメインの広東語曲。後半5トラックに広東語曲の北京語版や英語版を収録。英語詞は本人が書いた。
先行オンエアの「羅茲威爾」は英語版で「Rosewell」、アメリカでドラマにもなった、UFOが着陸したといわれる場所のこと。オルタナ系のラップに宇宙人をイメージした歌詞。2ndオンエアの「1+1」は漢字だと「一加一」、きれいなメロディのR&Bバラード。北京語版「幾米」は、本来の意味「何メートル」と、「向左走向右走」「地下鐵」などで知られる台湾の絵本作家・幾米をひっかけた、林夕らしい凝った歌詞。
リリース後には「模」「南北極」のダンスチューンもオンエア。MVではしっかりダンスを披露している。
複数バージョンある曲は、バージョンごとに少しずつメロディやアレンジが違い、“使いまわし”感より表現の幅を感じる。コーラスも全部自分で入れていて、一人ゴスペラーズ状態になってくる。アカペラグループを率いていただけあって音の重ね方がよくわかっていて、包み込まれる感じが心地よい。
若くて踊れて歌えて書けて、、、ルックスは写り方に気をつければ悪くない(笑)。会社は東亞。すでに実績のある人が多く、細々面倒はみない代わりアーチストの自由にやらせる会社からデビューするだけあって、もう自立しているというか^^; すでに公式サイト・ブログ・facebook・Twitterなども自分で完備、どこからでもかかってこい!状態だ。さすがにその辺は今の若い人
今まで香港になかったタイプの“唱作人”。さて、どんなふうに受け入れられるだろうか? こんなアーチストが認められていくようだと、香港ポップスも広がりが出てくると思う。