どちらも女子では簡単にできない大技。それが“売り”で得点源で、だけど失敗したらダメージ大きく、、、悩ましい
フィギュアスケート・グランプリシリーズ第6戦ロシア大会、女子SP。浅田真央はトリプルアクセルを跳ばずに高得点で首位に立った。アデリナ・ソトニコワは3回転ルッツ+3回転ループに挑戦し、転倒した。
生じゃない放送にも使い道はあり^^; 「3回転ルッツ+3回転ループのコンビネーションは、女子シングル史上3人しか成功させてない」なんて情報はありがたいかも。
男子も含めて、たいていの選手はコンビネーションのセカンドにトウループを跳ぶ。6種類のジャンプのうち、最も難度が低いとされ、基礎点も低い。ループはトウループより基礎点が高いが、トウをつかない分、勢いが足らないと回転不足になりやすい。
3回転+3回転に挑戦する女子は、トウループ+トウループから始める人がほとんどだ。サルコウが得意な選手はサルコウ+トウループだろうか。トゥクタミシェワはフリップ+トウループで稼いでいる。ルッツ+トウループは男子がSPで点を取りに来る組み合わせといえる。
ルッツで転倒してしまったソトニコワ、次のフリップのあとに2回転トウループをつけてリカバリーした。このセカンドジャンプを3回転にするくらい、彼女のジャンプの実力なら簡単にできそうな気もするが、、、そうそううまくいかない?
易しいはずのトウループだが、苦手にする選手もいるようで^^; 安藤美姫がインタビューで「実はトウループが苦手なんです」と語るのを読んだことがある。そういえば、安藤選手はコンビネーションのセカンド、サードはループが中心だ。ダブルアクセル+3回転トウループが成功するとすごく喜ぶのは、得点が高いこともあるが得意でないジャンプをこなせたからでもあるらしい。
ソトニコワは今シーズン初戦の中国大会SPで、今回とまったく同じ状況になった。冒頭のルッツで転倒、フリップのあとにダブルトウループ。スピンやステップで獲得したレベルも同じで、基礎点はぴったり一緒 今回の方がいい点を出しているのは、各要素の加点と演技構成点がよかったから。
中国大会では、SPでもフリーでも、ルッツジャンプが全部踏み切りエッジエラーの判定を受けている。今回転倒したルッツは大丈夫だったけど、相当気になってるのかな、、、
ルッツ+トウループで3回転+3回転を跳び、フリップを単独にしたら、それだけで3~4点上がるはず。それをしないのは、もしかしてトウループよりループのほうが得意? 優勝したジュニア世界選手権のSPではルッツ+トウループを跳んで、トウループが回転不足判定だった。フリーではダブルアクセルとのコンビネーションでしか3回転トウループを跳んでない。ルッツとループで2種類の3回転を2回跳ぶので、トウループは1回しか3回転を跳べないわけだが、2回転も1回しか跳んでなくて、3回転+2回転+2回転の3連続コンビネーションもやってない。
中国大会のフリーでは、ダブルアクセル+3回転トウループなどを予定していたと思われるが、結局冒頭の3回転ルッツ+3回転ループしかコンビネーションができなかった。SPで2位との差が6点以上ついた今大会のフリーは、どんな選択をしてくるだろうか?
浅田真央が「ダブルアクセルでも点が取れる」と“開眼”したのは大きい。挑戦をやめるわけではなく、自信を持って跳べるようになったときは跳ぶ、という決意。ここまでの練習で、「必ず試合で跳べるようになる」と感じているからこそ、あえて跳ばないことが新しい選択肢になった。
スピンがちょっとゆっくりかな、と思ったら、英語の解説者が"I think she needs more speed in rotation of spins."という。と思ったら「先生は『スピンの練習が必要だ』って言いました」。あら、やっぱり^^;
でもまあ、首位に立ってるので、気持ちに余裕をもってフリーは滑れるだろう。美しい「愛の夢」が楽しみ
0.38点の僅差で2位につけたアリョーナ・レオノワ、コーチをモロゾフ氏に変えて生まれ変わった感じ。ジュニア時代の勢いで跳ぶジャンプではなく、しっかり回って下りる技術のジャンプになって、安定した。振付もうまく彼女のキャラに合ったもので、大人の表現を演技全体でできるようになった。この調子だとフリーもかなりいい演技をしそう。
優勝争いという点では、真央ちゃんとレオノワが断然有利だが、表彰台の一角なら、3位のソトニコワから8位のレイチェル・フラットまで、十分ねらえそう。今井遥ちゃん、ほどよく背が高くて手足長くて、色白で黒髪に切れ長の目、平安美人 長久保コーチの元でジャンプを強化し、次は佐藤有香コーチの元でスケーティングを強化…作戦は着実に成果をあげつつある。フリーも頑張って!
夜のフリーに備えて休んでおこう(笑)
(ネタばれあり。テレビ放送を先に見たい方は放送後に読んでください)
フィギュアスケート・グランプリシリーズ最終戦ロシア大会、真央ちゃんが素敵だった女子SPは置いといて(?!)先に男子SP。羽生結弦、すごい
首位と0.76点差の82.78点で2位につけた。これって絶好の位置 冒頭の4回転では手をついてしまったが、ジャッジスコアを見ると回転不足にならず転倒扱いにもならなかった。トリプルアクセルで加点をゲット、3回転ルッツに3回転トウループをつけてリカバリー。
ジャンプだけでなく、3つのスピンにステップまで全部レベル4 技術点は45.20でトップ。ステップのレベル4って、高橋大輔レベルに近づいてる?! スピンとステップの得点合計を比べると、ほかの選手たちと2点~4点くらいの差。2回転ジャンプかダブルアクセル1回分くらいの差があることになる。
そして特筆したいのは、演技構成点で“穴”がないこと。5つの項目が7.32から7.68の間、平均で7.51。これはミハル・ブレジナやアダム・リッポンとほぼ同レベル、小塚崇彦にも迫る。2週間後にやっと17歳になる若さで、、、
ジュニア時代のライバルで、今回のファイナル進出を争う宋楠に、この点でははっきり差をつけている。多少負けてるのは今のところ体力だけなんだけど^^; フリーも落ち着いて、今できること全てが出せるといいな
首位に立ったのはジェレミー・アボット。なにしろ4位以内でファイナル決定だから、リラックスしてる感ありあり 佐藤有香コーチについてから、スケーティングつるつるで気持ちいいったらない。昨季ときどき失敗していたスピンも今季は安定、振付もキャラにぴったりで安心して見ていられる。
すでにファイナル進出を決めてるブレジナは、演技そのものの質を上げることに集中できている。ファイナル組の中では得点で下のほうなので、今大会でしっかりいい点を出しておきたいところだろう。
気になるのは4位ハヴィエル・フェルナンデス。スケートカナダのときのような軽快な滑りではなかった。コンビネーションの1つ目で2回転になるミスもあったが、そこで取りこぼした以上に、ジャンプの加点がそれほどでなく、演技構成点に8点台なし。
コンビネーションのリカバリーをしそこねて5位のアルトゥール・ガチンスキーだけど、ステップでレベル4と加点1で羽生と全く同じ点をもらい、演技構成点もほぼ同じ。フリー頑張ったらメダルもあり? 地元ロシアの選手が一人くらい表彰台に乗ったほうがいいし
ブランドン・ムロズの4回転ルッツは回転不足で転倒になってしまった。モスクワ生まれのアンドレイ・ロゴズィン、最後のスピンで崩れて残念。SPの60点台と70点以上がフリーの前半と後半に分かれる形になった。
英語の実況・解説を聞いてると面白い。冒頭の4回転をコンビネーションにできなかった羽生が、次のジャンプをコンビネーションにまとめると“Good boy”だって^^; 震災に遭ったことなども紹介していた。
迫力のあるジャンプを“It's cracker.”なんていうようだ。amazingだのfabulousだの、わりとよく褒めてる
明日もこっちが頼りかも、、、よろしく(笑)
グランプリファイナル出場者が決まるロシア大会で盛り上がってるが、国内でも重要な大会が今週末開催される。毎年この時期に行われる全日本ジュニア選手権。
男子は昨年優勝した中村健人が“卒業”する一方、期待の新人・宇野昌磨がジュニアに上がってきた。女子は前回世界ジュニアに出場した西野友毬が出場せず(シニアの東日本選手権で3位)、宇野と同学年の宮原知子がショートプログラム第一滑走で登場する。
ジュニアグランプリファイナルに出場を決めている男子の田中刑事、日野龍樹、女子の庄司理紗が好調を維持しているかな? 今まで誰も知らなかった新しい才能がブレイクするか? 上位入賞者はシニアの全日本選手権に出てくるので、どんな結果になるか、こっちも注目