フィギュアスケート・世界選手権2017、女子ショートプログラム(ジャッジスコア)。
<G1>
アンネ・リーネ・ヤシェム(ノルウェー) SP:46.99(34)
「スマイル」♪ レモンイエロー。サルコウ・トウ3-3に挑み、ちょっと乱れた。ループもややステップアウト。ダブルアクセルは下りた。
第1滑走の緊張に負けず、自分の滑りはできていたかな。曲想に溶け込むステップ。
ヨシ・ヘルゲション(スウェーデン) SP:52.07(26)
「Le Me Entertain You」♪ 黒系。隣国でほぼ地元、声援が大きい。冒頭のルッツで転倒したが、トウ・トウ3-2とダブルアクセルはまとめる。大柄な体を勢いよく動かして、彼女らしい元気なプログラム。投げキッスでフィニッシュ。
アンナ・クニチェンコワ(ウクライナ) SP:46.98(35)
「ゴッドファーザー」「マンボ・イタリアーノ」♪ 黒にシルバー、長手袋。短めの助走からダブルアクセルを決め、フリップ転倒。ルッツでオーバーターンしたが、落ち着いて2回転トウループをつけた。レイバックスピンはヘアカッターだが、ホールドしてない片手を動かして素敵な振付にしている。
ダシャ・グルム(スロベニア) SP:46.63(36)
「Blucobalto」「Sax」♪ 濃い紫。フリップ・トウ(両手上げ)3-2をきれいに決め、3回転トウループも安定。ダブルアクセルの転倒が惜しい。
曲が変わったところで手拍子に乗りながら、躍動感あるステップを踏んだ。
アナスタシア・ガルスティアン(アルメニア) SP:55.20(23)
「夢破れて」♪ 透け感のある黒。ルッツ・トウ3-2、フリップ、ダブルアクセルとジャンプにミスなし。曲がサビに入っていくところできれいなビールマンスピン、ドラマチックにステップを踏み、イリュージョンはじめ各ポジションを丁寧にスピンをこなした。
キス&クライでちょっと涙ぐんでたのは、いい演技ができてほっとしたのかな。
<G2>
エンミ・ペルトネン(フィンランド) SP:50.74(29)
「リベルタンゴ」アストル・ピアソラ🎵 赤、髪に赤い花、真っ赤なルージュ。地元の大声援を背に、かき鳴らすギターに乗って幅のあるサルコウ・トウ3-3を決める。しかしループはパンク ダブルアクセルは問題なし。
手拍子に後押しされて、ピアノと掛け合うようにタンゴのステップ。悔しそうな顔で終わった。
シューラン・ユー(シンガポール) SP:52.87(25)
「Blues Instrumental」「Maria Maria」♪ 臙脂色のスリップドレス。トウ・トウ3-3を鮮やかに決め、サルコウ、ウォーレイからのダブルアクセルとノーミス。ステップの途中でテンポがゆっくりになった部分もうまく表現した。I字スピンやビールマンもきれい。
癖のない端正なスケーティングで、これからいろいろなプログラムができそう。本人も満足の笑顔。ISU自己ベスト大幅更新。
カロリーナ・コストナー(イタリア) SP:66.33(8)
「雷神」喜多郎/「Bonzo's Montreux」レッド・ツェッペリン🎵 黒と白。今季復活した大スターが鳴り物で迎えられる。風の音から鐘の音で跳ぶ雄大なトウ・トウ3-3、フリップはちょっと両足かも。ステップからダブルアクセル、すぐステップとカッコいい。
ダイナミックな体の動きに目を奪われるステップ。フライングキャメルでふらつき、認定されるだけの回転数があったかどうか・・・。とはいえ、パーカッション中心のユニークな音楽を見事に表現して、貫禄の得点。
ミハエラ・ルーシー・ハンズリコヴァ(チェコ) SP:32.21(37)
「Hip Hip, Chin Chin」♪ オレンジ。最初のサルコウで転倒、次も転倒。レイバックからビールマンスピンや、リズムに乗ったステップは悪くなかったが、ダブルアクセルも転倒となって残念そうなフィニッシュ。
李香凝(Xiangning LI)(中国) SP:58.28(16)
「コッペリア」♪ 黒系にピンクの指し色。フリップ・トウ3-3をクリーンに下り、ループも入る。キャメルスピンの回転が速い! 曲がジャン!と鳴るところでダブルアクセルをぴたりと決めた。ワルツのリズムをきちんと取りながらステップ、これも回転の速いレイバックスピンでフィニッシュ。
自己ベスト更新で笑顔
<G3>
ヤスミン・キミコ・ヤマダ(スイス) SP:47.86(33)
「Why Don't You Do Right」♪ 黒。トウ・トウ3-3、ループと落ち着いて決め、ダブルアクセルも下りて笑顔。ムーディーな曲にのって、丁寧に滑っていった。
大きなミスはなかったが、若干回転不足があったか。
エイミー・リン(林仁語)(台湾) SP:51.86(28)
「スカイライナー」♪ ターコイズブルー。冒頭のルッツをうまく着氷、トウ・トウ3-2を決めて波にのる。笑顔でいろいろアピールしながらステップ、今日はスケートもよく伸びている。
四大陸や世界ジュニアで振るわなかったが、それよりはまとまった演技ができた。
カイラニ・クレイン(オーストラリア) SP:56.97(19)
「Dream a Little Dream」エラ・フィッツジェラルド🎵 ピンク。ムーディーなボーカルで3-2を下り、眠りについたポーズからアップテンポの曲で目が覚めた振付。溌溂とした動きでキュートなステップ、3回転ループに片手上げダブルアクセルと決める。
スピンもポジションチェンジがスムーズ、つなぎの振付も可愛らしかった。ノーミス演技に大きくガッツポーズ。自己ベスト更新
ヘレリー・ハルヴィン(エストニア) SP:51.94(27)
「You Raise Me Up」♪ 白と黄色。ほぼ隣国で拍手が大きい。ルッツ・トウ3-2、フリップと着実に決める。ボーカルが入ったところでしなやかに体を使ってステップ。レイバックスピンビールマンまでいかないが、ヴィクトリア・ヘルゲションを思い出させるきれいな形。
ノーミス演技に喜び溢れる。
ナターシャ・マッケイ(イギリス) SP:50.10(32)
「ロクサーヌのタンゴ」♪ ワインカラーに黒。ループ・トウ(片手上げ)3-2、サルコウ、ダブルアクセルとてきぱきジャンプをこなし、曲の盛り上がるところでドラマチックにステップ。けっこうスピード感があった。
レイバックスピンはせず、足換えなしのキャメルをやった。今季からこれもOK。
<G4>
ケルスティン・フランク(オーストリア) SP:50.54(31)
「Swing Swing Swing」「Sing Sing Sing」♪ 濃いピンク。アップテンポの曲に遅れずに、高さのあるルッツ、片手をついたが2回転トウループをつける。ステップで躍動感を出し、後半のサルコウ、ダブルアクセルも高さがあった。
終わってほっとした顔。
ロエナ・ヘンドリクス(ベルギー) SP:57.54(17)
「The Prayer」セリーヌ・ディオン、ジョシュ・グローバン🎵 ピンク。緊張した顔でコーチとぎゅっとハグして出て行ったが、ルッツ・トウ3-2(共に両手上げ)を美しく決めて喝采。フリップ(片手上げ)はステップアウトしたが、ダブルアクセルは大丈夫。
ポジションのきれいなスピンや、一歩がよく伸びるステップにも拍手が起きていた。自己ベスト更新、成長真っ盛り。
イサドラ・ウィリアムズ(ブラジル) SP:50.65(30)
「Moonlight」♪ 黒。大人っぽくなってて見違えた「月光ソナタ」をボーカルにアレンジした曲で、ルッツ・トウ3-2、ループ、イーグルからのダブルアクセルと安定している。ステップもよく動けていた。
マライア・ベル(アメリカ) SP:61.02(13)
「シカゴ」♪ シルバー。今季おなじみになったプログラム。ルッツ・トウ3-3で着氷が乱れて両手をついたが、フリップきっちり、ダブルアクセルもすぐ振付のジャンプにつなげた。コケットな所作、リズミカルなステップと、今の力は出せた感じ。
ロリンヌ・ルキャヴァリエ(フランス) SP:55.49(22)
「Experience」♪ 紺。3回転ルッツでオーバーターン、頑張って3回転トウループをつけようとしたが転倒。しかし後半のループが音の切れ目にきれいにはまり、ダブルアクセルも流れがあった。
<G5>
李子君(Zijun LI)(中国) SP:56.30(20)
「Le Diable Matou」♪ 黒。一時は出場できるかどうか心配されたが、元気な姿を見せてくれた! スピードに乗って流れがいいフリップ・トウ3-3、ルッツ、ダブルアクセルとジャンプに隙がない。のびのびと軽やかなステップ、脚が真っ直ぐ上に上がるI字スピンと、彼女のいいところがたっぷり。よかった
イヴェット・トート(ハンガリー) SP:61.00(14)
「Earth Song 」「Smooth Criminal」マイケル・ジャクソン🎵 黒系のパンツスタイル、白と黒の手袋。フリップ・トウ3-3をスムーズに決め、ルッツも入る。ダブルアクセルは両手上げ。
きびきびとカッコいいステップはもうおなじみ。きれいなポジションのスピンもよかった。終わって両手のこぶしを握り締めた。
樋口新葉 SP:65.87(9)
「ラ・カリファ」♪ 青から黄色。丁寧に、きっちり、滑り切った。ダブルアクセルの着氷からの表情、ステップのめりはりも今日はかなりうまくいった。後半にルッツ・トウ3-3、フリップとしっかり決めて拍手。レイバックスピンも情感をこめて。
終わってほっとした笑顔。自己ベストまであと少しの得点。
三原舞依 SP:59.59(15)
サンーサーンス「ロンド・カプリチオーソ」♪ 紺。長い黒髪のポニーテールが揺れる。見事なルッツ・トウ3-3に観客からため息、ポジションチェンジがスムーズで回転が速いスピン。ステップ途中に音に合わせてポーズを取るところも決まり、ターンからのダブルアクセルも鮮やか。ラストのフリップでフィニッシュ!のはずが、2回転になってさらに転倒
ほとんどノーミスだっただけに、めっちゃ悔しい
ニコル・ショット(ドイツ) SP:54.83(24)
「シカゴ」より「Cell Block Tango」♪ 黒、長手袋。ストリーミングちょっとトラブルであまりよく見てない^^; 3回転ループを下り、トウ・トウ3-3で転倒。力強く滑っていた感じ。
<G6>
ケイトリン・オズモンド(カナダ) SP:75.98(2)
「パリの空の下」「ミロール」エディット・ピアフ🎵 紺、首にスカーフ。滑りが大きい。フリップ・トウ3-3、ルッツ、ダブルアクセル、どれも大きい! 折々のポーズも小粋に、曲が変わってからの勢いのあるステップ、ぴしっとスピンを止めてフィニッシュ。
会心の演技に笑顔がはじけた。高得点で自己ベスト更新
チェ・ダビン(韓国) SP:62.66(11)
「スティーブン・ユニバース」より「It's Over Isn't It?」/「ラ・ラ・ランド」より「Someone In the Crowd」♪ 緑。抜群の安定感 ルッツ・トウ3-3、フリップ、ダブルアクセルとどれも流れがある。しなやかに楽し気なステップ。今日も自撮りポーズが決まって、笑顔。
1人だけの代表、落ち着いて役目を果たせそうな、自己ベスト更新。
カレン・チェン(アメリカ) SP:69.98(5)
映画「黄昏」より「On Golden Pond」デイヴ・グルーシン🎵 白。鳥のポーズから。柔らかな曲で、ルッツ・トウ3-3、ループとなめらか。美しいスパイラルを見せ、ダブルアクセルにつなげる。両腕で作るラインが素敵なレイバックスピン。
振るわなかった四大陸選手権が嘘のように、今の実力を出せた演技に、顔を覆って安堵。自己ベストを大きく更新。
アンゲリーナ・クフヴァルスカ(ラトビア) SP:55.92(21)
「If You Go Away」「Duende」♪ 鮮やかなピンク。3回転ルッツはやや詰まった着氷になったが、トウ・トウ3-3を下り、ダブルアクセルも入る。ステップは切れのある動き。
ヨーロッパ選手権では思うような演技ができなかったが、今日はまとめられて一安心。
ニコル・ライチョヴァ(スロバキア) SP:57.08(18)
「ある愛の詩」♪ 赤のチューブトップ風。ルッツで片手をついたが、なんとか2回転トウループをつけられた。得意のループはばっちり、後半のダブルアクセルもうまく決めた。
すごく迫力があるとかラインがきれいという選手ではないが、しっとりと情感を醸し出すのが上手い。
エリザベト・トゥルシンバエワ(カザフスタン) SP:65.48(10)
「I Got Rhythm」♪ 黒、スカートの下がピンク。四大陸では両手上げに挑んでミスが出たジャンプ、今日は普通に跳んでルッツ・トウ3-3をきっちり。ループ、終盤のダブルアクセルも余裕があった。
テンポが変わるときの肩をきゅきゅっと動かす可愛らしい仕草、きっとファンが増えたはず ステップのリズム感を荒川静香さんに褒められていた。カザフスタンのコーチが大喜び
<G7>
エフゲニア・メドヴェージェワ(ロシア) SP:79.01(1)
「River Flows in You」「The Winter」♪ ブルー、手袋もおそろい。今日も安定の演技。前半はキャメルスピンとステップ、子どもが遊ぶ所作が織り込まれた振付は、まだ17歳の彼女がやると自然な感じ。フリップ(片手上げ)・トウ(両手上げ)3-3、ループ、ダブルアクセル(片手上げ)とすべて後半にいつもどおりに跳んだ。
自己ベストにはわずかに届かず。
ガブリエル・デールマン(カナダ) SP:72.19(3)
マスネ「エロディアード」♪ 黒にゴールドなど。スピードにのったトウ・トウ3-3は、基礎点はルッツ・トウなどに比べれば低いが、出来栄えが素晴らしい。ルッツに高さがあって余裕で下りてくる。ダブルアクセルも余裕たっぷり。
ステップは迫力とパワーがあって、しっかりレベル4。終わって顔を覆って喜んだ。自己ベストに近い得点。
アシュリー・ワグナー(アメリカ) SP:69.04(7)
「Sweet Dreams」アニー・レノックス🎵 ブルー。フリップ・トウ3-3、ループ、ダブルアクセルと、回転不足なく決めてきた。力強くビートを取っていく。本当に強くなった。
マリア・ソツコワ(ロシア) SP:69.76(6)
シュニトケ「Butterflies Are Free」♪ ブルー、蝶の模様。線のきれいなスケートで、ルッツ・トウ3-3を決める。フリップの前に一瞬引っかかったが大丈夫。ダブルアクセルも問題なし。
大きくクリアにターンを踏んでいくステップ。ロシア選手権を勝ち抜いてきただけのことはある。
本郷理華 SP:62.55(12)
「カルミナ・ブラーナ」♪ 赤。フリップ頑張る。長身を大きく伸ばし、しなやかに動かして壮大な曲を表現する。トウ・トウ3-3はセカンドが「少し回転不足」と荒川さん。
ステップは一歩を大きく、曲に負けない強さを見せてレベルも取った。気迫のこもった演技。
アンナ・ポゴリラヤ(ロシア) SP:71.52(4)
「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」♪ 黒。艶っぽい所作を織り交ぜながら、しなやかにタンゴを踊る。ルッツ・トウ3-3、ループはややこらえたが、崩れない。曲調が変わると、おなじみのステップを妖艶に。終わってほっとした笑顔。
結果、予想通り(?!)メドヴェージェワがトップに立ち、2位オズモンド、3位デールマンとカナダ勢が続いた。4位ポゴリラヤ、5位チェン、6位ソツコワ。やはりロシア勢3人ともフリー最終グループに入った。
7位ワグナー、8位コストナー、この2人ですら最終グループに入れないという状況。
日本勢は9位樋口、12位本郷、15位三原。3枠の目安となる6位との点差は、樋口が3.89、本郷が7.21、三原が10.17。フリーでどこまで巻き返せるか。
想像以上にハイレベルな戦いにドキドキ