フィギュアスケート・グランプリシリーズ2018第3戦ヘルシンキ大会、男子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
フィリップ・ハリス(イギリス) SP:58.99(10) FS:123.67(10) 合計:182.66(10)
「Fix You」♪ ブルー。トリプルアクセル+2回転トウループを決め、ルッツ・トウ3-3は転倒したが、イーグルからのトリプルアクセルを片手付きで着氷。ダブルになるミスがあってもしっかりオイラー+3回転を続けたり、終盤3回転ルッツを下りたり、最後まで頑張る。
今日はわりとスケートが滑れていて、コレオも悪くなかった。雰囲気がこの人に合っている。
ヴァルター・ヴィルタネン(フィンランド) SP:48.16(11) FS:106.58(11) 合計:154.74(11)
「道」ニーノ・ロータ♪ ボーダーシャツにワインカラーベスト。4回転トウループ挑戦したが転倒。かなり予定を変更して、確実に決めにきた。それでもアクセルが1回転になってしまったりしたが、地元の喝采を浴びる軽妙なステップ、楽しい。
田中刑事 SP:80.60(7) FS:126.22(9) 合計:206.82(8)
ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」♪ クリーム色シャツに黒系ベスト。最初の4回転サルコウ、下りられそうだったがステップアウトして両手をついた。アクセルでパンク、トウループがダブル。。。ステップはきびきびと動いていてよかったが。。。
トリプルアクセルがきれいに決まってホッ ルッツからオイラーにつなげられなかったが、フリップ・トウ3-2と3回転ループは頑張る。
コレオはバレエ的な動きで躍動感があって、ジャンプが決まればいいプログラムになるはず。
アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル) SP:73.44(9) FS:128.89(8) 合計:202.33(9)
「ドラキュラ」♪ 白フリルブラウス、血がついてる?! 4回転は入れられない状態らしいが、それなりにできることはする。ルッツ・トウ3-3、トリプルアクセル+2回転トウループ、3回転ループと予定と構成を変えてきた。2本目のトリプルアクセルはやや乱れ、終盤は2回転になってしまったが、大崩れはせず。
動きの速いステップ、勢いのあるコレオは得意とするところ。
アレクセイ・クラスノジョン(アメリカ) SP:74.05(8) FS:136.98(6) 合計:211.03(7)
「Korobushka」♪ 黒にストーンが光る。こちらも構成を変えて4回転は回避、トリプルアクセル2本にフリップ・トウ3-2、後半にフリップ・ループ3-3を下りた。
少しずつテンポが上がっていくステップ、観客もリズムを上手に取って手拍子。故郷ロシアの曲を踊りきった。
<G2>
チャ・ジュナン(韓国) SP:82.82(4) FS:160.37(3) 合計:243.19(3)
「ロミオとジュリエット」♪ 紫。4回転トウループ、鮮やか 4回転サルコウは惜しい転倒。ルッツ・ループ3-3決まり、しなやかで少年らしい動きのステップ、のびのびと。そのままコレオに繋げ、カーブのイナバウアーで魅せる。
スローパートでトリプルアクセル2本、フリップ・オイラー・サルコウ3-1-3、3回転ループ下りた瞬間の「ジュリエーッ」 手拍子にのってきれいなスピンで締めくくる。
まず満足な出来。課題は回転不足
アンドレイ・ラズキン(ロシア) SP:82.54(5) FS:135.68(7) 合計:218.22(6)
ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調(鐘)」♪ 黒。ピアノで静かに盛り上げる曲で。冒頭のトウループは2回転になったが、次をトウ・トウ4-3に出来たのが偉い。トリプルアクセルは2本ともオーバーターンしたが、1本は2回転トウループをつけられた。フリップ・オイラー・サルコウは3-1-2で。
無理せずにまとめることを考えて滑った感じ。体はよく動いていて、この曲の世界観は出している。
ミハイル・コリヤダ(ロシア) SP:81.76(6) FS:157.03(4) 合計:238.79(4)
ビゼー「カルメン組曲」♪ 赤に黒刺繍のジャケ。きりっとスペイン的なポーズから、4回転サルコウを慎重に跳んだが転倒、4回転トウループも転倒 でもトリプルアクセル+2回転トウループがきれいに入れば持ち直す。イーグルにポーズをつけたりするコレオ、後半トリプルアクセル入る。ルッツ・オイラー・サルコウは3-1-2になったが、最後のルッツに2回転トウループをつけた。
ステップは歯切れのいい動きだが、ちょっと編曲が同じフレーズを繰り返していてイマイチ
金博洋(Boyang JIN)(中国) SP:85.97(3) FS:141.31(5) 合計:227.28(5)
「Hable con ella」♪ 赤Vネック。フラメンコギターにのって、踊る 素晴らしい孝佐の4回転ルッツ、ちょっとフェンスに寄ったけど、うまく足をよけてフェンスにぶつからないようにした。4回転サルコウ、トウループと続けて転倒。
でも緩急をつけながらフラメンコらしい振付をこなすステップ、なんだか大人になった 後半トウ・トウ4-2がきめられたのはよかったが、2本目のアクセルでステップアウトして+REPがもったいない。
かなりカッコよくなった博洋くん、今後注目
羽生結弦 SP:106.69(1) FS:190.43(1) 合計:297.12(1)
「Origin」♪ 黒にゴールド。跪いたポーズから。4回転ループ、こらえた。4回転サルコウはもう完璧。速い音とシンクロするツイズル、ステップも美しい。軽く3回転ループ、4回転トウループは耐える。次は+トリプルアクセルの予定、、、どうする?
4回転トウループ、きれいに下りて、そのまま踏み込んで、トリプルアクセル!ちょっと傾いたが立った 世界で初めてのシークエンス、やってのけた
フリップ・トウ3-3、アクセル・オイラー・サルコウ3-1-3でちゃんと点を稼ぎ、イナバウアーとハイドロブレーディングのコレオ。熱狂の中でスピン、終わった。
速報より技術点が下がったのは、4回転ループと1本目の4回転トウループで回転不足。トウ・アクセル4-3シークエンスもGOEが少しマイナスだったが、この辺がクリーンになったらどんな点になるのか・・・
ミハル・ブレジナ(チェコ) SP:93.31(2) FS:164.67(2) 合計:257.98(2)
「I'm a Man」「Thunderstruck」♪ 白Tに透ける黒を重ねて。4回転サルコウに2回転トウループ付いて決まる! トリプルアクセル転倒したが全体に影響させない。エレキの旋律でステップを踏んでいくと盛り上がり、後半トリプルアクセル+2回転トウループ決まった。
その後もミスなく、エアギターかき鳴らすコレオに会場一つに。やっぱり4回転が安定すると、プログラム全体を自信持って滑れるようになるんだな
結果、2010年からのシニアGPシリーズ参戦以来、初戦で勝ててなかったジンクスをついに破って羽生結弦が優勝。ブレジナがスケートアメリカに続いて2位、ファイナル進出の可能性が高まった。3位チャ・ジュナンもスケートカナダに続いての表彰台。4位コリヤダ、5位金博洋。田中刑事は8位だった。
興奮の週末が終わった・・・明日からまた頑張ろう
1番の心配がなくなった
今季突然現役復帰して大きな注目を浴びている、高橋大輔選手。今日の西日本選手権で優勝、全日本選手権出場を決めた。
ショートプログラムで第1滑走を引いてしまい「二度とやりたくない」と言っていた大ちゃん。西日本選手権での順位によっては、全日本で第1滑走を引く恐れがあった。
全日本では、シード及び予選免除の選手たちと、東日本・西日本の上位が、ショートプログラムの後半グループ(第4・第5グループ)に入る。東西の下位はジュニアからの推薦と一緒に、前半グループ(第1・第2・第3グループ)でのドロー。国際大会出場の実績があっても関係ない。
少なくとも表彰台に乗っておかないと、、、と思っていたが、近畿選手権のフリーのように崩れる心配はもうなかった。3回転フリップを単独にとどめ、トリプルアクセルに3回転トウループをつけて大きな加点。3回転は大きく構えなくても跳べるまでに戻ってきている。
終盤は少し疲れたようだが、コレオで発するオーラは、若手の勢いをはるかに凌駕する。さすが
これは年明けの国際大会派遣が検討されたりしない、、、かな? 全日本を楽しみにしよう
昨夜の興奮冷めやらず
グランプリシリーズ2018ヘルシンキ大会男子SPで、今季世界最高得点を出した羽生結弦の演技。テレビで見たけど、海外の放送ではどう伝えたか、YouTubeで見てみる。
British Eurosportの放送、演技中は静かだった。終わった瞬間に興奮して喋っている。(字幕をオンにすると英語字幕が出る。完全ではないが、わかりやすくなる)
「オリンピックに2度勝って、お金もあるのに、また競技に戻ってきて、維持するだけでなく進化している」とその凄みを伝えている。プーさんで埋め尽くされたリンクに、「どうやって片づける?(次の)アレクセイ・ビチェンコが滑るまで大変だ」。日本から詰めかけたファンには「地球を半周して来る価値がある」。
ロシアの放送では、タチアナ・タラソワがコメント。
こちらも演技中には「ハラショー」の一言もなかったが、終わった瞬間に「スパシーバ(ありがとう)」。そして「秋によせて」について語ったそうで、コメント欄で訳してくれた人がいる。
それによると、イリヤ・クーリックにどうかと(たぶんコーチの)エレーナ・チャイコフスカヤが持ってきた曲だが、クーリックは使わなかった。そこでマリア・ブッテルスカヤに提案、この曲で世界選手権優勝を果たした。その後、ジョニー・ウィアーに持って行ったという。そんな由来があるとは知らなかった
コンビネーションジャンプが唯一のミスと指摘しつつ、「ステップアウトせずに、難しいランディングとされるターンに持って行った」とGOEがプラスになった理由を説明している。
タラソワは、Yuzuruが3度目のオリンピックに出ると確信しているようだ。それはどうなるかわからないが、稀有な才能を見られる喜びは、みんな同じ
今夜のフリーでも、心洗われる演技を見せてもらえたら嬉しい
フィギュアスケート・グランプリシリーズ2018第3戦ヘルシンキ大会、女子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
本郷理華 SP:51.11(11) FS:105.48 合計:156.59
「ナザレの子」♪ 緑の濃淡。自信と力強さが戻ってきた 冒頭のフリップは単独、2本目も単独で+REPになったが、ダブルアクセル+2回転トウループ+2回転トウループなどジャンプを着実に下りていく。エネルギーが迸るステップ、ぐいぐいと勢いを増すコレオ、理華ちゃんの真骨頂が出せた。
3-3がないので技術点はそこそこだけど、キス&クライで笑顔が見られて嬉しい
ヴィヴェカ・リンドフォース(フィンランド) SP:52.95(10) FS:106.67 合計:159.62
「レ・ミゼラブル」♪ 赤。冒頭のルッツ・トウ3-3を鮮やかに決めて大歓声。ループで転倒したが、3回転フリップで立て直す。終盤サルコウが2回転になったり、ダブルアクセルでステップアウトしてコンビネーションにできなかったり、少し疲れが出たか。
大きく体を使って懸命のステップ、心をこめた演技。
アンジェラ・ワン(アメリカ) SP:53.76(9) FS:95.81 合計:149.57
「Send In the Clowns」♪ 薄いピンクのグラデーション。最初のフリップ・トウ3-3がきれいに入ったのに、ルッツがパンク。ダブルアクセル+2回転トウループを2つ決め、スピンやコレオを丁寧にこなしていく。
しかし後半、3回転ルッツで転倒、ループをトウループにしたが2回転で転倒、サルコウも2回転に。最後まで気持ちを切らさずに頑張ったが、痛そう
キム・ハヌル(韓国) SP:55.38(8) FS:104.77 合計:160.15
「Simple Song No.3」♪ 紫。くるくるっと速い回転でよく跳んだ。ルッツ・トウ3-3を皮切りに、ループ・トウ3-2、単独のルッツとループ、ダブルアクセル+2回転トウループ+2回転ループなど。フリップのパンクが唯一のミス。
レイバックスピンはレベル4が取れた。ソプラノのボーカルが一本調子なのが、ちょっと気になるけど 構成は彼女に合っている。
坂本花織 SP:57.26(7) FS:140.16 合計:197.42
「ピアノ・レッスン」♪ 白からグレー、黒のグラデーション。動き出しのきゅっと伸ばした指先に気合がこもる。大きなフリップ・トウ3-3、余韻を残していくダブルアクセル、ルッツも問題なし。丁寧で伸びやかなステップはレベル4をもらう。
ダブルアクセル₊3回転トウループ+2回転トウループ片手上げ、フリップ・トウ片手上げ3-2、もう止まらない。スパイラルを組み合わせたコレオ、3回転ループが決まるとノーミスとわかった観客が沸く。
終わって両手で大きくガッツポーズ、足を踏み鳴らした。スケートアメリカの得点には及ばなかったが140点越え、SPのミスを取り返せた
<G2>
エンミ・ペルトネン(フィンランド) SP:59.90(5) FS:98.82 合計:158.72
「サユリ」♪ 藤色。トウ・トウ3-3は良かったが、ルッツが2回転、ループで転倒。後半のフリップやループも2回転になって、思い通りには跳べなかった。
見せ場はイナバウアーからイーグルのコレオ、世界観は見せられた。
スタニスラワ・コンスタンティノワ(ロシア) SP:62.56(4) FS:135.01 合計:197.57
「アンナ・カレーニナ」♪ 紫。ルッツ片手上げ・トウ両手上げ3-3から、全てのジャンプが安定していてミスがない。ダブルアクセル+オイラー+3回転サルコウ、ルッツとフリップは2本ずつ跳んで片手上げだった(肘が曲がっているのが惜しい)。
片手ホールドのビールマンなどもきれい。僅差でトップに立つ。
ダリア・パネンコワ(ロシア) SP:58.23(6) FS:103.25 合計:161.48
「You're Not From Here」ララ・ファビアン🎵 青緑系グラデーション。手を上げすぎる ルッツ・トウ3-3はどちらも両手上げだがステップアウト、3回転サルコウで両手上げたが転倒。2回目のルッツ・トウ3-3も両手上げでふらつく。フリップ・トウ・トウ3-2-2はまとまった。
・・・いくら両手を上げても、高さがいまいちだったり流れが止まりそうだったりするジャンプは、見ていて美しくない。同じ種類のジャンプで全部同じ姿勢だと、その姿勢でしか跳べないと思われる。
こういうプログラムは、どうなんだろう?
アリーナ・ザギトワ(ロシア) SP:68.90(1) FS:146.39 合計:215.29
「カルメン組曲」♪ 黒レース、スカートは赤。最初からカルメンの世界に引き込む。まずはダブルアクセル、ルッツ・トウ3-3両手上げ、3回転サルコウ両手上げ。キャメルスピンのエッジと脛あたりを持つ姿勢、ビールマンのエッジと足首あたりを持つ姿勢は彼女の得意なところ。
ルッツ・ループ3-3はわずかにふらついたが、カルメンの激情を体現するようなステップでレベル4。お見事。
白岩優奈 SP:63.77(2) FS:127.69 合計:191.46
ムソルグスキー「展覧会の絵」♪ 藤色。ザギトワの直後でやりにくいかと思いきや、のびのびと力を出しきった。ルッツ・トウ3-3、イーグルからダブルアクセル、スパイラルやイーグルを織り込んだステップ。曲調の変化にのってスピードを上げて3回転フリップ、ダブルアクセル。キャメルも回転が速い。
後半にルッツ・トウ3-3、サルコウ・トウ・ループ3-2-2、スピンをして最後に3回転ループを決めてフィニッシュ。笑顔がはじける
ただ得点は、、、3回転トウループ2つとサルコウで回転不足が痛い コンスタンティノワと比べると、一つ一つのジャンプに付く加点が小さい。今後の課題かな。
ルーナ・ヘンドリクス(ベルギー) SP:63.17(3) FS:128.05 合計:191.22
「Diffrente」♪ 暗めの赤。両手上げルッツ・トウ3-3、片手上げ3回転フリップと決める。3連続は最後が1回転になったが、ダブルアクセル+2回転ループは他にやる選手がいないユニークな組み合わせ。
きびきびしたステップでレベル4、足をうんと高く上げた軸の細いビールマンスピン、イナバウアーやイーグルでタンゴを表現したコレオ、全体としていいプログラムだった。
結果、優勝はみんなの予想どおりザギトワ、2位にSP4位から順位を上げたコンスタンティノワ、坂本花織がSP7位から表彰台に届く3位。白岩優奈がシーズンベストで4位。ヘンドリクスが僅差の5位だった。本郷理華は10位。
坂本花織はスケートアメリカの2位に続く表彰台の3位、ファイナル進出に一歩前進 ファイナル行けるといいな