いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

(無題)

2008年11月25日 22時43分36秒 | 草花野菜


- 今日の落ち葉 -

1980年代前半、おいらがこの世に古本屋というものがあるのを知って、うろうろし始めた頃、

三島由紀夫の写真集『薔薇刑』を、店頭のワゴンのゾッキ本の山の中に見た。二束三文だったのであろう。

特に三島に興味があったわけではないが、のぞいてみて、まだいたいけな年頃だったので、悪趣味にゾッとした強烈な印象がある。

Amazon: 薔薇刑―細江英公写真集 (大型本)

そのころ、写真週刊誌の刊行ラッシュで、どこぞの新刊写真週刊誌が、刊行記念に三島の生首写真を掲載、世の中にばらまいていた。

■退屈だから死ぬんだ、ってばっきり白状してるじゃん。
「生の倦怠」って。生の倦怠に耐えかねて、武士ごっこ。

演説 三島由紀夫 


その「武士ごっこ」がわからない。
「武士」って言葉で何がいいたいのか?ってこと。

自衛隊と武士はなぜ関係があるのかな?

三島は自衛隊にクーデターを起こしてほしいのだとしたら、かなり歴史音痴、政治音痴。江戸時代に幕府の正式な武士で政権奪取の蜂起をしたものなぞいない。まあ、大塩平八郎くらいか。

● 「武士」をよくわかってないのは、昨今の新聞社説も;

暴力的な支配が横行した武家社会時代の歴史と価値観が尾を引いているせいか、残念ながら腕ずくで相手を納得させようとしたり、暴力行為を容認する風潮が日本には根強く残る。戦前から要人襲撃事件が繰り返されてきたのも、そのせいだろう。

社説:元厚生次官宅連続襲撃 類例を見ぬ卑劣な犯行 #1

そうかな? 江戸時代に暗殺された「政府要人」は堀田正俊くらいだろう。 ただし、桜田門外の井伊直弼を除いて。この井伊暗殺こそ、テロ起源国家日本誕生寸前のトキの声である。

テロ、クーデターが日本に登場し、茶飯となったのは、天皇の登場と軌を一にする。

なぜなら、むつひとさんこそが、「賊臣慶喜を 殄戮」せよ!と命じたからである。
(倒幕の密勅)

テロ起源国家!

つまり、戦前のテロは正統派武士のエトスとは関係ない。

薩長のちんぴら・殄戮にいちゃんの系譜だろう。


  - 殄戮(てんりく)トリオ -

▼殄戮 = てんりく。 戮は殺戮のりく。
おとろしいですね。怖いですね。
サバイバルナイフでめった刺し、ということですか。

それにしても、むつひとさんは学習院(があった京都御所)の出だが、漢字には詳しかったらしい。


#1 全文

社説:元厚生次官宅連続襲撃 類例を見ぬ卑劣な犯行

 あまりにも衝撃的な事件が起きた。さいたま市で元厚生事務次官、山口剛彦さん夫妻が惨殺されたのに続き、東京・中野では同じ元厚生事務次官の吉原健二さんの妻が刺され、重傷を負った。歴代の官僚トップと家族が丸一日ほどの間に連続して凶悪事件に見舞われるとは、前代未聞の事態である。両事件とも容疑者は逃走し、犯人像も動機もはっきりしないため余計に不気味さが広がる。

 警察庁は、厚生省で年金行政に携わった歴代次官の自宅が犯行現場となり、現場の状況や被害者の証言などから両元次官が標的にされたとみられること、被害者宅の玄関先での刃物を使った手口が共通することなどから、両事件に関連があるとの見方を強め、警視庁、埼玉県警の捜査幹部を集めて捜査会議を開いて、容疑者の割り出しと情報収集を急いでいる。同時に、関係警察本部に、歴代の厚生省幹部らの身辺警備などの警戒強化を指示した。

 捜査は緒についたばかりであり、予断は禁物だが、計画的な連続犯とみて警戒を強めるのは当然だ。「第3の犯行」を断じて許してはならない。そのためには一刻も早く容疑者を検挙することが肝心である。
 ◇情報開示積極的に

 捜査当局は現場周辺の聞き込み捜査や不審情報の収集に全力を挙げることはもちろん、管轄の壁を越えて緊密に協力し合わなければならない。

 事件後、厚生労働省の職員やОBが身の危険を感じていると伝えられたが、いずれも夕暮れ時の住宅街での大胆不敵な犯行であり、宅配便の配達を装って侵入する手口が使われたこともあって、不安を募らせている市民は少なくない。

 警察当局は市民の協力を得るためにも、いたずらに人々の恐怖心が膨らむのを防ぐためにも、捜査の進展状況はもちろん脅迫行為、犯行声明の有無などについて正確な情報を積極的に開示すべきだ。とくに両事件の関連を重要視する以上は、同一犯によるものかどうか、実行犯が違うのならばどのような相関があるのかについて可及的速やかに公表すべきだ。

 両事件が同一犯によるもので、年金問題への批判や不満を背景にしているとするならば、言語道断で、社会への重大な挑戦と言わざるを得ない。自分の主義主張を暴力で訴えること自体が民主主義に反しているが、両元次官が狙われるいわれはなく、ましてや妻まで襲うとは理不尽極まる。61年に起きた中央公論社長宅の殺傷事件で家人らが巻き込まれた例はあるが、当事者の家族があからさまに標的にされたのは国内の事件史上では異例だ。敵対する相手を畏怖(いふ)させることを目的とする、卑劣極まりない蛮行である。

 仮に、犯行に思想的、組織的な背景があるのなら、警察当局の治安対策や防犯態勢は根底から見直しを迫られることになる。組織が関与したテロ行為ならば、事態はいよいよ深刻だ。

 最近は年金問題だけでなく、いわゆる格差社会の深刻化、食品などをめぐる相次ぐ偽装事件などを背景に、多くの若者たちが社会への不満や閉塞(へいそく)感を抱いているとの見方が強まっていた。治安関係者の間では“義賊”的な発想に根ざした跳ね上がった犯罪の発生も懸念されていた。

 それでも、過激派の爆弾事件が相次いだ一昔前に比べ、左右両陣営のデモや集会、街頭闘争などは低調になっており、政治的な事件も減少していることなどから、治安当局には油断があり、不審者対策が後手に回っていた面は否めない。社会運動が低迷し、人々の発言の場が減っている現状こそ、不穏な事件を生む土壌になると心得て注意すべきでもある。
 ◇懸念される模倣犯

 振り返れば、87年の朝日新聞阪神支局襲撃事件や95年の国松孝次警察庁長官銃撃事件はじめ、言論封圧などが目的とみられるテロや暴力事件の多くで容疑者が検挙されていないのが実情だ。未解決事件は類似犯を誘発するといわれているだけに、捜査当局の責任は重大だ。犯人検挙に至らないのは、犯罪捜査が専門の刑事部門と情報収集を得意とする警備部門の不協和音が災いしていると再三、指摘されてきたが、今回こそは一致協力した捜査活動を展開して早期解決を目指してほしい。

 暴力的な支配が横行した武家社会時代の歴史と価値観が尾を引いているせいか、残念ながら腕ずくで相手を納得させようとしたり、暴力行為を容認する風潮が日本には根強く残る。戦前から要人襲撃事件が繰り返されてきたのも、そのせいだろう。今回もインターネット上で、犯行を支持するかのような無責任な匿名の意見が飛び交っている。東京・秋葉原の無差別殺傷事件の後、犯行に便乗した脅迫事件などが続発したり、根拠のないひぼうや中傷が幅を利かせた経緯もある。今回も模倣犯が刺激されないとも限らない。

 この際、断固として暴力を排する機運を高め、健全、安全な社会を確立しなければならない。政府にも、事態を深刻に受け止めた取り組みを求めたい。