―スペインのグラナダにて、2009年―
BONSAI世界に根付く#1
2010年12月27日 夕刊
日本の盆栽がアジアや欧州で人気を集めている。植木を含めた輸出額は今年、過去最高となる勢いだ。香川県などの産地では外国人バイヤーを招いた商談会を開催。市場が縮小していた伝統の趣味が、海外で「BONSAI」として復活しようとしている。
▽盆栽大学も登場
「とても美しい」-。イタリア人のバイヤー、ルカ・クレスピ氏は、慣れた手つきで鉢を動かしながら、感嘆の声をもらした。
盆栽の輸出が50億円だそうです。おいらもスペインでみました。bonsai。輸出品だとは知りませんでした。このニュースは典型的に日本ぽいものが世界で受け入れられているんだよという世人の意表を突くのが目的の報道なのでしょう。
ところで、50億円という売上金額は中小企業数社分です。産業規模としては高々雇用規模数百人という程度です。50億円という売上金額は、技術開発を伴うベンチャー企業による起業が目指すくらいの規模です。それも最低程度の規模です。つまり、その程度の市場規模が見込めないと技術開発投資は行われません。もっとも自覚的確信的マイクロビジネスは除いてですが。おいらのdeath valleyグループはその程度の規模を求められています。出来ななければ、解散。
■盆栽はともかく凡才のおいらの行く末について;
前のバイト先(現在のバイト先に買収される前の前駆組織)は、毎年、毎年、「今年が勝負の年」といって、結局、death valleyを越えられず、身売り。
現在の買収先は3年目。これまでは「白黒つけろ」みたいことは公然とは通知されていなかった。上層部では取りつぶしの検討が常におこなれていた。ただし、現場には非通知。でも。今年は「白黒つけろ」と通知されたようだ。
現場(買収で来たおいらども)をマネジしているプロパーさんである
"仏様上司"から公式に通知された。
具体的にはラボスケール並みの性能を発揮する大型の製品をたくさん合成する技術を開発せよということ。
さて、どうなることやら。凡才、世界に根付く、を目指したい。
●ぐち;
科学技術政策 研究投資を経済成長に生かせ(12月31日付・読売社説)#2
「科学技術に税金注げば、経済成長に寄与する」なんてのは絵空ごと(えそらごと)なんだよね。⇒愚記事:
「研究」したって日本は富まない
これまで、
バルク金属ガラスの例や
バイオテクノロジーの例がある。さらには、ナノテクの幻想性も明らかになるでしょう。
結局、現場の食税研究者は、産業化なんかに興味や関心がないわけで、"多くの理系教官の本音は研究さえ続けられれば良い、につきる"(#3)。あまつさえ、"経済成長に寄与する"んだというおためごかしを吹いて、研究費さえふんだくれば、ちょろいもんだとほくそ笑んでいるのだ。 うらやましい。代わってほしいものだ。(代わってくれるはずがない。極楽席を譲ってくれるはずがないのだから。)
▼今日のお勧めブログ;
Take a Risk: 林岳彦の研究メモ:
なぜ私は研究者を辞めなかったのか
従来明らかなんだけれど、言語化されていない事象ってありますよね。その観点からこの記事はオリジナリティがあると思います。
ずるずるしちゃっている人は、にっちもさっちもいかないんだろうな。消える勇気⇒
消えたポスドクの残したものは...
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#1
BONSAI世界に根付く
2010年12月27日 夕刊
日本の盆栽がアジアや欧州で人気を集めている。植木を含めた輸出額は今年、過去最高となる勢いだ。香川県などの産地では外国人バイヤーを招いた商談会を開催。市場が縮小していた伝統の趣味が、海外で「BONSAI」として復活しようとしている。
▽盆栽大学も登場
「とても美しい」-。イタリア人のバイヤー、ルカ・クレスピ氏は、慣れた手つきで鉢を動かしながら、感嘆の声をもらした。
香川県と日本貿易振興機構が十一月、高松市で開いた外国人バイヤーと地元業者の商談会。クレスピ氏は、イタリアで盆栽を輸入販売する会社を経営し、「盆栽大学」という学習施設も設立。ブームの仕掛け人の一人だ。同国には愛好家が約七千人いるとされ、「お客の知識が豊富になってきたので、より質のいいものを仕入れたい」と目を輝かせる。
商談会は欧州四カ国のバイヤーが参加し、二日間で約五百鉢が取引された。同県の浜田恵造知事は「こんなに需要があるとはびっくり」と興奮気味だ。
▽買い手は富裕層
盆栽の国内市場は、家の洋風化や趣味の多様化で縮小している。松盆栽の有力産地である香川県の場合、国内向けの年間出荷額はここ十年で半減。生産者は減り、後継者不足も深刻だ。
一方、今年の盆栽・植木の輸出額は日本全体で五十二億円あまり(十月時点)に達し、過去最高の二〇〇八年(五十二億四千万円)を上回るのは確実だ。国別ではベトナム向けが三十二億円で全体の六割を占め、香港、中国と続く。ベトナム向けの多くは中国市場に入っているとみられ、富裕層が美術品感覚で高価な盆栽を買い集めている。
欧州はイタリア、ドイツ、オランダ、ベルギーの順に多い。日本文化への関心から購入する愛好家に加え、身近な装飾品として年齢、収入にかかわらず人気が広がっているという。
▽初の国際展示会
「海外の雑誌から取材を受けるなど、関心の高まりを感じる」と話すのは、今年三月にオープンした「さいたま市大宮盆栽美術館」の担当者。すでに数十カ国から約千二百人の外国人観光客が訪れた。
サツキの盆栽で知られる栃木県鹿沼市も、ベルギーで展示会を開くなど欧州の開拓に力を入れている。
市場拡大の壁になっているのは、各国の厳しい検疫ルールだ。例えば欧州に五葉松を輸出するには、滅菌した土に植え替えて二年間保管した後でなくてはいけない。生産者の負担は大きく、手続きの簡素化を求める声は強い。
高松市では来年十一月、各国のバイヤーや愛好家が集まる国際展示会「アジア太平洋盆栽水石大会」(ASPAC)が開かれる。今回が十一回目だが、意外にも日本では初開催。バイヤーのクレスピ氏は「欧州では安価な中国産も流通しているが、日本の盆栽の方がはるかに品質がいい。もっと積極的に売り込むべきだ」と活躍に期待している。
#2
科学技術政策 研究投資を経済成長に生かせ(12月31日付・読売社説)
日本の科学技術力を今後も維持して行くための土台としたい。
内閣府の総合科学技術会議が、来年度から5年間の「科学技術に関する基本政策」をまとめた。政府の第4期科学技術基本計画として、来春、閣議決定される。
経済成長を支える科学技術分野の主柱として、エネルギー・環境技術と健康・生命科学の二つを掲げ、研究から産業化まで支援して行く方針を打ち出した。
基礎分野の研究への予算配分を増やす一方、研究成果については国が主導して事業化し、国際展開までつなげる体制も築く。
こうした施策の具体化に、政府は全力を挙げるべきだ。激しい国際競争を生き延びて行くには、日本は今後も「科学技術立国」を目指すしかないからだ。
基本政策は、厳しい財政状況の下、政府の科学技術関係予算に国内総生産(GDP)比で1%を充て、5年間で総額25兆円を投じるという目標も明記した。
これに反対する財務省を、菅首相が「国の成長を担うのは科学技術」と押し切った。4期計画の初年度となる来年度の政府予算案でも、宇宙探査計画など科学技術分野は厚遇されている。
ただ、今後も必要な予算を確保できるか、楽観は禁物だ。今年度までの第3期計画も同じ規模の目標を掲げたが、投資総額は21・6兆円にとどまった。
限られた予算を効率的に使う必要がある。目標が似た研究は集約する。国立大学や国の研究機関の体制については、整理統合も視野に検討を進めるべきだ。
総務省の調査によると、政府と民間企業を合わせた研究開発投資額は、2008年のリーマン危機以来、2年連続で減っている。
電子機器、医薬品などの大手企業が、研究開発拠点を海外に移す動きも相次いでいる。
経済産業省が大手製造業に実施した調査では、4割が、製造拠点だけでなく開発拠点の海外移転を検討中、と回答している。
このように日本の科学技術を巡る状況は極めて厳しい。放置していては、日本の産業空洞化は致命的となる。その危機感を広く共有すべきだろう。
総合科学技術会議の強化も欠かせない。現状は関係省庁の所管事業の調整に終始している。
科学技術政策の「司令塔」として、独自に成長分野の研究目標を定め、事業予算を配分する権限を持たせるなど、大胆な組織の見直しが必要だ。
(2010年12月31日01時16分 読売新聞)
#3 『激震!国立大学―独立行政法人化のゆくえ』、p84- "独立行政法人化では今ここにある問題を解決できない"