安保関連法案の今国会成立に反対する声が強いが、それでいて自民党や内閣支持率もかなりの数字を保っている。ほとんどが電話によるアンケート調査であるわけで、どこまで正確かは分からないが、国民が選択に迷っているさまが容易に想像が付く。マスコミ報道は「戦争法案」とか言いたい放題である。デモについても、主催者側の発表をそのまま伝えて、反対運動を煽るのに躍起になっている。これに対して、安倍内閣は防衛大臣のポストに中谷元を就けたのが失敗であった。もっと弁舌がさわやかでなくては説得力がない。さらに、自民党からの質問者も、あまりにも紳士的でインパクトがない。次世代の党にもっと力があれば、法案審議ももっと変わったものになっていたはずだ。日本にどれだけの危機が迫っているかを、正直に語ればいいのである。役人のつくった文章を読んでいるから、なおさら始末が悪い。法案を成立させるためには、反転攻勢のきっかけをつくるべきだろう。オルテガの『大衆の反逆』(桑名一博訳)ではないが、大衆とは「善きにつけ悪しきにつけ、特別の理由から自分に価値を見いだすことなく、自分を『すべての人』と同じだと感じ、しかもそのことに苦痛を感じないで、自分が他人と同じであることに喜びを感じるすべての人々のことである」と書いている通りで、マスコミが世論だと書きたてると、それに動かされてしまう人たちなのである。しかし、たとえ「大衆」であろうとも、目前に迫った危機が判明すれば、目が覚めるのである。ここは時間をかけても、安倍内閣は丁寧に説明を尽くすべきだろう。
←応援のクリックをお願いいたします。