国民の多くは覚悟ができているのに、政治の方が追い付いていない。我が国の独立と主権を維持するためには、さらなる日米同盟の強化しかない。今こそ勇気をもって脱アジアの舵を切るべきなのである。日本記者クラブで昨日行われた総裁選に向けての討論会で、菅義偉官房長官、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長の三人の発言は、そうした国民の声を裏切るものであった。とくに、菅官房長官が「対中包囲網」について否定的な見解を述べたのにはガッカリした▼米中の対立が激化しているなかにあっては、等距離などまったく非現実的である。平和安全法制が成立したことで、自衛隊とアメリカ軍が共同して東アジアの守りについている。やるべきことをやって、その上で中共との交渉をすべきであって、安易に日中対話を進めるというのは、お花畑以外の何物でもない▼今日の総裁選で菅官房長官が選出されるのはほぼ確実視されている。しかし、安倍政権の主張を踏襲しようとするのであれば、中共に甘い顔をすべきではないのである。自民党内の媚中派は侮れない力を持っている。それに気兼ねするようでは、自民党を支持する保守が猛反発するのは必至である。菅官房長官が日本派の政治家であるかが問われているのである。
新型コロナウイルスの感染拡大は大都市部では峠を越した感があるが、地方においてはこれからである。会津若松市の福島県立医大会津医療センター附属病院でクラスターが発生し、昨日の段階で9人に拡大した。これまで感染者ゼロを誇っていた会津地方が大変なことになっているのだ。今日から当面の間、外来診療がストップすることとなった。それ以外にも会津地方には同程度の規模の病院はあるが、影響は計り知れないものがある▼今大事なのは福島県立医科大学が面子を捨てることだ。自分たちの手に余ることであるのなら、国の感染症の専門家や自衛隊の医療チームの応援を要請すべきだろう。ここ2、3カ月に限ってみれば、新型コロナウイルスでの死亡率や重症化率は低下している。対応を誤らなければ深刻な事態にはならないと思われるが、入院患者に感染が広がることがないよう万全の策を講じなくてはならない。さらに、会津地方の他の医療機関でも、警戒を強めるべきだろう▼会津地方の高齢化率(65歳以上が占める割合)は、かろうじて会津若松市が30パーセント以上35パーセント未満ではあるが、奥会津などは50パーセントを超えている町村もある。その点も考慮するならば、漫然としているわけにはいかない。国もそのことを肝に銘じて、支援体制を強化すべきなのである。