草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

竹中平蔵はベーシックインカムの本来の意味を理解していない!

2020年09月25日 | 思想家

ベーシックインカムについて竹中平蔵が発言したことが物議を醸している。国民全員に毎月7万円では少なすぎるとか、年金と生活保護の廃止がセットである点に、ネット上では猛反発が広がっている。竹中あたりが口にするから問題であって、働くということについて、人類は大きな分岐点に立たされているのではないだろうか。額に汗して労働するから収入が得られるのではなく、既得権益に守られて暮らしている者たちがいる一方、何の保証もなくその日暮らしの人たちもいるのである▼ハンナ・アレントは『人間の条件』(志水速雄訳)において「労働」と「仕事」を区別している。労働は生きていくために必要なものを生みだすことだ。自然とは一体である。これに対して「仕事」は有用性が重んじられ、繰り返される生命循環の永続性にとどまってはいない。そこからの離脱は「自然の破壊、暴力と侵犯の要素が不可欠」なのである。そこでアレントは、有用性を突き抜けるために「特殊に人間的な生命が、地上において安らぐための条件」として、世界標準としての「美」を説く。これによって「仕事」が「活動」になり、複数性という「人間の条件」が明かになるのだ▼複数性には「同等性」と「差異」がある。人間は他者とともにあることで人間であり、「仕事」が「活動」になるための環境整備が、本来のベーシックインカムなのである。

コメント (1)
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