岸田田首相という政治家は、かつて丸山眞男が口にした「戦後民主主義の虚妄」に賭けて、あろうことか自民党を壊し、その勢いで日本全体を壊そうとしているのである。
安倍さんが外務大臣時代の岸田首相に、国際関係の厳しさを説いても、まったく理解できなかった人間なのである。しかし、それは岸田首相だけの問題ではないのである。
保守派の論客であった、あの佐藤誠三郎ですら「日本と中国・ソ連・北朝鮮等との関係の改善は、東アジアの緊張緩和をさらに促進し」(『死の跳躍』を超えてー西洋の衝撃と日本-)と書いた時代があったからだ。
田中角栄と周恩来の間で実現した昭和47年の日中国交正常化に異を唱えたのは、言論界では唯一福田恆存、政治家では石原慎太郎、中川一郎らが所属した自民党タカ派の青嵐会くらいであった。
大半の国民が日中友好ムードに踊らされて、その先に待ち構えている危機など、予想だにできなかったのである。それよりも、中ソ対立の方が深刻のように思えて、日本は対岸の火事として勝手なことを言うことができたのである。
しかし、それから50年以上が経過した今となっては、逆にブレジンスキーが『ひよわな花日本』で、日本が軍事大国化へ見かわせる圧力として「対外的不信感」「アメリカの核の傘に対する信頼感の低下」を指摘していたが、中国による軍事的挑発や、北朝鮮の核ミサイルの開発などで東アジアは緊迫し、アメリカの東アジアでのプレゼンスも大幅に低下している。
だからこそ、エマニュエル・トッドが日本が核武装すべきだとアドバイスをし、安倍さんも、アメリカとの核の共有について、話し合いを始めるべきだ、との見解を示したのである。
自民党が目の前の危機と真摯に向き合わなければ、日本国民の命を守ることができないのである。とんでもない事態になっているのに、間抜けなことしかできない岸田首相を、一体いつまで担ぐのだろうか。岩盤保守層を失ってもよいと思っているのだろうか。