ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.11.21 「ダイバーシティとポジティブ・アクション」聴講

2011-11-21 20:58:05 | 日記
 今日は、午後から学内で行われた“ダイバーシティ推進室キックオフシンポジウム”を聴講した。
(ダイバーシティとは「多様性の尊重」を意味する言葉であり、ポジティブ・アクションはわが国では「積極的格差是正措置」、「積極的改善措置」として使われている。)

 基調講演は、東北大学大学院法学研究科教授の辻谷みよ子先生をお招きして「ダイバーシティとポジティブ・アクション-学術分野の男女共同参画問題を中心に-」。ダイバーシティにおけるポジティブ・アクションの意義と課題についてお話して頂けるというものだった。

 辻村先生は「日ごろ私は学生から“三倍速”と言われているが、今日は喉の調子が悪いので、ちょうどよいかもしれない。」と講演を始められたが、とんでもない。圧倒的な情報量で1時間強ノンストップ。学術分野の男女共同参画―現状と課題、ポジティブ・アクションの理論的根拠・必要性、学術分野のポジティブ・アクション、それぞれについて豊富な具体例を織り込みながらまさに立て板に水、一度も淀むことなく、それこそ迫力満点でお話しされた。

 私がダイバーシティという言葉を最初に聞いたのは、数年前に参加したワーク・ライフ・バランスのシンポジウムだったと思う。近年、ダイバーシティに取り組む団体、企業、大学が増えているという。
 勤務する大学でも、多様な人々がそれぞれの個性を活かして自由に活動する魅力ある大学を目指して、今年3月にダイバーシティ推進基本計画が策定され、9月にダイバーシティ推進室が設置された。今後、男女共同参画、障がいのある構成員支援など、ダイバーシティ推進を目的とした事業を実施する予定だとのことを知り、具体的にどんな事業を考えているのか一職員として興味があった。

 推進室は設置されたものの、実質的には今日がキックオフということで、休憩後の後半は、ダイバーシティ推進室長を勤める女性副学長から、今年度の文部科学省科学技術人材育成費補助事業「女性研究者研究活動支援事業」の実施機関に選定されたことについての紹介があった。
 勤務する大学で女性研究者が占める割合は、全学平均で15%。半数を超える学部がある一方、4%という学部もある。まずはダイバーシティ(というよりも男女共同参画)実現のための意識啓発と環境改善、続いてワーク・ライフ・バランスに関する多様なニーズ調査から始めて、多様な生き方・働き方を実現できる制度設計を、さらには若手研究者の研究の活性化、裾野を拡大することで多様性による「新たな知の創造」を目指すという。

 その後、推進室長が進行役を務め、学内から広く積極的に意見を頂きたいという論調で、辻村先生、本学の文系・理系それぞれ2名ずつの教員によるパネルディスカッション「ポジティブ・アクションと公平性」が始まった。各教員から、基調講演を聞いての感想も含め、各々の専門的な切り口からの発言があった。
 フロアからの質問にも出たが、ダイバーシティという言葉が持つ本来の多様性というよりも、まずは男女共同参画という段階で、障がいのある教職員や学生といった実際のマイノリティの支援までは話が及ばなかったのがちょっと残念だった。だが、そのことも十分視野に入っているということはわかったので、今後の取り組みに期待したいと思う。

 女性が働きやすい職場、さらにマイノリティが働きやすい職場は、文字通り全ての構成員にとって働きやすい職場なのではないだろうか。そもそも、本来は男女比がほぼ半数であるのに、男性だけが“24時間働けますか”という社会では育児も介護も成り立っていかない。私のように通院が欠かせない職員も十分マイノリティなのだけれど。

 今日もいいお天気だったが、風は冷たく昨日に比べ気温はかなり低かった。寒くなるとやはり胸痛が出るのが、気がかりだ。明日は今年一番の冷え込みという。

 明日から夫は5泊6日の往復船便出張。旅支度も慣れたもので、自分できちんと荷造りをしている(何も私が手を出さずとも“やればできる!”なのだ。)。急に暖かい所に行って風邪をひかないとよいのだけれど。

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