ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2012.1.16 前回の通院日以降に読んだ3冊

2012-01-16 07:15:38 | 読書
 前回の通院日には1冊半しか読めなかったのだが、その後、合わせて3冊読み終わったのでご紹介する。
 
 1冊目は坪田一男さんの「長寿遺伝子を鍛える」(新潮文庫)。
 帯には「余裕で100歳!21世紀アンチエイジング研究の劇的な最先端」「美しく年を取るためにはどうすればよいか?その答えがここにある。」とサイエンス作家の竹内薫さんが絶賛!という解説文が書かれている。
 裏表紙には「21世紀に入り、劇的に進化を遂げたアンチエイジング研究。老化と寿命を研究する最新の科学分野において特筆すべきなのは「寿命を延ばす」遺伝子群の発見と、それらを活性化させる方法、すなわち「鍛え方」が続々と報告されたことだった。遺伝子群発見に至る研究者たちの知られざるドラマと、いまなお次々と発表される最先端研究の成果を、斯界の第一人者が生き生きと紹介する。」とある。
 筆者は眼科医だが、加齢による眼病である白内障の手術をした患者さんや、レーシック手術で視力を回復した中高年が突然若返ってしまう、ということを目の当たりにし、アンチエイジングに興味を持つようになったという。
 長寿遺伝子の発見やメタボなど話題は多岐にわたり、がんの話も出てきて興味深かった。いずれにせよ、“ごきげん”や“幸せ”でいること、笑顔を作っていればこれらの状態が作り出せること、ひいては長寿につながる、ということにとても頷けた。
 
 2冊目は阿部彩さんの「弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂」(講談社現代新書)。
 帯には「貧困問題の新しい入門書 「つながり」「役割」「居場所」から考える」とある。「社会的包摂」とは、従来の貧困の考え方をより革新した「社会的排除」に相対する概念で、「社会につつみこむこと」であるという。貧困とは、「必要なモノやそれを得るための資源(お金やその他の手段)がない」ことであるが、社会的排除とは、「社会、つまりは制度や仕組み、人間関係、物理的な場所、から追い出されることだという。
 プロローグ・「社会的包摂と震災」において筆者は自らの立場を明らかにしながら、生活崩壊の実体、「最低生活」を考える、本当は怖い格差の話、と章が進んでいく。4章目の格差の話で、「格差」という、人々を「上」や「下」の段階にランク付けするシステムの仕組みが人間関係を劣化させている、という指摘には唸った。一部の人が排除される社会は、すべての人が生きにくい社会なのである。筆者があとがきで述べているとおり、日本の将来の姿が格差社会のなれの果ての姿でないことを願いたい。

 3冊目は後藤文夫さんの「超高齢医療の現場から 『終の住処』診療記」(中公新書)。
 帯には「すこやかに老いるために 老いと死を見守ってきた病院長からのメッセージ」とある。表紙の裏には「高齢者施設に囲まれた高原の小さな病院。その院長である著者は、日々、多くの85歳以上の超高齢者を診療しているが、苦悩は深い。急速な高齢化により、介護施設の不足は深刻で家族は受け入れ先探しに疲弊する。認知症高齢者の介護問題や、年金不足による経済的トラブルも多い。どうすれば、豊かな老後を過ごすことができるか、そして穏やかな死を迎えることが出来るのか。老いと死を見守ってきた現場からの貴重な報告と提言」とあり、義母のこともあり、手に取った。
 実の娘の介護放棄、穏やかな死と「死の質」、認知症の合併症による家族とのトラブル、認知症患者の悪口雑言とクレームに疲弊する介護職員、在宅介護と介護ストレス、入院三か月・これからどこへ? 姉が妹の障害年金を流用など、豊富な実例が提示される中で、やりきれない現実を目の当たりにした。
 安楽死・尊厳死の問題、超高齢期を前向きに生きて呆けの進行を遅らせる等、考えさせられる内容が多かった。
 
 明日は都心で早朝会議のため、今日はいつもの宿に前泊する。夫と息子は恒例のカレーの夕食である。
コメント (2)
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