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大伴旅人・心尽くして思ふらん

2013-09-23 13:09:22 | 日本語・古事記・歴史・日本人

今となっては懐かしい自分の心の遍歴で『万葉集』の周囲をうろうろしていた三十代の頃、ファイルに綴じたままずっと解決されていなかった大伴旅人の長歌と短歌、そしてそれを念頭に置いていたに違いない『その子』家持の短歌があります。こういう記事を書くのも何かの御縁、ご披露したいと思います。

     乳の実の父の命 柞葉の母の命 
             おほろかに 心尽くして思ふらむ その子なれやも 
         大夫や 空しくあるべき 梓弓 末振り起こし 
                投矢以ち 千尋射渡し 剣太刀 腰に取り佩き 
             足びきの 八尋踏み越え さし任る 心障らず 
                      後の代の 語り継ぐべき 名を立つべしも

     大夫は 名をし立つべし 後の代に 聞き継ぐ人も 語り継ぐがね


家持の短歌
     士(おのこ)やも 空しくあるべき 後の代に 語り継ぐべき 名を立てずして


音を楽しんでいただきたいので、ひらがなのみで書きます。どうぞ声を出してお詠みください。

     ちちのみの ちちのみこと ははそばの ははのみこと
              おほろかに こころつくして おもふらむ そのこなれやも
          ますらおや むなしくあるべき あずさゆみ すえふりおこし 
                 なげやもち ちひろいわたし つるぎたち こしにとりはき
              あしびきの やひろふみこえ さしまくる こころさわらず
                    のちのよの かたりつぐべき なをたつべしも




さてこれが何の問題かと申しますと、久しぶりに買い足した川崎先生の本のテーマの一部だったからです。何気なくネットで注文した本が届いて驚きました。実は川崎先生の御本を何冊か読んで、ブログでご紹介したとおり、矛盾で混乱とスランプに陥り、決着を求めて心の中で温める以外ありませんでした。そして自説が纏まるにつれて、新しい矛盾にぶつかるかもしれない恐怖(?)も感じつつ、『謎の神 アラハバキ』なるご本を読みました。そこでぶつかったのが、この旅人の歌の冒頭の言葉、それも先生の中ではこうなっているんです!!!

          知智乃宝乃 父能命 波播蘇葉乃 母能美己等・・・・・
          ちちのほの ちちのみこと はばんしょぱの ははのみこと・・・・・・

そしてこれは 『父の父の 父の命 母の母の 母の命・・・・・・』という言語学的問題を含んだ、或いは日本語の問題を証明する枕詞の問題だと仰るのです。そうかもしれません。私の中で、『そうだ!』と先生のお説をすぐにさっと肯定しきれない何かは、そこにたゆたっている時間の経過の問題です。これも『バベルの塔事件はいつか』という問題の一部なのかもしれません。日本列島の中で醸成された私達の日本語・・・・・日本人の身体の『ヒビキ』です。自分の一部を開放しているのですから、大切に大切に発していきたいものです。日本語の音そのものが自分だと思って、自分の声として出てくる音を聞きたいと思います。私もまた『心尽くして思い』たいと思います。




それでは今日も:

     私達は横田めぐみさん達を取り戻さなければならない!!!

コメント (2)
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