この世に、誰とも会わない、と断言できる道など存在しない。道は、人が通るために人工的に作られたものであり、例えば獣道のように、誰かが通っていつの間にか自然に道になったものを言うからである。
では、この句の道はどういう道か。それは作者の考え方、生き方を決意表明している抽象的な道ではあるまいか。身内など一切の人を拒否した、孤独なへそ曲りのようにも感じられるが、そうではなく、誰にも頼らず生きていこうとする独立心を示しているのではあるまいか。
例えば、芸術や学問などの分野においては、前人未到の道を開拓することが最も重要だ。しかし、その道で成功したり、目的を成就することは、全く幸運な一部の人間に限られているのであって、それは実に困難なことなのである。