〈ヨーガ、 yoga(梵)。古代から伝わるインドの宗教的実践の方法。精神を統一し、物質的束縛から解脱をはかる。現在では健康法の一つとしても行われる。〉
私は、三、四年前から週一回、近くの公民館の体操教室に、かなり真面目に通っている。市の社会福祉協議会から女性の先生が来て下さり、一時間半ほどしっかり体を動かし、指導を受けている。生徒は、ほぼ全員女性の高齢者である。「死ぬまで元気」を合い言葉に、みんな必死でガンバっている。
ある日 “ 笑いヨガ ”なるものを教えて下さった。まず、面白くなくても声を出して笑う。大声で笑いながらニワトリのように教室内を走り回る。出会う人の目を見て笑い合う。作り笑いでも、 アッハ・アッハ。キャッキャッ。と笑っているうちに、何だか楽しくなってくるのである。窓の外から覗いている人がいたら、異様な光景にびっくりしたと思う。頭をからっぽにして、大声で笑って、走り回って、幼児になったような一刻。開放感を味わえた。“ 笑いヨガ ”またやってみたいと思う。
うぐいすや前頭前野に沁みわたる
電柱の天辺に鴉フクシマ忌
陽炎や子ら笑い合いもつれ合い
老兵の囲む盤面飛花落花
唄うようにメルシィーと応え新樹光
S・Lの汽笛にはしゃぐみどりかな
筍を抱けば赤子の湿りかな
口中に味無きガムや蝉の羽化
折り返すバス耿耿と蛍の夜
風切羽拾いて挿せり夏帽子
冷酒や兄に少しのお説教
腹這いて灼ける河原の石を抱く
コロッケの包みの匂う敗戦日
蛇の子の意地の顎して轢かれおり
爽やかやホップ・ステップ島へ跳ぶ
林檎割れば面梟の貌現るる
狗尾草夕日に小骨透けており
露けしや遺影かすかに笑み給う
アンドロイドに瞬き生まれ星まつり
少年の一節伸びて月の影
夜廻りの鐘引き返す峠かな
冬山の気魄飲み干す「 一杯水 」
錐揉みに鳶吸い込めり冬青空
オウム貝抱き丹沢山塊眠りたり
ピータンの核の混沌女正月
(岩戸句会第五句集「何」より 石川 薪)
ヒメツルニチニチソウ(姫蔓日々草)