一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1949   祭りの夜裏で汗するボランティア   清海

2018年05月25日 | 岩戸句会 第五句集「何」

ある夫婦の7年の歩み。

  2011年。真鶴元年、東日本大震災後、夫婦は真鶴へ移住。夫婦の夢はセカンドライフ・・・・・のはずが、夫は会社を辞められず現役続行。

  妻は自身の両親と夫の父親の三人を自宅で看ることに。そんな中、2014年、妻の肺がんが見つかる。しかし、すでに全身転移のステージⅣ。この時、余命四週間と宣告されるも、今も尚、しぶとく生存。

  2016年暮、夫は現役最後の日、会社を出て真っすぐ向かったのは何と床屋。頭を丸めて帰宅し、副作用で髪の抜けた妻に、「これで一緒だよ」と帽子を取って見せた。夫は、この日から妻の介護に専念。夫は、妻の介護ボランティアを志願してくれたのだ。丸坊主はその表れである。

 2017年さて、表題の句は、妻がこの夏、貴船まつりで駐車場整理のボランテイアをしていた夫のことを詠った句であり、この妻というのが私である。

  2018年、もうすぐ八回目の真鶴の春。「清海がいなくなると寂しいね」と夫が言う。その日が一日でも長く伸びますように。夫のボランティア精神=愛に支えられ、二人三脚で前進あるのみ。

 

故郷の赤城山から空っ風

冬空をキラキラ舞ってく花火がドーン

孫二人嫁にもひとつお年玉

坂凍る散歩の足も早まれり

大寒に違わず白き花舞う宵

 

芽柳のやわらかきかな風誘う

菜の花を見ていて勇気湧いてくる

鳥の恋枝しなわせて追っかけっこ

鳥啼きて合図のごとき雨上る

腕を組み悟りを開くか雨蛙

 

はば海苔を干す手休めて道案内

着信音ホーホケキョと鳴く胸ポッケ

味噌溶きて緑鮮やか若布汁

炎昼にうつらうつらと猫になる

青梅や香も実もジャムに閉じ込めり

 

氷水食べ比べたる軽井沢

風揺らぐ誰と結ばん水引草

バッタの仔窓にしがみつきドライブす

鮮やかな赤にうつろう唐辛子

秋の声振り向けば誰いたのかと

 

天空に穴の開きたる冬の星

シクラメン去年の株が花盛り

水仙の香りも強し仏様

こんな夜は手袋買いに仔狐も

寒卵割って朝から頑張るぞ

(岩戸句会第五句集「何」より 大塚清海)

ムラサキカタバミ

 

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