一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1951   北上はいま翠靄に芽吹く時   さくら

2018年05月27日 | 岩戸句会 第五句集「何」

東北の春は ゆっくりと雪が解け  ゆっくりと近づく。

待ちくたびれた頃、 靄がかかった様に樹木が淡い緑に包まれ

私達女学生は 、紺のズボンから襞スカートに履き替え、生き返った様な心地でした。

人生の後半の旅の句も終着駅が見え隠れしてきた。それが、ささやかな私の足跡となりました。

 

残雪のイーハトーブに風ぁ吹く

子規庵や小さき宇宙に木の芽雨

三春には枝垂桜がよう映える

水底で春光仰ぐ茶室かな

遅桜此処に三年庵跡

 

老桜五木の村を語り継ぐ

五月雨るる匂い立ちおり伎芸天

漣の さす湖や鮎の里

青楓慈悲の阿弥陀がふり返る

烏賊釣りや眠らぬ海の集魚灯

 

紅の花京を乗せ来し湊かな

八丈の闇の闇より青葉木菟

嵯峨野往くただサヤサヤと竹の春

万感の摩文仁の浜や夏の果

戦史館カタカナの遺書夏逝きぬ

 

ひそとして尾花を映す余呉の湖

行き行きて行きて梓の水澄みて

波を吹く江差の軒に冬近し

冬たんぽぽ基地まん中の高速路

漱石忌子規手ほどきの愚陀仏庵

 

やさしさや五島の冬も土までも

冬の川虚構と現の宇治十帖

元寇の防塁埋まる冬の浜

やませ吹き浄土ヶ浜を塞ぎゆく

キッキッとマイナス四度を踏んでみる

(岩戸句会第五句集「何」より西行さくら)

 

ムラサキカタバミ

コメント
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