竹川美子さんについては、デビュー曲「江釣子のおんな」で売り出し中の頃から私は特に注目し、期待をかけてきました。キャンペーンにも何度も足を運び、サイン会で言葉を交わし、ツーショット写真も撮ってもらいました。ここ数年はひところのような熱はないですが、中堅歌手として地道に活動されているのを静かに応援している感じです。
今回の新曲「片恋おぼろ月」は彼女の妖艶さに磨きをかけたというのがキャッチコピーになっています。確かにデビュー当時は彼女の純朴さが前面に出ていましたが、次第に艶やかさが増してきたように思います。
この曲の出だしの「月は朧で」の部分は祇園小唄に歌詞もメロディーも似ており、和のテイストが強調されています。また、「おぼろ」と「やぼ」、「いちごう」と「じょうご」といった韻を踏んだような言葉遣いの面白さもあります。
片想いのせつない心情を歌った曲ではあるのですが、何となく余裕を持って自分の心境を客観視しているような気分も伝わってきます。
彼女の円熟味を増した艶やかな歌唱が存分に味わえるこの曲で、彼女にはさらに大きな飛躍をしてほしいと期待しています。