★島津亜矢さんらしい大変スケールの大きな新曲が出来たものです。一昨年の『大器晩成』もスケールの大きな曲でしたが、自己に聞かせる精神論といった内容でした。今度の『富士』は、まず女歌であることが特徴で、妻が夫を力強く鼓舞する内容です。こういった感じの女歌を唄ってサマになる女性歌手はざらにはいません。まさに力強い歌唱では定評のある島津亜矢さんにぴったりの曲と言えるでしょう。
★この曲を聴いてまず印象的だったのは、大と小との対比の妙です。樹齢百年の幹と小さな芽との対比は平凡ですが、これはただの前触れといったもので、富士山を手のひらに乗せるという表現がいいですね。これで思い出したのが葛飾北斎の浮世絵で、職人が作っている大きな樽を通して富士山が見えているという構図です。
★日本一の名峰、富士山を呑み込むようなスケールの曲を唄う彼女には、日本一の歌手を目指して突き進んでもらいたいですね。