タイトル見て、またしてもフロイド・ネタか?と思った人もいるだろうが、今回は違うのだ(笑) ほんとに、タバコの話である。
知ってる人は知ってるけど、僕はスモーカーだ。セブンスターを一日20本くらい吸う。多いのか少ないのか丁度いいのか、よく分からない。近頃はスモーカーが肩身狭いのは分かってるし、周囲に迷惑にならないようにしてるつもりだけど、もしかすると迷惑をかけているかもしれない。もし、迷惑をかけているのなら、この場を借りてお詫び致します m(_ _)m
タバコを吸い始めて20数年になるだろうか。吸い始めたきっかけは、実に些細な事というかつまらぬ事というか。大学生の頃、同じサークルの女子学生(スモーカー)にタバコ吸わないのか、と聞かれて吸わないと答えたら、「ふ~ん、真面目なんだねぇ」と言われたからである。当時の僕は(今でも、ややその傾向あるけど)真面目と言われるのが、とてもイヤだったのだ。皆さんも記憶あると思うが、10代から20代にかけては、真面目という言葉は「堅物」「面白味のないヤツ」とイコールである。「あいつはいいヤツだけど、真面目だから」なんて、敬遠されたりしてしまうのだ。で、僕は真面目と言われることが多く(実際そうだったと思うが)、それゆえ損もしていたから、とにかく真面目だなんて言われないようにしよう、と必死だった。女の子だって、真面目というレッテルを貼られると寄ってこない、と思っていたし。だから、前述の女子学生に真面目だ、と言われた瞬間、僕はタバコも吸わねば酒も飲まねば、と決心したのだ。で、タバコを吸い始めた、という訳。別に、その女子学生の気をひこうとしたのではない(彼女の名誉の為に言っておくが、結構美人だったよ)。ただ、真面目だと言われるのに耐えられなかっただけなのである。もちろんのことだが、今思うと大した理由ではない。
ただ、ダハコに手を出すのには抵抗はなかった。一応20歳過ぎてたし。真面目と言われたくなかったら万引してこい、なんて言われたとしてもしなかっただろうから、元々タバコを吸いたいと思っていたのかもしれない。第一、いくら真面目と言われたくないからといっても、美味いとも思わない物を20年以上も吸ってられるはずがない。
そこで思い出す出来事がある。小学生の頃のことだ。ある時、何家族か集まって、数台の車に分乗して行楽に出かけた。で、この頃の僕は車に弱くて、長時間乗っていると必ず気持ちが悪くなって吐いたりしていた。車酔いってヤツだね。で、この行楽に出かけた時も、途中で渋滞などがあって、かなり長い間車中にいた訳だが、徐々に気持ち悪くなってきたのである。「ああもう吐きそう」と思った時、とある香りが漂ってきた。同じ車に乗っていた近所のおじさんが、我慢しきれなくなってタバコを吸い始めたのだ。そのタバコの香りを嗅いだ時、不思議な事に気持ち悪かったのが、すぅーっとなくなった。おそらく、車酔いの原因も車内の独特の匂いにあり、タバコの匂いがそれを消してくれたので、気分が良くなったのだろう。以来、僕はタバコに嫌悪感を持った事はない。
ま、そんな経験もあるし、また当時は周囲にスモーカーが多かったから、抵抗なくタバコを吸うようになったのだろう(但し、当時タバコを吸っていた仲間の半分以上は、後にタバコを止めている)。まだJRの車内は(在来線ですら)禁煙ではなかったし、レストランや喫茶店でタバコを吸うのは当たり前の時代だった。日本映画でもアメリカ映画でも、男優は皆タバコを吸っていた。「嫌煙権」という言葉が市民権を得るのは、もっと後だ。スモーカーは肩身狭い、なんて事はなかったのである。
もちろん、今は状況が違う。スモーカーは常に周りに気を遣ってタバコを吸わねばならない。とある独身女性へのアンケトーによると、43%がスモーカーとは結婚したくない、と答えたらしい。スモーカーは敬遠される側になってしまった。今僕が大学生だったら、「タバコ吸わないなんて、真面目で素敵」なんて、モテまくっていたのかもしれない(ないない)
いや、昔からタバコが嫌いな人はいたのだろう。ただ、大多数がタバコを吸う世の中にあっては、その存在は顧みられる事がなかっただけに過ぎない(実際、僕の父もタバコは吸わなかった。僕が生まれる前からずっとだ)。思うに、当時からタバコを吸わない少数派に対して、スモーカーたちが気を遣うようにしていれば、今になってここまでバッシングされる事はなかったのかもしれない。
ただ、不思議に思う事もある。タバコはご存知の通り、JTが製造販売している訳だ。が、スモーカーが確実に少なくなってると実感する今日この頃だが、そのせいでJTが経営不振に陥った、なんて話は聞かない。ちょっと調べてみたけど、JTは単体でも年間2兆6,859億の売り上げがあり、経常利益は1,951億という超々優良企業である。ここ2~3年のタバコ販売本数も(20年前に比べれば減ってるだろうが)横ばい状態。つまり、タバコの売り上げは、それほど落ちていないのだ。という事は、スモーカーの数も減っていないということになる。中高年のスモーカーは確実に減ってる、というのは周りを見ても確かだと思うので、つまりは若い世代には昔とほぼ同数のスモーカーがいる、という事になるのだろうか。
数年前、アメリカで、非喫煙者団体がタバコメーカーに対して訴訟を起こし、裁判所もこれを全面的に認めて、メーカーに賠償金を払うよう命じた事があった。この賠償金がとんでもない額で、1億や10億ではなかったような気がする。払わなければ、タバコの製造を中止しなければならない、ってんでメーカーは命じられた賠償金を払う事に同意した。何百億という賠償金を払ってでも、製造を続けていく方が得策と判断した訳だ。つまり、タバコはそれだけの売り上げと利益を会社にもたらす、という事なのだね。タバコは商売になるのだ。つまり、買って吸う人がたくさんいる、と。
淘汰されたようでも、スモーカーは決してなくならない。ならば、嫌煙・禁煙もいいが、スモーカーと非スモーカーの共存を計る事は出来ないものだろうか、と僕は思う。自分では、灰皿のない場所では絶対に吸わないとか、車に同乗者がいる場合には吸わないとか、一応心がけてはいる。吸う人を優先するのではなく、吸わない人を優先するのも賛成だ。ただ、少々狭くてもいいから、公共の場所にも喫煙ルームを設置してほしいとも思う。そのための経費はたばこ税から出すのは当然だ。吸いたいのに我慢してるより、「ちょっと失礼」とタバコを吸いに行ける環境の方がいいと思うし、その程度を容認するくらいの度量を非スモーカーには期待したい、とも思う。要するに、吸える場所と吸えない場所をはっきりと区別して、煙や匂いが吸わない人に届かないようにすればいいのではないか、と思うんだけど、どうなんだろう? やはり、根こそぎ退治してタバコそのものを絶滅させないと気が済まないのか。
それなら、タバコを無茶苦茶高価なものにしてしまう、というのもいい手だと思う。一箱1万円くらいにするのだ。そうすればスモーカーは一気に減るだろう。貧乏人には手が出ず、タバコを吸うのは金持ちばかりとなる。あ、そうなると、今度はスモーカーがモテるもかしれんな(笑)
ま、とにかく、吸う人と吸わない人の、それぞれの権利を尊重して、互いに仲良くしていきましょうよ、と僕は言いたいのである。決してスモーカーは肩身が狭い、と被害者ぶって泣き言並べているつもりはありません(え、そう聞こえるって?)