日々の覚書

MFCオーナーのブログ

環境

2007年12月06日 21時50分20秒 | 与太話

今月、会社の後輩が辞めたのである。厳密には、まだ会社に籍はあるが、有休を使って今は出社していない。一応同じ部署だけど、勤務地が違うので一緒に仕事をしたのは少なくて、彼の能力とかはよく分からないが、人柄と頭の良さ、仕事に対する意欲等は感じ取れた。確か、入社してまだ4年くらい、年も26~7だったはず。惜しい人間を辞めさせてしまったものと思う。

なんとなくではあるが、こういう扱いをしていたら、彼はいずれ辞めると言い出すのではないか、と思っていた。前述したが、入社してそこそこ経っているにもかかわらず、使い走りみたいな事をさせられていたからだ。先輩の下働きをして仕事を覚える、というのはサラリーマンの基本だが、それはせいぜい入社2年目くらいまでの話で、4年過ぎた若手にパシリをさせておくほど、うちは余裕ないはずだ。要するに、使い切れなかったのである。上司(先輩)が無能だったという事だ(この場合の上司や先輩は僕ではない事をお断りしておく...笑)

うちの会社は、どういう訳か、社員の教育マニュアルの類が存在しない。新人がやって来ると、とりあえず教育係が任命され、一緒に仕事をしたり出張に行ったりする。が、マニュアルがある訳ではないので、教育と言っても人によってやり方が全然違う。面倒見のいい人もいれば良くない人もいる。教えるのが下手な人または教えるのを好まない人もいる。そういういい加減な教育システムの中で、新人は仕事を覚えていくのだが、教える方がちゃんとしてないから、育つものも育たなかったりする。教育係を任されても、最初からやる気はなく放棄する人すらいるのだ。だから、新人は皆放任状態。そういう環境の中で育ってくる、つまりモノになるのは、かなり優秀か新人離れした高い意識の持ち主だけである。もちろん、そういう新人が毎年入ってくる訳ではない。従って、モノにならず辞めていく若手の方が多い。

こういうシステムの中で仕事を覚え、戦力になった人たちというのは、一匹狼みたいな感覚の人が多くなる。誰にも世話にならず、自分で這い上がってきた、という意識が強いのだ。だから、モノにならない若手に対して、「仕事を覚える気がない」の一言で片付けてしまう。そういうのばかりではないんだけど。なかなか戦力にならず、というか、上司に勝手に役立たずの烙印を押されて、いくつかの部署を転々とした挙げ句辞めていった若手をたくさん見ているが、確かに使えないのもいたけど、上手く仕込めばモノになったのではないか、と思われるのも何人かいた。実に勿体ない。うちのような中小企業は、毎年毎年優秀な人が入ってくる訳ではないのだから、せっかく入社した新人に対しては、並以下でも並くらいにはする努力が必要なのだ。人手不足だとか人材不足だとか、あちこちで騒いでるけど何のことはない、自分たちで人材を潰してしまっているのだ。このように、新人を育てられない上司を、無能と言わずして何と言えばいいのか。

前述の後輩にしても、それらしい指導をしている様子はあまりなかった。ある程度経ったら、担当を持たせて、自分の裁量で顧客廻りなどさせないと、自覚も芽生えないし、仕事だって覚えない。この後輩の上にいる連中は、「まだ安心して任せられない」とか「自ら顧客を獲得するくらいでないと」なんて事を言っていたらしいが、早い話、自分の顧客や担当を後輩に渡すのがイヤなだけなのだ。そいつらも、別に自分で顧客を開拓した訳ではなく、当時の先輩や上司から引き継いだだけなのだが。一匹狼だけに、考え方も自分本位で、都合の悪い事はしっかりと忘れている。後輩を潰してでも、自分の売り上げを守りたいらしい。これでは、若手は育たない。

僕の場合、入社して2年程したら、例の“バブル景気”がやってきて、あまりの忙しさに猫の手も借りたいとばかり、何も知らないうちからあちこちへ行かされていた記憶がある。もちろん、ろくな教育はされてない。人手が足りないからそうなったのであるが、そんな中で仕事を覚えてがむしゃらにやっていたのだが、今は当時とは状況が違う。人手云々より、将来を見越して新人を採っているのだ。覚える前に仕事をこなさなければならなかった20年前と同じやり方は通用しない。

そういう、何も分かってない連中の下で仕事をせねばならなかった後輩には、同情を禁じ得ない。いつまでも半人前扱いされ、何もさせて貰えず、飼い殺しの日々。何もせずに給料貰えるのなら、それはそれでいいや、と考える人間の方がまだ救いがある、というのは悲しい現実だ。僕だって、そういう環境であれば、辞めたくなっただろう。こんな事をしていては、いつまで経っても新人は居着かない。で、気がつけばロートルばかり、という訳だ。

ついでに言うと、前述したように、うちは一匹狼みたいな社員が多いが、こういう人たちは仕事に於いては有能である。何も教えなくても、自分で覚えたくらいだから、それは確かと思う。しかし、専門的な分野に於いて優秀でも、管理職としては無能、という人が多いのも確かなのだ。管理職という仕事は、通常の業務とは、全く別物なんである。自分の事だけ考えて仕事してきた連中に務まるポジションではない。部下を上手に使う、なんて事は逆立ちしても無理で、当然成果は上がらないから、結局「オレがやる」って事になる。で、その時は上手くいくが、部下は何も学ばないままで腐っていく。部下を育てるのも、管理職の重要な仕事なのだが、まるで分かってない。部下がミスして自分が叱られると、キレたりする。そのくせ、『上司は思いつきで物を言う』なんて本を読んでたりなんかする。お前の事だっちゅうの!(爆)

てな訳で、僕なりに目をかけていた後輩の退職はショックであった。オレも辞めようかな、なんて思ったもんね(笑) ま、なんというか、FA宣言するプロ野球選手の気持ちに、ミョーに分かるような気がする今日この頃(爆)

とにかく、環境が人を育てる、のである。

コメント (6)
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