日々の覚書

MFCオーナーのブログ

Limited Edition

2011年10月30日 23時08分58秒 | 音楽ネタ

「40周年なんだそうでんなぁ、知ってました?」
「知ってるよ、だから色々とキャンペーンやってるだろ」
「へぇ~、どんな?」
「まずハンバーガーの無料券」
「おおっ、太っ腹でんな~、っておい」
「続いて、ビッグマックを創業当時の価格200円で販売」
「200円!CDも高うてかなわんし、200円は有り難い、っておい」
「その上、来月からはポテトを150円で提供するらしい」
「あんたの言うてんの、みなマクドの話でんがな。わいが言うてんのはクイーンや、クイーン!」

という訳で、以前にもネタにしたけど、今年はクイーン結成40周年であり、フレディ没後20年という節目の年でもある。あれからもう20年が過ぎてしまったのか、時の経つのは早いなぁ、という感慨はどうでもよく(笑)、丁度その節目の年に、クイーンがユニバーサルに移籍した事もあり、オリジナル・アルバム15枚が最新リマスター&HMCDで再発されたのは、皆さんご存知の通り。で、その再発されたオリジナル・アルバムは、通常盤だけでなく、ボーナスEP付きのリミテッド・エディションも同時に発売されているのもご存知の通りで(笑)、熱心なファンはボーナスEP目当てで買ってしまう訳で、もちろん僕も例外ではない(笑) 1973年のデビュー・アルバム『戦慄の王女』から1991年のラスト・アルバム『イニュエンドウ』までの14枚のリミテッド・エディション、なんだかんだ言いながら買ってしまったのである。

ただ、ボーナストラックと言っても、全て手放しで喜べるものばかりではない。それなりに金払うのであるから(リミテッド・エディションと通常盤とでは、600円の価格差がある)、それに見合う内容でないと困る。個人的には、正しいボーナストラックと呼べるのは、

1.オリジナル・アルバム未収録曲(シングルB面曲など)
2.未発表曲(完成品に限る)
3.アルバム収録曲のデモテイク
4.アルバム収録曲のライブテイク。それも、アルバム発表時のもので未発表のもの

これ以外は、はっきり言って必要ないし、認めるべきでない。最新リミックスなんて、どうでもいいです。あ、それと、今回のクイーンの場合、ボーナストラックは本編と別になってるのはよろしい。本編が終わった後に、続けてボーナストラックが出てくると、場合によってはかなり興醒めだしね。

と、ここいらを踏まえて、クイーンのリミテッド・エディションのボーナスEPについて、あれこれ検証してみよう(笑)

QUEEN
1. Keep Yourself Alive (De Lane Lea Demo, December 1971)
2. The Night Comes Down (De Lane Lea Demo, December 1971)
3. Great King Rat (De Lane Lea Demo, December 1971)
4. Jesus (De Lane Lea Demo, December 1971)
5. Liar (De Lane Lea Demo, December 1971)
6. Mad The Swine (June 1972)

いきなりだが、今回のリミテッド・エディションで最も価値があるのが、この1st『戦慄の王女』である。70年代のアルバムなら、他はともかく、このアルバムだけはリミテッド・エディションを買うべきだ。なんたって、デ・レーン・リーでのデモがオフィシャルで聴けるのだから。この時を何年待ったことか(笑)

ご存知ない人もいると思うので、簡単に解説させて頂くと、クイーンはEMIと契約する前に、デ・レーン・リーというスタジオでデモテープを制作している。そのデモが今回ボーナスEPとしてお目見えしたという訳だが、とにかく完成度が高い。全て『戦慄の王女』に収録された曲ばかりだが、「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」だけは録り直しせず、デモがそのまま1stアルバムに収録されたらしい。完成度の高さが窺えるが、他の曲も1stに収録される際に多少の手直しはされてはいるものの、基本的にはほぼ完成している。クイーンの1stでのスタイルは、早い時期に出来上がっていたというのがよく分かる。そら恐ろしい新人である(笑)

「マッド・ザ・スワイン」は、後の『イニュエンドウ』からのシングルのカップリングとして陽の目を見たが、実は1stの頃に録音されていたらしい。確かに、1stに入れるには異質な曲ではある(笑)

『戦慄の王女』というアルバムは、クイーンのデビュー・アルバムな訳で、デビュー・アルバムにはその人(バンド)の全てが詰め込まれており、その後のスタイルの変遷を予見出来るという説があるが、クイーンについては当てはまらないような気がする。ちょっとグラムの香りのするドラマチックなハードロックを志向したのが『戦慄の王女』だと思うが、これは明らかに1stだけに見られるスタイルであり、同じ事は2nd以降やってない。フレディの声だって、1stだけは違っている。

また、大抵の場合、同じアルバムで聴ける曲というのは、音像的に同じ質感というか感触があるものだが、この『戦慄の王女』にはそれがあまり感じられない。デ・レーン・リーでのデモを収録した、というのもあるが、曲によって音がクリアだったりこもっていたり、と音の感じがバラバラ。なんか、クイーンらしからぬ荒っぽさが感じられる。ま、新人だから仕方ないのか(笑) そのせいかどうか、ファンの中で『戦慄の王女』を最高傑作に挙げる人は少ないと思うし、愛着を感じている人も少ないような気がするが(笑)、かといって無視する事もけなす事も出来ないというアルバムでもあり、クイーンのアルバムの中では非常に不思議なポジションに位置している。けど、後の成功がなかったとしても、新人離れした才気を感じ取れるアルバムだ。クイーンが只者でないのは、早くも立証されていた。

QUEEN Ⅱ
1. See What A Fool I've Been (BBC Session, July 1973 - Remix 2011)
2. White Queen (As It Began) (Live at Hammersmith Odeon, December 1975)
3. Seven Seas Of Rhye (Instrumental Mix 2011) 
4. Nevermore (BBC Session, April 1974)
5. See What A Fool I've Been (B-Side Version, February 1974)

上記の、正しいボーナストラックの観点からすると、3.はいらない。面白いけど(笑) 2.はもっと昔の、それも未発表のが聴きたかった。ライブとしての出来はいいけど。

ご存知、クイーンの最高傑作として推すファンも多いアルバムである。確かに、凄いアルバムだ。新人の2作目とはとても思えない完成度とアイデア。手間も時間もかかったろうな。アウトテイクなんて多分ないだろう、というのは想像できる。それだけに、ボーナストラックには、1974年頃のライブ音源をもっと入れて欲しかった。

SHEER HEART ATTACK
1. Now I'm Here (Live at Hammersmith Odeon, December 1975)
2. Flick Of The Wrist (BBC Session, October 1974)
3. Tenement Funster (BBC Sesion, October 1974)
4. Bring Back That Leroy Brown (A Cappella Mix 2011)
5. In The Lap Of The Gods...revisited (Live at Wembley Stadium, July 1986)

正しいボーナストラックの観点からすると(笑)、4.と5.はいらない。特に5.、何故10年以上も後のライブテイクを収録するのか。この時期のライブで、公に発表されていないのがたくさんあるはずだ。熱狂の初来日の音源とか入れてくれたら、ポイント高かったと思うけどね(笑) それと、2ndにも採用されてるけど、1975年のハマースミスは、ライブ盤として一枚で出して欲しいと思う。

A NIGHT AT THE OPERA
1. Keep Yourself Alive (Long-Lost Retake, June 1975) 
2. Bohemian Rhapsody (Operatic Section A Cappella Mix 2011)
3. You're My Best Friends (Backing Track Mix 2011) 
4. I'm In Love With My Car (Guitar & Vocal Mix 2011)                
5. '39 (Live at Earl's Court, June 1977)
6. Love Of My Life (Souyh American Live Single, June 1979)

こちらもクイーンの最高傑作との呼び声高いアルバムだが、ボーナストラックはセコい。はっきり言って、1.以外はいらない。アカペラとかカラオケとか、そういうのを聴きたいファンもいるのか? 5.や6.のライブテイクも時期が飛びすぎ。「ボヘミアン・ラプソディ」の初期バージョンとかあれば、と思うけど、残ってないのかな。それとも、公にするには忍びない内容だとか(笑)

A DAY AT THE RACES
1. Tie Your Mother Down (Backing Track Mix 2011) 
2. Somebody To Love (Live at Milton Keynes Bowl, June 1982)
3. You Take My Breath Away (Live in Hyde Park, September 1976) 
4. Good Old Fashioned Lover Boy (Top Of The Pops, July 1977) (Mono)
5. Teo Torriatte (Let Us Cling Together) (HD Mix)

これも、1.と2.はいらない。「愛にすべてを」だって、1977年頃のライブテイクが絶対あるはずだ。あと、5.もどうでもいいな。ハイド・パークでのフリー・コンサートの音源は、是非一枚のライブ盤として出して欲しい。

NEWS OF THE WORLD
1. Feelings Feelings (Take 10, July 1977) 
2. Spread Your Wings (BBC Session, October 1977)
3. My Melancholy Blues (BBC Session, October 1977)
4. Sheer Heart Attack (Live in Paris, February 28 1979)
5. We Will Rock You (Fast) (Live in Tokyo, November 1982)

少し面白い内容になってきた。1.は初めて登場するアウトテイクである。ブートとかで聴けたんだろうけど、こういうのをもっと発表して貰いたい。で、この曲、なかなか良い出来だと思うけど、未発表のままだった。シングルのB面っぽい(笑) 他については、毎度の事ながら、4.と5.はいらない。BBCセッションは実に素晴らしい演奏が聴ける。

JAZZ
1. Fat Bottomed Girls (Single Version) 
2. Bicycle Race (Instrumental)
3. Don't Stop Me Now (With Long-Lost Guitars)
4. Let Me Entertain You (Live in Montreal, November 1981)
5. Dreamers Ball (Early Acoustic Take, August 1978)

なんとなく、アウトテイクがいっぱいありそうな気がするアルバムなんだけど、実はそうでもないのか?(笑) 例によって、2.と4.はいりません。3.はなかなか興味深い。要するに、別バージョンで、ギターのパートが違っている。5.も面白い。こういうの、もっと聴きたいな(笑)

THE GAME
1. Save Me (Live in Montreal, November 1981) 
2. A Human Body (B-Side)
3. Sail Away Sweet Sister (Take 1 With Guide Vocal) 
4. It's A Beautiful Day (Original Spontaneous Idea, April 1980)
5. Dragon Attack (Live at Milton Keynes Bowl, June 1982)

2.は長らくCD化されておらず、クイーンのレア曲No.1ではなかったかと思うけど、シングル・コレクションで初めてCD化されたのではになかったかな? やや地味な曲だけど、埋もれたままにしてしまうには忍びない、一種の裏名曲だ。3.は、まだ原型でしかない状態のものが聴けるのは貴重。驚いたのは4.で、この頃既に原型があったのだ。15年経ってから世に出たと思うと、実に感慨深い。1.と5.のライブテイクは、例によっていらない(笑)

FLASH GORDON
1. Flash (Single Version) 
2. The Hero (October 1980...Revisited)
3. The Kiss (Early Version, March 1980)
4. Football Fight (Early Version, No Sunths! - February 1980) 
5. Flash (Live in Montreal, November 1981)
6. The Hero (Live in Montreal, November 1981)

クイーンのアルバム中、最も無視されているアルバムだが(笑)、ボーナストラックはなかなか面白い。3.と4.はピアノによるデモ。この時期のライブって、モントリオールしかない訳じゃないだろうに。南米とかもツアーしてたはずだから、そういう音源も発掘して欲しいもの。

HOT SPACE
1. Staying Power (Live at Milton Keynes Bowl, June 1982) 
2. Soul Brother (B-Side)
3. Back Chat (Single Remix)
4. Action This Day (Live in Tokyo, November 1982) 
5. Calling All Girls (Live in Tokyo, November 1982)

これも不当な扱いを受けているアルバムだが(笑)、ボーナストラックは充実してるかも。1.は出来れば、違う会場のにしてほしいところ。4.や5.と同様に日本のライブでも良かったのでは。ちなみに、この時の会場は西武球場なので、ライブ・イン・トーキョーという表記は誤り、というか嘘(笑)

THE WORKS
1. I Go Crazy (B-Side) 
2. I Want To Break Free (Single Remix)
3. Hammer To Fall (Headbanger's Mix)
4. Is This The World We Created? (Live in Rio, January 1985)
5. It's A Hard Life (Live in Rio, January 1985)
6. Thank God It's Christmas (Non-Album Single)

80年代も半ばになると、クイーンも12インチ・シングルを出すようになり、当然バージョン違いもたくさんある訳で、この『ザ・ワークス』の曲は全曲シングルに収録されたという話だから、ボーナスEPは、全てアルバム収録曲のバージョン違いを並べて『裏ワークス』なんてものにして欲しかったと思うのは、僕だけか?(爆) それは可能なはずだし。ま、とにかく、12インチ・バージョンがあまりにも少ないのは不満。「RADIO GA GA」のもないし。この時期は、ライブ音源はたくさん出回ってるので、ボーナスEPにはいらないと思う。

A KIND OF MAGIC
1. A Kind Of Magic (Highlander Version)
2. One Vision (Single Version)
3. Pain Is So Close To Pleasure (Single Remix)
4. Forever (Piano Version)
5. A Kind Of Vison (Demo, August 1985)
6. One Vision (Live at Wembley Stadium, July 11th 1986)
7. Friends Will Be Friends Will Be Friends...

貴重な音源もあって悪くはないのだが、『ザ・ワークス』と同じ不満を感じてしまう。何故、アルバム未収録の「紅い薔薇を君に」が入ってないのか。あと、「ブラード・ビジョン」も入れるべきでは? 「カインド・オブ・マジック」の別バージョンとデモは、大変面白い。

THE MIRACLE
1. I Want It All (Single Version)
2. The Invisible Man (Early Version with Guide Vocal, August 1988)
3. Hang On In There (B-Side)
4. Hijack My Heart (B-Side)
5. Stealin' (B-Side)
6. Chinese Torture (Instrumental)
7. The Invisible Man (12" Version)

後期クイーンのというか、クイーンの全キャリアを通じても3本指に入る傑作と思う。世間というかファンの評価低すぎ(笑) この頃、シングルB面がアルバム未収録曲ばかりで、しかも日本盤出なかったから、輸入盤の12インチ買って聴いてたのを思いだす。ここいらの曲も、長らくCD化されてなかった。出来の良い曲多いのに。「アイ・ウォント・イット・オール」はアルバムとシングルのバージョンが違う、というのは案外知られてないと思う。個人的にはアルバム・バージョンの方が好きだな。

INNUENDO
1. I Can't Live With You (1997 Rocks Retake)
2. Lost Opportunity (B-Side)
3. Ride The Wild Wind (Early Version with Guide Vocal)
4. I'm Going Slightly Mad (Mad Mix)
5. Headlong (Embryo with Guide Vocal)

悲しくて聴けないアルバムとなってしまった。内容が素晴らしいだけに...で、ボーナストラックも、興味深いデモが聴けたりしてよろしい。願わくば、イギリスで本作のLPが発売された際、収録曲のうち4曲がLPのみの短縮バージョンになったという話で、そのバージョンを収録して欲しかったな。

ま、こんな感じで、価値あるボーナストラックは少ないかもしれない。70年代のライブ音源は相変わらず出し惜しみされてるし、フォローされてない未収録音源もあるし。ほんと、『戦慄の王女』以外は、熱心なファンでも不満の残るものであるな。確かに、クイーンは完璧主義者として有名だった訳だし、デビュー直後のライブ音源や途中でボツになったデモなんて、恥ずかしくて人前には出したくないのだろう。それは分かるんだけどね。

所で、ほとんどの人がお気づきだろうけど、クイーン15枚目のオリジナル・アルバム(という事になっている。笑)である『メイド・イン・ヘブン』は、まだ買っていない。というか、前から言ってるけど、このアルバム自体ボーナストラック、言い換えると“おまけCD”みたいなものなんで、ボーナスEP付きのリミテッド・エディションと言われてもピンとこないのである。ボーナスにボーナス付けてどうする、みたいな。このまま買わないかもしれない。

それと、今回再発になったアルバムには、全てカードが封入されており、並べるとこんな感じになる。よくあるパターンだけど(笑)

Ts3p0813a 

見ての通り、一枚足りないので絵としては未完成である。やっぱ、『メイド・イン・ヘブン』買うべきかな?(爆)

コメント (14)
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