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ライズ・アゲイン

2025年02月23日 10時53分15秒 | 音楽ネタ
いきなりだが、最近買ったCDから。



ハーブ・アルパートである。最初の頃、僕も間違えていたが、決してハープ・アルバートではない。気をつけましょう。パッと見よく分からないと思うけど(意味不明)

で、改めてハーブ・アルパートである。若い人はもしかするとご存知ないかもしれないので(笑)、一応簡単に解説しておくと、ハーブ・アルパートはトランペッターで、60年代から活動しており、自身のバンド、ティファナ・ブラスを率いて、「悲しき闘牛」「ディス・ガイ」といった曲を全米TOP10に送り込んでいる(「ディス・ガイ」は全米No.1)。この頃は、アメリアッチと呼ばれる、メキシカンな雰囲気を漂わせたサウンドが特徴で、「ビター・スイート・サンバ」は『オールナイトニッポン』に使われたので、知ってる人も多いだろう。また、あの有名なA&Mレコードの創業者としても知られていて、この社名は創業者2人の頭文字から取られたものだ。AはアルパートのA、Mはジェリー・モスのMである。

と、ここまでは、僕も後追いの知識で(苦笑)、洋楽に目覚めた頃、既にハーブ・アルパートは過去の人みたいになってた。70年代以降は地味だったしね。偉そうに言ってるけど「悲しき闘牛」も「ディス・ガイ」も実は聴いた事ない。そんな、過去の人と思ってたハーブ・アルパートが、1979年突如「ライズ」でヒット・チャートに返り咲き、あれよあれよという間にチャートを上昇し、ついに全米No.1になってしまったのには驚いた。当時『全米TOP40』を毎週聴いてたもんで、今でも覚えてる。インストでは珍しく、またハーブ・アルパートにとっても「ディス・ガイ」に続く2曲目の全米No.1だった訳で、しかも「ライズ」は決して昔の名前にすがっておらず、当時の空気を反映したモダンな作風であり、正にハーブ・アルパート華麗なる復活だったのである。ま、この当時ハーブ・アルパートは44歳、ベテランではあるが老け込む年でもない。

で、その「ライズ」をフューチャーしたのが本作である。ジャケットの印象は、当時流行りのフュージョンぽい感じだけど、中味もそんな感じかな。「ライズ」はクールでオシャレでファンキーなインストだけど、アルバムとしてはそういう曲ばかりでもなく、かつてのアメリアッチ風な曲もあるし、ラテン風もあるしで、バラエティに富んでいて飽きさせない。ハーブ・アルパート自身の淡々としたボーカルが聴ける曲もあるし、「アランフェス協奏曲」の哀愁漂うカバーなんて、必殺のテーマみたいな雰囲気。クルセイダースの「ストリート・ライフ」を取り上げている所にも時代を見る目を感じる。曲のタイプは様々だが統一感はあり、全体的にはフュージョン風にまとめたアルバムだが、ハーブ・アルパートのトランペットが独特の世界を作り出していて、さすがベテランという感じ。自身の個性を生かしつつ、当時のトレンドを上手く取り入れていて素晴らしい。

この「ライズ」、曲自体は当時から好きだったけど、アルバム買ってみたのは、昨年のレコード・コレクターズのフュージョン特集の影響であるのは間違いない。まだ引きずっているのだ(笑) ちなみに、そのレココレのランキングでは、洋楽フュージョン部門で21位だった。意外と高い。

続いては、



80年代の歌姫のひとり(と勝手に思っている)シーナ・イーストンの通算5枚目のアルバムのデラックス・エディションである。オリジナルは1984年発表。説明するまでもないと思うが、シーナは1980年のデビュー以降、順調にヒットを飛ばし着々とスターとしての足場を固めていたが、前作より、グレッグ・マティソンのプロデュースの下、アメリカでレコーディングを行うようになった。今にして思うと、それなりに最先端の音を求めてのことだろうけど、それまで売れなかった訳ではないし、アメリカナイズされたレコードをわざわざ作る必要もなかったのでは、なんて思ったりする。

ま、その辺の深い事情はさておき(笑)、この『プライベート・ヘブン』なかなかの出来栄えである。個人的には、デビューしてすぐシーナに飛びついたものの、この頃の作品にはあまり興味が持てず、レンタルで聴くのみにとどまっていた。が、今改めて聴いてみると、やっぱり良いなぁと思ったりする。ご存知の通り、本作からは「ストラット」「シュガー・ウォールズ」の2曲がTOP10ヒットとなり、シーナはコンテンポラリーな美人ポップ・シンガーとしての地位を確立する。やはり、最先端のサウンド、グレードの高い収録曲に加え、巧みに売れ筋も抑えていたりなんかして、そういった戦略的バックアップもあっての成功な訳だ。シーナ自身も結構頑張って成果を出せたのはめでたい。ただ、この後しばらく迷走してしまうのが残念だが。

前述のヒット・シングル2曲がダンサブルな曲であり、アルバム全体もそんな雰囲気はあるが、バラードもAOR風もあるし、ラテンぽい「バック・イン・ザ・シティ」なんかもあって、バラエティに富んだ内容だ。なんたって曲の出来が良いのがいい。このデラックス・エディションは2枚組で、1枚目はアルバム本体プラスシングル曲の12インチ・バージョン、2枚目はアルバム未収録曲やアルバム収録曲の別バージョン、がそれぞれ収録されているのだが、驚くのは2枚目のアルバム未収録曲(シングルB面)のグレードが高いこと。1枚のアルバムにこれだけ良い曲を集めれば、そりゃ素晴らしいものになるわな。また、インストゥルメンタル・バージョン(要するにカラオケ^^;)が数曲収録されているが、これを聴いてると、サウンド・プロダクションの凄さがよく分かる。ほんと一流の仕事だ。そんな一流の仕事に支えられ、シーナ自身も素晴らしい。当時の最先端(流行り)の音ではあるものの、それなりに自己主張が感じられるのもいい。傑作である。

ところで余談だが、シーナのヒット曲「シュガー・ウォールズ」はクレジットはないけど、実はプリンス作というのはよく知られていると思うけど、この曲随分前に”あの”PMRCに、「汚らわしい15曲」として名指しされた中の1曲であるらしい。なんというか、まぁ、タイトルを見ても意味深と言えば意味深だけど...^^; 興味ある方はこちらをどうぞ。

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