クールビズ。
名曲が小野リサさんの手にかかると涼しげなボサノバに。
90年代の終わり頃からその傾向は始まり、21世紀に入ってそれはますます強まり、昨年電力が供給不足に陥って以降さらにそれは強くなった。ビジネスの場であってもカジュアルで涼しげな服装を許す代わりに室温は高めに設定しようね、というものだ。環境省は以下のようなロゴを厳格に定めて、とても熱心にクールビズを推進している。
ビジネスの場では、結構混乱が生じている。どんなに暑くても、長袖のドレス・シャツを着てネクタイを締めスーツを着込んでいることが「立派」と長年言われて来たのに、今さら「それは望ましくない」と言われても、世の中の風習や人々の意識は一気には変わらない。またその人が置かれた環境によって、クールビズの捉え方もかなり異なる。自分1人の考えではどうすることも出来ず、周囲の変化を見ながらそれにジワッと合わせるしかない。
昔からサンダルだってOKな役所役場の職員ならともかく、ビジネス最前線で対外的にいろいろな業種や職種の人と会う機会の多い人は、相手の服装の基準に合わせようとすると大変なことになる。相手の業種や職種によって「ここまでなら許せる」という基準がまったく異なるからだ。
● ポロシャツかアロハにチノパン。
理想的だが、場所と人による。私の周りでは非常に少ない。
● 半袖シャツにスーツ
これは禁じ手で、ちょっと問題ありか。スーツの上着を着る意味がない。好き好きですが。
● 長袖のドレス・シャツの上のボタンを開け、ネクタイはなしで、スーツを着込む
私の周囲はこれが多い。しかしこれはかなり不自然だ。ネクタイの歴史は古い。その手のことに妙に詳しい林勝太郎先生の本によれば(上の画像も下の画像も、みな先生の著書である)、ローマ時代にまでさかのぼる。世の中はどんどん変化するので何でもありでいいのだけれど、歴史的にはネクタイとシャツはスーツの上着のVゾーンにおける必要不可欠な組合せなため、ネクタイなしで上着を着るのはしっくり来ない。そもそもドレスシャツの襟は、ネクタイを締めることを前提に作られた形である。
しかも多くの人は昼間の日光の強さに耐えかね、外ではわざわざ上着を持ち歩くか腕にかけるかするが、その手や腕は汗ばみ上着には汗が付着する。その汚い上着を人と会う直前に着て、ご挨拶し、相手から「まあ、どうぞ、上着を脱いで下さい」などと言われるのを待って、「ではお言葉に甘えて」なんて言いながら上着を脱ぐ・・・なんとくだらないお作法。
● 長袖のドレス・シャツにネクタイをして、スーツの上着はなし
このパターンは、ネクタイなしで上着を着ることよりも、合理的だと思う。スタイルとしてもそんなにおかしくはない。暑くてしかたないけれど、上着かネクタイか、どちらかひとつしか取ってはいけないということなら、上着を止めてしまいネクタイを締めた方が遥かに涼しいし。しかしこれは少数派だ。なぜだろう? このパターンの場合、多くの人が袖を折り曲げて短くしてシャツを着ている。それなら最初から半袖にすればよい。
というわけで、買ってみた。こんなの初めてである。半袖のボタンダウン・シャツ。ネクタイもやめてみた。
そして人と会ってみた。う~む、快適である。なんだか上半身がスースーだ。首から、袖口から風が入る。電車内でもタクシー内でも地下道でも涼しい。
こうしたシャツの場合、襟の高さとデザイン的変化があるため、ネクタイなしの不自然さや頼りなさがない。
私は滅多にスーツを買わない。だって左のJ.PRESSはもう20年を超えたが、いまだに何の問題もない。しかし世の中のビジネスマンはかなり頻繁にスーツを買い替えた(過去)らしいから、デパートならどこでも売っているこの米国3ブランドにとっては昨今の傾向は恐怖だろうなぁ。この夏は、夏用スーツの売れ行きがガクンと落ちて、その分ユニクロでシャツが売れたのだろうか? これから私はこれらのスーツを、まだちょっと暑いが汗ばむほどではない、という季節に着ることにしよう。7~8月は軽装で、もういいだろう。
背広という日本語は、Savile Row(ロンドンのテーラー街)あるいはCivil Clothes(軍服に対する民間の服)のCivilを、日本人が間違って理解したところから生まれたという説が有力だ。ところで「クールビズ」という言葉は語感としてヘンではないか? 和製英語であって本来の英語には存在しないことは知っているが、私にはこのクールビズが「涼しく仕事をする」というよりも、敢えて訳すと「クールな(=かっこいい)職業」とでもいうような意味にとれてしまうが。
暑い日のランチ。豪州産ピーターセラーズのクラシック・リースリング。アルコール度低め(11.5%)の冷やしたジュースみたいな白ワイン。ガブガブ飲んじゃう。
お気楽ワンプレート・ランチ。たっぷりなサラダと、鎌倉ハムのパストラミ、そしてバゲット・・・すっごくおいしい。
酔いながらDVDでシャレード。オードリーがキレイです。
ハッピー・エンド。悪役か否か、最後までわからないケーリー・グラント。でもケーリー・グラントが心底悪い役を演じるわけがないので、安心して観ていられるストーリー。今までに何度観たことか。
舞台はパリだ。ケーリー・グラントのスーツ姿はカッコいい。一方、裏地がない上着でないと暑くて着ていられない気候、つまり我が国の半年近くの間は、そもそもスーツを着ること自体があまり合理的ではないだろう。
名曲が小野リサさんの手にかかると涼しげなボサノバに。
90年代の終わり頃からその傾向は始まり、21世紀に入ってそれはますます強まり、昨年電力が供給不足に陥って以降さらにそれは強くなった。ビジネスの場であってもカジュアルで涼しげな服装を許す代わりに室温は高めに設定しようね、というものだ。環境省は以下のようなロゴを厳格に定めて、とても熱心にクールビズを推進している。
ビジネスの場では、結構混乱が生じている。どんなに暑くても、長袖のドレス・シャツを着てネクタイを締めスーツを着込んでいることが「立派」と長年言われて来たのに、今さら「それは望ましくない」と言われても、世の中の風習や人々の意識は一気には変わらない。またその人が置かれた環境によって、クールビズの捉え方もかなり異なる。自分1人の考えではどうすることも出来ず、周囲の変化を見ながらそれにジワッと合わせるしかない。
昔からサンダルだってOKな役所役場の職員ならともかく、ビジネス最前線で対外的にいろいろな業種や職種の人と会う機会の多い人は、相手の服装の基準に合わせようとすると大変なことになる。相手の業種や職種によって「ここまでなら許せる」という基準がまったく異なるからだ。
● ポロシャツかアロハにチノパン。
理想的だが、場所と人による。私の周りでは非常に少ない。
● 半袖シャツにスーツ
これは禁じ手で、ちょっと問題ありか。スーツの上着を着る意味がない。好き好きですが。
● 長袖のドレス・シャツの上のボタンを開け、ネクタイはなしで、スーツを着込む
私の周囲はこれが多い。しかしこれはかなり不自然だ。ネクタイの歴史は古い。その手のことに妙に詳しい林勝太郎先生の本によれば(上の画像も下の画像も、みな先生の著書である)、ローマ時代にまでさかのぼる。世の中はどんどん変化するので何でもありでいいのだけれど、歴史的にはネクタイとシャツはスーツの上着のVゾーンにおける必要不可欠な組合せなため、ネクタイなしで上着を着るのはしっくり来ない。そもそもドレスシャツの襟は、ネクタイを締めることを前提に作られた形である。
しかも多くの人は昼間の日光の強さに耐えかね、外ではわざわざ上着を持ち歩くか腕にかけるかするが、その手や腕は汗ばみ上着には汗が付着する。その汚い上着を人と会う直前に着て、ご挨拶し、相手から「まあ、どうぞ、上着を脱いで下さい」などと言われるのを待って、「ではお言葉に甘えて」なんて言いながら上着を脱ぐ・・・なんとくだらないお作法。
● 長袖のドレス・シャツにネクタイをして、スーツの上着はなし
このパターンは、ネクタイなしで上着を着ることよりも、合理的だと思う。スタイルとしてもそんなにおかしくはない。暑くてしかたないけれど、上着かネクタイか、どちらかひとつしか取ってはいけないということなら、上着を止めてしまいネクタイを締めた方が遥かに涼しいし。しかしこれは少数派だ。なぜだろう? このパターンの場合、多くの人が袖を折り曲げて短くしてシャツを着ている。それなら最初から半袖にすればよい。
というわけで、買ってみた。こんなの初めてである。半袖のボタンダウン・シャツ。ネクタイもやめてみた。
そして人と会ってみた。う~む、快適である。なんだか上半身がスースーだ。首から、袖口から風が入る。電車内でもタクシー内でも地下道でも涼しい。
こうしたシャツの場合、襟の高さとデザイン的変化があるため、ネクタイなしの不自然さや頼りなさがない。
私は滅多にスーツを買わない。だって左のJ.PRESSはもう20年を超えたが、いまだに何の問題もない。しかし世の中のビジネスマンはかなり頻繁にスーツを買い替えた(過去)らしいから、デパートならどこでも売っているこの米国3ブランドにとっては昨今の傾向は恐怖だろうなぁ。この夏は、夏用スーツの売れ行きがガクンと落ちて、その分ユニクロでシャツが売れたのだろうか? これから私はこれらのスーツを、まだちょっと暑いが汗ばむほどではない、という季節に着ることにしよう。7~8月は軽装で、もういいだろう。
背広という日本語は、Savile Row(ロンドンのテーラー街)あるいはCivil Clothes(軍服に対する民間の服)のCivilを、日本人が間違って理解したところから生まれたという説が有力だ。ところで「クールビズ」という言葉は語感としてヘンではないか? 和製英語であって本来の英語には存在しないことは知っているが、私にはこのクールビズが「涼しく仕事をする」というよりも、敢えて訳すと「クールな(=かっこいい)職業」とでもいうような意味にとれてしまうが。
暑い日のランチ。豪州産ピーターセラーズのクラシック・リースリング。アルコール度低め(11.5%)の冷やしたジュースみたいな白ワイン。ガブガブ飲んじゃう。
お気楽ワンプレート・ランチ。たっぷりなサラダと、鎌倉ハムのパストラミ、そしてバゲット・・・すっごくおいしい。
酔いながらDVDでシャレード。オードリーがキレイです。
ハッピー・エンド。悪役か否か、最後までわからないケーリー・グラント。でもケーリー・グラントが心底悪い役を演じるわけがないので、安心して観ていられるストーリー。今までに何度観たことか。
舞台はパリだ。ケーリー・グラントのスーツ姿はカッコいい。一方、裏地がない上着でないと暑くて着ていられない気候、つまり我が国の半年近くの間は、そもそもスーツを着ること自体があまり合理的ではないだろう。