「本の雑誌社」から封書が届いた。「え、何?」ってんで開けてみる。入っていたのは、おお!図書券、いや図書カードではないか。それと、お知らせの文章だった。「このたびは、これぞロックだ本!のアンケートにご投稿いただき、ありがとうございました。今回、いただいたハガキを本誌2008年6月号にて採用させていただきましたので・・・」
すっかり忘れていた。「本の雑誌」にアンケートハガキを書いて出したのだ。テーマの<これぞロックだ本!>ってのがすっかり気に入って、久しぶりの投稿だった。でも、何を書いたのか、思い出せない。
そのうち、大学に出かける時間がきた。田園都市線に乗り、長津田で横浜線に乗り換えるのだが、その長津田駅構内に本屋さんがある。駆け込んで、店員さんに聞く。「本の雑誌、ありますか?」。すると「ウチは置いてないんですよ」とのお答え。そうだ、下車駅である八王子みなみ野駅周辺には2軒の本屋さんがある。走る。しかし、1軒目で、さっきと同じ答え。そして、2軒目でも。うーん、売り切れじゃなく、置いてないってのにはまいるよなあ。書店回りをしながらも、我が<ロックだ本!>を思い出そうと、アタマの中でもがくが、駄目。ますます気になる。
「本の雑誌」の創刊は学生時代のことで、30年以上前だ。そのころ、この雑誌はまだ取次店(本や雑誌の問屋さんで流通を仕切っている)から扱ってもらっていなくて、学生くんたちのバイト「配本部隊」が大活躍。人海戦術で都内の本屋さんに直接持ち込んでいた。かなり長い間、終わりのページに配本部隊募集の文字を見た記憶がある。まさか、いまだに・・なんてはずもないが、とにかく郊外の本屋さんで買うことが困難なんだねえ、と実感した。それにしても、自分は、どんな本を「ロックだ!」といって投稿したんだろう。
結局、夜になって家に戻ってみると、ちゃーんと掲載誌が届いていた。私が出かけた直後に来たらしい。ありがとう、本の雑誌社。さっそく、特集ページを確認。あったです。ありました。そうか、これを書いたのか。
「本の雑誌」6月号 特集:本とロックが人生だ!
これぞロックだ本!
『堕落論』坂口安吾/新潮文庫他
体重も血圧も血糖値も高く、不整脈の疑いもあるし、
運動も睡眠も熟慮も大幅に足りない私だが、3歳くら
いから50年後の今に至るまで、ずっと明るく元気だ。
医者には「突然死」タイプのど真ん中と言われている。
そんな私も時としてぐぐっと落ち込むときがある。本
来なら大音量のロックをかけるべきところだが、私は
そっと安吾を開く。一気に襲ってくる”ドトーの寄り”
や”暴風雨”にさらされると、翌朝はまた突然死を背
負った元気な私に戻るのだ。やっぱ安吾はロックです。
(碓井広義・風に涙の大学教授53歳・川崎市)
最初に読んだのは高校時代で、これまで何度も読み返した古い角川文庫が今も手元にある。安吾が亡くなったのは昭和30年2月。私が生まれる10日前だった。タッチの差で、同じ時代の空気を吸えなかったのは残念だが、今もこうして本の中から語りかけてくれている。ほんと、本って有難いよなあ、といつも思う。
ロックのなんたるかなど、私には皆目分からぬ。だが、安吾の生き方はロックだ!ってことだけは、どーしたって分かるのだ。
すっかり忘れていた。「本の雑誌」にアンケートハガキを書いて出したのだ。テーマの<これぞロックだ本!>ってのがすっかり気に入って、久しぶりの投稿だった。でも、何を書いたのか、思い出せない。
そのうち、大学に出かける時間がきた。田園都市線に乗り、長津田で横浜線に乗り換えるのだが、その長津田駅構内に本屋さんがある。駆け込んで、店員さんに聞く。「本の雑誌、ありますか?」。すると「ウチは置いてないんですよ」とのお答え。そうだ、下車駅である八王子みなみ野駅周辺には2軒の本屋さんがある。走る。しかし、1軒目で、さっきと同じ答え。そして、2軒目でも。うーん、売り切れじゃなく、置いてないってのにはまいるよなあ。書店回りをしながらも、我が<ロックだ本!>を思い出そうと、アタマの中でもがくが、駄目。ますます気になる。
「本の雑誌」の創刊は学生時代のことで、30年以上前だ。そのころ、この雑誌はまだ取次店(本や雑誌の問屋さんで流通を仕切っている)から扱ってもらっていなくて、学生くんたちのバイト「配本部隊」が大活躍。人海戦術で都内の本屋さんに直接持ち込んでいた。かなり長い間、終わりのページに配本部隊募集の文字を見た記憶がある。まさか、いまだに・・なんてはずもないが、とにかく郊外の本屋さんで買うことが困難なんだねえ、と実感した。それにしても、自分は、どんな本を「ロックだ!」といって投稿したんだろう。
結局、夜になって家に戻ってみると、ちゃーんと掲載誌が届いていた。私が出かけた直後に来たらしい。ありがとう、本の雑誌社。さっそく、特集ページを確認。あったです。ありました。そうか、これを書いたのか。
「本の雑誌」6月号 特集:本とロックが人生だ!
これぞロックだ本!
『堕落論』坂口安吾/新潮文庫他
体重も血圧も血糖値も高く、不整脈の疑いもあるし、
運動も睡眠も熟慮も大幅に足りない私だが、3歳くら
いから50年後の今に至るまで、ずっと明るく元気だ。
医者には「突然死」タイプのど真ん中と言われている。
そんな私も時としてぐぐっと落ち込むときがある。本
来なら大音量のロックをかけるべきところだが、私は
そっと安吾を開く。一気に襲ってくる”ドトーの寄り”
や”暴風雨”にさらされると、翌朝はまた突然死を背
負った元気な私に戻るのだ。やっぱ安吾はロックです。
(碓井広義・風に涙の大学教授53歳・川崎市)
堕落論 (新潮文庫)坂口 安吾新潮社このアイテムの詳細を見る |
最初に読んだのは高校時代で、これまで何度も読み返した古い角川文庫が今も手元にある。安吾が亡くなったのは昭和30年2月。私が生まれる10日前だった。タッチの差で、同じ時代の空気を吸えなかったのは残念だが、今もこうして本の中から語りかけてくれている。ほんと、本って有難いよなあ、といつも思う。
ロックのなんたるかなど、私には皆目分からぬ。だが、安吾の生き方はロックだ!ってことだけは、どーしたって分かるのだ。