北海道新聞社会部より連絡があり、「NHKインサイダー取引問題」についてコメントを求められる。
まず、報道機関にいることで知り得た情報によって、不法に、個人的な利益を得るという行為自体が問題。信用とか信頼とか、報道機関の根幹に関わる部分を、自ら失うことになる。一種の自殺行為だ。報道機関には、単に「伝える」だけでなく、社会の動きに対する「チェック」や「批判」といった機能・役割があるが、こんなことが日常的に行われていれば、他をチェック・批判する資格を問われてしまう。
また、調査対象となった約2700名のうち、第三者委員会の調査に協力することを拒否した者が943人もいたことにも驚く。調査上、取引履歴を確認する必要があるが、それを証券会社から手に入れるための「委任状」を提出しなかったというのだ。対象者の35%は調査が出来ていないことになる。全貌は明らかになっていないのだ。
今後は、お定まりの「管理」問題が出てくるはず。しかし、職員に「当事者意識」が希薄なままでは、管理だけをいくら力説しても無駄だ。NHKで働く人たちが、職場集会でも職員集会でもいいから開いて、今回のインサイダー問題だけでなく、ここ数年の「NHK問題」を自分たちの問題として捉え直す必要がある。というか、そこを抑えないと、こんなことは今後何度でも起きるだろう。
・・・といった話をさせていただいた。
NHKに関する新書本としては、日経新聞で長く放送を担当し、後に立命館大教授などを務めた松田浩さんの『NHK』。ジャーナリスト・評論家の武田徹さんの『NHK問題』などがある。
NHK―問われる公共放送 (岩波新書 新赤版 (947))松田 浩岩波書店このアイテムの詳細を見る |
NHK問題 (ちくま新書)武田 徹筑摩書房このアイテムの詳細を見る |