碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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女子バレー五輪決定と、黒沢清『恐怖の対談』

2008年05月24日 | 本・新聞・雑誌・活字
よかった、よかった。女子バレーが韓国に勝って、北京五輪への出場が決まった。別にバレーファンでも何でもないが、メディア(というかテレビ)を挙げての盛り上げの中、あれで五輪に行けなったら、彼女たちも辛かったと思うのだ。まずは、よかった、よかった。

しかし、中国四川省の大地震の犠牲者は、すでに5万人を超えた。生まれ故郷の町の人口より多い。それに家を失った人の数は500万人以上だという。ちょっとした国家規模になる。小さな国が一つ崩壊したようなものだ。北京五輪は8月8日から始まる。あと2ヶ月と少し。たとえば、日本で阪神大震災の2ヵ月後に、東京でオリンピックを開催しますか?石原知事!てなことを思う。何しろオリンピックは国家的事業ではあるが、開催するのはあくまでも「都市」なのだ。

地震の恐さとは違うが、恐さつながり(?)で読んだのが、黒沢清監督の『恐怖の対談~映画のもっとこわい話』。昨年の対談集『映画のこわい話』の続編だ。今回は、ホラー漫画『富江』の伊藤潤二さん、ヴィジュアリストの手塚眞さん、さら映画『旅芸人の記録』の巨匠テオ・アンゲロプロス監督までが登場する。こわさを画にすることの難しさと面白さだけでなく、創造することの秘密にまで迫る真剣勝負だ。

恐怖の対談―映画のもっとこわい話
黒沢 清
青土社

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これも恐怖とは違うが、今日こんな文章を見つけた。忘れないように書いておこう。

「時代は不安であり、われわれは生きたい。
 しかし時代は原因なしに不安ではなく
 われわれは目的なしに生きたいのではない」 

 中野重治『イデオロギー的批評を望む』(1934年)より