土曜に早稲田が勝ち、日曜は2-0で慶應の勝利。明治との試合でのケガが響いたのか、早稲田の斉藤投手は生彩を欠いていたようだが、テレビの音声だけを聴いていたので、詳細はわからない。ともかく、春の早慶戦の勝敗は、1対1のまま月曜へと持ち越された。早稲田のほうは知らないが、月曜の慶應は全学休講だ。
日本ダービーは、NHKマイルカップに続いて、四位洋文騎乗のディープスカイが勝利。NHKのテレビ中継での実況担当は、高校時代の同級生である福澤浩行アナウンサーだった。しかし、こちらもテレビは音声だけのまま。彼の明瞭にして正確、しかも温かみのある実況アナウンスを耳にしながらも、目はひたすら本のページを追っていた。ごめんね、福澤君。
というわけで、ほぼ一日がかりで読み終えたのが、佐野眞一さんの新著『甘粕正彦 乱心の曠野』(新潮社)だ。甘粕といえば、関東大震災直後の混乱の中で、憲兵隊長として大杉栄という”主義者”の大物を惨殺。その後は昭和の蜃気楼のような満映で理事長として辣腕をふるい、満州の「夜の帝王」と呼ばれたことなどで知られている。敗戦に際し、覚悟の青酸カリ自殺を遂げた。享年54。今なお多くの謎に包まれた人物だ。
うーん、この本は凄い。何しろ、これまでの甘粕正彦に関する「定説」が崩れていくんだから。そして、佐野さんの粘り強い取材と、その筆の腕力も凄い。85年前という遥か遠い過去の出来事の真相さえ、佐野さんが呼び起こしたかのように立ち現れてくるのだ。
佐野さんは書く。最大の狙いは「(甘粕に)接した人たちの証言を丹念に掘り起こし、そこから甘粕の謎をひとつひとつ検証し、知られざる甘粕の素顔を解明する」ことだと。おかげで、読む者はこの本を通じて「昭和の裏面史」「負の近現代史」を目撃することになるのだ。
活字のチカラ、ノンフィクションのチカラを、ストレートに感じた1冊だった。
日本ダービーは、NHKマイルカップに続いて、四位洋文騎乗のディープスカイが勝利。NHKのテレビ中継での実況担当は、高校時代の同級生である福澤浩行アナウンサーだった。しかし、こちらもテレビは音声だけのまま。彼の明瞭にして正確、しかも温かみのある実況アナウンスを耳にしながらも、目はひたすら本のページを追っていた。ごめんね、福澤君。
というわけで、ほぼ一日がかりで読み終えたのが、佐野眞一さんの新著『甘粕正彦 乱心の曠野』(新潮社)だ。甘粕といえば、関東大震災直後の混乱の中で、憲兵隊長として大杉栄という”主義者”の大物を惨殺。その後は昭和の蜃気楼のような満映で理事長として辣腕をふるい、満州の「夜の帝王」と呼ばれたことなどで知られている。敗戦に際し、覚悟の青酸カリ自殺を遂げた。享年54。今なお多くの謎に包まれた人物だ。
うーん、この本は凄い。何しろ、これまでの甘粕正彦に関する「定説」が崩れていくんだから。そして、佐野さんの粘り強い取材と、その筆の腕力も凄い。85年前という遥か遠い過去の出来事の真相さえ、佐野さんが呼び起こしたかのように立ち現れてくるのだ。
佐野さんは書く。最大の狙いは「(甘粕に)接した人たちの証言を丹念に掘り起こし、そこから甘粕の謎をひとつひとつ検証し、知られざる甘粕の素顔を解明する」ことだと。おかげで、読む者はこの本を通じて「昭和の裏面史」「負の近現代史」を目撃することになるのだ。
活字のチカラ、ノンフィクションのチカラを、ストレートに感じた1冊だった。
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