秋葉原の無差別殺人。驚くべき事件であるのに、とんでもない事件であるのに、一方で、あまり驚いていないことに、驚く。なんて言えばいいのか。今や、この国では「あり得ないこと」など無くなってしまったし、「あってはならないこと」も当たり前のように有る、という社会に突入してしまったのだと思う。たぶんオウムの地下鉄サリン事件あたりからだが、「人間が人間に対して行えるはずのないこと」が行われるようになってしまった。宮台真治さんのいう「社会の底が抜けた」状態が、ずっと続いているのだ。
また、今回の事件が「アキバ」という、日本の「いま」を象徴する場所で起きたことも、犯人が所属していた派遣会社に近いといった理由以外に、大きな意味を持つように思う。事件現場を報道する写真や映像に写りこんでいる「通行人」たちの様子。被害者たちを、単に眺めているだけでなく、ケータイのカメラを向けている姿や、現場を見ながら普通に歩いていく姿には、なんともいえない違和感、もしくは事件そのものとは別の恐怖のようなものを感じたのが正直なところだ。
昨日から読んでいたのは、偶然「キラー(殺人者)」の文字がタイトルに入った結城五郎さんの新作『サイレント・キラー』(角川春樹事務所)。
サントリーミステリー大賞受賞作『心室細動』をはじめ医療ミステリーに定評のある結城さん。これもまた、医師としての体験と知識をベースにして書き下ろされた迫真の長編小説だ。
事件はいきなり始まる。私立病院の勤務医・楠木真史が失踪して一週間が過ぎたある夜、心配する妻・志乃のもとに電話が入る。相手は女性で、真史は何者かに拉致された、さらに事の次第を直接伝えるので会いたいと言う。翌日、指定の場所へと向かった志乃だが、そのまま行方不明となる。夫婦ともに消えてしまったわけだ。
しかし、警察は事件として扱ってくれない。志乃の弟で医師の耕平が自ら調べ始めるが、困難を極める。やがて真史の勤務先に手がかりがあると考えた耕平は、その病院に転職することで真相を探ろうと決意する。
赴任してみた病院では、複数の患者の不審死が起きていた。さらに、看護師の失踪までも。謎が深まる中、耕平は義兄が残した「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」の走り書きを見つける。それが意味するものは一体何なのか。真史と志乃はどこにいて、どうしているのか。自らの身の危険も感じながら、耕平は命を救うはずの医療の暗部へ、そして事件の核心へと確実に迫っていく・・。
また、今回の事件が「アキバ」という、日本の「いま」を象徴する場所で起きたことも、犯人が所属していた派遣会社に近いといった理由以外に、大きな意味を持つように思う。事件現場を報道する写真や映像に写りこんでいる「通行人」たちの様子。被害者たちを、単に眺めているだけでなく、ケータイのカメラを向けている姿や、現場を見ながら普通に歩いていく姿には、なんともいえない違和感、もしくは事件そのものとは別の恐怖のようなものを感じたのが正直なところだ。
昨日から読んでいたのは、偶然「キラー(殺人者)」の文字がタイトルに入った結城五郎さんの新作『サイレント・キラー』(角川春樹事務所)。
サントリーミステリー大賞受賞作『心室細動』をはじめ医療ミステリーに定評のある結城さん。これもまた、医師としての体験と知識をベースにして書き下ろされた迫真の長編小説だ。
事件はいきなり始まる。私立病院の勤務医・楠木真史が失踪して一週間が過ぎたある夜、心配する妻・志乃のもとに電話が入る。相手は女性で、真史は何者かに拉致された、さらに事の次第を直接伝えるので会いたいと言う。翌日、指定の場所へと向かった志乃だが、そのまま行方不明となる。夫婦ともに消えてしまったわけだ。
しかし、警察は事件として扱ってくれない。志乃の弟で医師の耕平が自ら調べ始めるが、困難を極める。やがて真史の勤務先に手がかりがあると考えた耕平は、その病院に転職することで真相を探ろうと決意する。
赴任してみた病院では、複数の患者の不審死が起きていた。さらに、看護師の失踪までも。謎が深まる中、耕平は義兄が残した「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」の走り書きを見つける。それが意味するものは一体何なのか。真史と志乃はどこにいて、どうしているのか。自らの身の危険も感じながら、耕平は命を救うはずの医療の暗部へ、そして事件の核心へと確実に迫っていく・・。
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