「YMO」といっても、知らない世代が相当なボリュームになる。細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の3人による音楽ユニット「イエロー・マジック・オーケストラ」が結成されたのは1978年。ちょうど30年前だ。
アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』も『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』も、衝撃的だった。シンセサイザーとコンピュータを駆使して生み出されたYMOの音楽には、当時流れていた他のあらゆる楽曲とも違う新しさがあった。また、当初、日本ではなく海外から火がついたことも含め、彼ら3人の「出現」とその「活動」自体が、一種の事件だった。
中でも坂本龍一さんは、単独でも目立っていた。大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』で音楽だけでなく役者としても独自の存在感を示す。その後もベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』では甘粕正彦を演じ、さらに日本人として初めてアカデミー賞作曲賞を受賞した。
また、今は亡き碩学、哲学者の大森荘蔵先生と哲学対談の本を出すなど、まさに「教授」のニックネームにふさわしい活躍を見せた。最近だと、雑誌『ENGINE』で連載中の自叙伝「ぼく自身、語りおろし 坂本龍一による坂本龍一。」が面白い。
しかし、今日の本の”主役”は坂本さんではない。メンバーのひとり、細野晴臣さんである。実は、私にとっての細野さんという人、「YMO」以前の「はっぴいえんど」や「ティン・パン・アレー」のころから、なんともツカミ所がなかった。どんな人なのかは気になったのだが、情報はそう多くなく、ずっと「よくわからないけど凄い人」的な位置づけだったのだ。
その細野さんが本を出した。『細野晴臣 分福茶釜』(平凡社)だ。タイトルに名前は入っているし、「ぶんぶくちゃがま」というのも何やら人を食っているではないか。タヌキの話か?
この本では、音楽家の鈴木惣一朗さんを相手に、細野さんが自身の「哲学」「人生観」を語っている。それも、ひそひそなのか、ぼそぼそなのか、かなり小声らしい。鈴木さんと共に、読者も耳をそばだてる必要がありそうだ。で、一読すると、「へえ、細野さんて、こういう人だったんだあ」と少し驚き、かなり納得という具合。
「百パーセント受け身だね。水に支配されているようなところがあるからね」
「ぼくが泣くときは山を見たりとかね、大木を見たりしたときで・・」
「年をとるってことはいいことなんだよ、本来は。ものの見方が広がっていくんだから」
聞き手である鈴木さんによれば、この書名は、タヌキである細野さんの「福」を、皆さんにお分けしましょう、ってことらしい。不思議な人生問答集だ。
アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』も『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』も、衝撃的だった。シンセサイザーとコンピュータを駆使して生み出されたYMOの音楽には、当時流れていた他のあらゆる楽曲とも違う新しさがあった。また、当初、日本ではなく海外から火がついたことも含め、彼ら3人の「出現」とその「活動」自体が、一種の事件だった。
中でも坂本龍一さんは、単独でも目立っていた。大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』で音楽だけでなく役者としても独自の存在感を示す。その後もベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』では甘粕正彦を演じ、さらに日本人として初めてアカデミー賞作曲賞を受賞した。
また、今は亡き碩学、哲学者の大森荘蔵先生と哲学対談の本を出すなど、まさに「教授」のニックネームにふさわしい活躍を見せた。最近だと、雑誌『ENGINE』で連載中の自叙伝「ぼく自身、語りおろし 坂本龍一による坂本龍一。」が面白い。
しかし、今日の本の”主役”は坂本さんではない。メンバーのひとり、細野晴臣さんである。実は、私にとっての細野さんという人、「YMO」以前の「はっぴいえんど」や「ティン・パン・アレー」のころから、なんともツカミ所がなかった。どんな人なのかは気になったのだが、情報はそう多くなく、ずっと「よくわからないけど凄い人」的な位置づけだったのだ。
その細野さんが本を出した。『細野晴臣 分福茶釜』(平凡社)だ。タイトルに名前は入っているし、「ぶんぶくちゃがま」というのも何やら人を食っているではないか。タヌキの話か?
この本では、音楽家の鈴木惣一朗さんを相手に、細野さんが自身の「哲学」「人生観」を語っている。それも、ひそひそなのか、ぼそぼそなのか、かなり小声らしい。鈴木さんと共に、読者も耳をそばだてる必要がありそうだ。で、一読すると、「へえ、細野さんて、こういう人だったんだあ」と少し驚き、かなり納得という具合。
「百パーセント受け身だね。水に支配されているようなところがあるからね」
「ぼくが泣くときは山を見たりとかね、大木を見たりしたときで・・」
「年をとるってことはいいことなんだよ、本来は。ものの見方が広がっていくんだから」
聞き手である鈴木さんによれば、この書名は、タヌキである細野さんの「福」を、皆さんにお分けしましょう、ってことらしい。不思議な人生問答集だ。
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音を視る、時を聴く哲学講義 (ちくま学芸文庫 オ 7-2)大森 荘蔵,坂本 龍一筑摩書房このアイテムの詳細を見る |