気がつけば、最近読んだエッセイ、随筆、随想には、何やらマニアックなものが並ぶ。でも、自分の知らない世界やジャンルに関しては、「その人にしか書けない」内容のものほど、読んでいて面白いのだ。私はまったく釣りをしないが、今、夢枕獏さんの新著『毎日釣り日和』を、楽しく読ませてもらっている。
以下は、それぞれに「よく効くわい」と思った近刊エッセイ。我ながら、雑読系だなあ。
水野雅士『シャーロッキアンの放浪三昧』(青弓社)
ホームズの熱烈なファンをシャーロッキアンと呼ぶ。水野さんは日本シャーロッキアン協会を率いる人物。この本には、世紀の探偵物語を教養文学として精読した成果がある。ホームズの観察力、推理力、情熱、誠意といった人間像。ヒーローでもある脇役ワトソン。事件の陰の英国ファッション。百年前の架空の人物が見事に立ち現れる。
柴田元幸『それは私です』(新書館)
英米文学の翻訳や『生半可な学者』などのエッセイでファンの多い柴田さん。日常のなかの“ちょっとヘン”なエピソードが並ぶ脱力系エッセイ集だ。自ら「妄想度が高い」という柴田さんだが、アメリカの借家で複数の“自分の幽霊”に遭遇する話など絶品。多数の挿画というか似顔絵漫画もまた楽しい。
釈 徹宗『いきなりはじめる仏教生活』(バジリコ)
著者の釈さんは、寺の住職にして大学准教授。専門は宗教思想だ。この本は映画や漫画も引用しながらの、平易にして愉快な仏教生活入門エッセイである。正しい仏教生活の極意は、世間を相対化し、自己と世界の関係の総点検すること、だそうな。自らの枠組みを揺さぶるため、いかに仏教を活用するかが伝授される。
辻 佐保子『「たえず書く人」辻邦生と暮らして』(中央公論新社)
妻として間近で見た小説家・辻邦生さんの素顔と作品が語られる。各作品の着想や執筆における試行錯誤、そして評価に至るまでが丁寧に綴られ、資料としても貴重なものだ。仕事に集中する姿を、息継ぎをしては水面に潜る「水中生物」にたとえる清冽な文章が、作品の再読へと誘う。
以下は、それぞれに「よく効くわい」と思った近刊エッセイ。我ながら、雑読系だなあ。
水野雅士『シャーロッキアンの放浪三昧』(青弓社)
ホームズの熱烈なファンをシャーロッキアンと呼ぶ。水野さんは日本シャーロッキアン協会を率いる人物。この本には、世紀の探偵物語を教養文学として精読した成果がある。ホームズの観察力、推理力、情熱、誠意といった人間像。ヒーローでもある脇役ワトソン。事件の陰の英国ファッション。百年前の架空の人物が見事に立ち現れる。
柴田元幸『それは私です』(新書館)
英米文学の翻訳や『生半可な学者』などのエッセイでファンの多い柴田さん。日常のなかの“ちょっとヘン”なエピソードが並ぶ脱力系エッセイ集だ。自ら「妄想度が高い」という柴田さんだが、アメリカの借家で複数の“自分の幽霊”に遭遇する話など絶品。多数の挿画というか似顔絵漫画もまた楽しい。
釈 徹宗『いきなりはじめる仏教生活』(バジリコ)
著者の釈さんは、寺の住職にして大学准教授。専門は宗教思想だ。この本は映画や漫画も引用しながらの、平易にして愉快な仏教生活入門エッセイである。正しい仏教生活の極意は、世間を相対化し、自己と世界の関係の総点検すること、だそうな。自らの枠組みを揺さぶるため、いかに仏教を活用するかが伝授される。
辻 佐保子『「たえず書く人」辻邦生と暮らして』(中央公論新社)
妻として間近で見た小説家・辻邦生さんの素顔と作品が語られる。各作品の着想や執筆における試行錯誤、そして評価に至るまでが丁寧に綴られ、資料としても貴重なものだ。仕事に集中する姿を、息継ぎをしては水面に潜る「水中生物」にたとえる清冽な文章が、作品の再読へと誘う。
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