碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

先行上映で観た『007 慰めの報酬』

2009年01月18日 | 映画・ビデオ・映像
24日(土)から公開される映画『007 慰めの報酬』を、つい待ちきれなくなり、<先行上映>で観てきた。

前作『007 カジノ・ロワイヤル』では、6代目ボンドであるダニエル・クレイグがなかなかよかった。

それは、クレイグのボンドが不死身のスーパーマンではなく、身体を張ったというか、生身のアクションというか、“人間ボンド”としてそこにいたからだ。作品的にも面白かったし。

さて、新作。

お話は「前作の1時間後」から始まる。気分は続編だ。

前作で愛する女性を死なせてしまったボンドは傷ついている。でも、スパイに私情は禁物。真相を追って、また疾走を開始する。

アクション、アクション。今回もクレイグは体当たりだ。世界各地に飛ぶのも、いつも通り。

ただ、何だか興奮しない。“わくわく感”が少ない。なぜだろう・・・。

ターゲットの<悪役>が、慈善団体を隠れ蓑にして、裏でやっているであろう<悪事>が、その「中身」と悪の「度合い」が、どうもうまく伝わってこない。

それから、ヒロイン(かつてはボンド・ガールといった)も、幼いころに両親を殺された元諜報員という、ややヘビーな設定。“復讐と任務”の間で悩むボンドとの相乗効果(?)で、映画全体のトーンを暗めにしている。

ヒロインを演じるウクライナ出身のモデル、オルガ・キュリレンコも、美女なんだけど仏頂面ばかりが印象に残る。少しは笑顔も見せてくれ!(笑)

「ショーン・コネリー時代」とまでは言わないが、もう少し、明るさや余裕、ユーモアがあってもいいんじゃないか。リアルな諜報活動、アクション、そしてユーモア。要はバランスの問題だ。

ボンド映画に何を求めるか、ってことかもしれないけど、うーん、今回は、正直言って、見終わると、ちょっと疲れた。


そうそう、本当は前作を“おさらい”してから観にいくつもりだったが、いきなり映画館に出向いたため、すっかり前の物語を忘れていた。

これが結構ハンデとなり、映画のはじめのあたり、ずんずん進んでいく展開に気持ちが入っていけなかった。

これから観る人は、必ず「カジノ・ロワイヤル」のDVDなどをレンタルし、復習(予習?)しておくほうがいいです。

007 カジノ・ロワイヤル [DVD]

ソニー・ピクチャーズエンタテイメント

このアイテムの詳細を見る