碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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テレビ愛知「やらせ問題」

2009年01月31日 | テレビ・ラジオ・メディア
困ったなあ。ほんと、困った。

テレビ愛知の<やらせ>問題である。

今どき、って、つまり「あるある」以後という意味だけど、「相変わらずテレビはそんなことやってんのかい!」と世間から言われるってことが分かっていない。

しかも、今回の<やらせ>、はっきり言って、セコいのだ。ダサいのである。

番組は、「松井誠と井田國彦の名古屋 見世舞 ( みよまい ) 」。その企画コーナーだ。

一般素人さんの通行人にインタビューするつもりが、うまく捕まらなかった。そこで、女性スタッフを“通りがかり”の素人に仕立てる。

で、ここからが笑っちゃうのだが、オンエアで彼女たちの名前を実名でテロップ表示。しかも、番組の終わりにも“いつも通り”スタッフの名前を流したというのだ。

視聴者がそれに気づく。「あれ? さっきインタビューに答えていた人と同じ名前じゃないの?」って。

何とも“お間抜け”な<やらせ>であり、別にニュースや報道系の番組ではなく、ローカル放送の深夜バラエティなんだけど、発覚しちゃえば、「やらせ問題」と言わざるを得ない。

しかも、最初、テレビ愛知は自社サイトで「収録当日、予定時間内にインタビュー相手を確保できなかったため、制作会社が本人たちの了解を得て、出演させた」と説明。いかにも制作会社の責任、というニュアンスだった。

ところが、すぐに前言を翻す。「収録現場に、社員もいた」と言い出したのだ。目の前で行われている初歩的(低レベル)な<やらせ>を、いわば黙認していたわけだ。

<やらせ>にもレベルはあるのだ。制作会社の人間も、局の人間も、揃いもそろって・・・。

凋落、陥落の烙印を押され始めたテレビ界だが、それを後押しするような出来事だといえる。

「没落しつつあるから、その程度の人材」なのか、「その程度の人材だから、没落していく」のか。うーん、本当に情けない。