碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「白い想い出」の想い出

2009年01月10日 | 舞台・音楽・アート
昨日は寒かった。

大学のある八王子郊外の気温は、都心と比べて体感で2~3度は低い。久しぶりで傘をさしながらキャンパス内を歩いていると、ハイファイセットが歌った「冷たい雨」が思い浮かんだ。

それが途中からみぞれになり、ついに白いものが降ってきた。

「初雪」というのは、その年の冬の最初の雪だけど、1月なので、“なんちゃって初雪”気分だ。

続々と降ってくる結構大柄な雪片を眺めていたら、今度は別の曲を思い出した。

45年も前の曲で、記憶が怪しいが、こんな歌詞だ。

  雪が降ってきた ほんの少しだけど
  私の胸の中に 積りそうな雪だった
  幸せをなくした 暗い心の中に
  冷たくさびしい 白い手がしのびよる

誰が歌っていたのか。複数の歌声を記憶しているから、当時、いろんな人がカバーしたんだろう。曲のタイトルは「白い想い出」という。

で、この「白い想い出」の作者だが、作詞・作曲ともに山崎唯(ただし)さんなのだ。

山崎さんの名前で反応するのは、ある年代以上のはず。実は、人気<人形劇>というか、人気<人形キャラ>だった「トッポ・ジージョ」の声を演じた役者さんだ。いや、役者だけでなく音楽家であり、タレントさんだった。

トッポ・ジージョの声の山崎さんが、あの、ほどよくセンチメンタルで、やさしく胸にくる”隠れた名曲”を作っていたなんて・・・。

山崎さんが90年に亡くなっていたことも最近まで知らなかったが、この「白い想い出」は、毎年、雪を見ると必ず思い出す。

この曲と同時に高校時代の雪の日を思い出すし、また大学時代に見た東京の大雪の風景も甦る。

八王子のキャンパスで初めて見た雪は、しばらくすると、またみぞれに変わってしまった。

「白い想い出」の2番は、

  雪が溶けてきた ほんの少しだけど
  私の胸の中に 残りそうな雪だった

というものだったはずだ。

一夜明けて、今日は冬空に陽が射している。