碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『D坂の殺人事件』の”現場”へ

2009年08月21日 | 本・新聞・雑誌・活字

池袋から千駄木へと移動。

団子坂を歩く。

『D坂の殺人事件』は、明智小五郎が初めて登場する作品である。

その「D坂」とは、団子坂のことだ。

退屈を持て余す「私」は、明智小五郎と一緒に喫茶店にいて、アイスコーヒーなんか飲んでいる。

そして、道の向かいにある“古本屋”で起きた殺人事件に関わることになる。

当然のことながら、今の団子坂で、乱歩とその世界を探すことは困難だ。

「団子坂下」と「団子坂上」を何度か往復しながら、想像上で、明智たちの“冒険”を再現してみる。

古本屋の、ちょっと色っぽい女将さんの姿も、見えるといいのだが・・・。


D坂の殺人事件 (創元推理文庫)
江戸川 乱歩
東京創元社

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江戸川乱歩の土蔵、再訪

2009年08月21日 | 本・新聞・雑誌・活字

池袋に行ってきた。

目的地は、立教大学の近く、旧江戸川乱歩邸である。

中学生の息子の夏休みの課題で、戦前までの文学作品を1つ選び、その“ゆかりの地”を訪ねるというのがあり、彼に付き合ったわけだ。

乱歩の『D坂の殺人事件』を選んだので、まずは乱歩の“伝説の土蔵”を訪ねたのである。

以前、フジテレビ『ワーズワースの冒険』で乱歩を取り上げて、「乱歩が見た夢」という1本を制作した。

その際に、荒俣宏さんと一緒に、この乱歩邸に撮影に来ている。

懐かしい。

当時は、乱歩の息子である平井隆太郎先生もお元気で、乱歩の書斎でインタビューをさせていただいた。

「乱歩は、土蔵の中で、ロウソクの火を頼りに原稿を書いている」という“伝説”について、隆太郎先生にお話をうかがったのも、貴重な体験だ。

今、その書斎も、資料がぎっしり詰まっていた土蔵も、立教大学の管理となっている。

土蔵は、幻想とも怪奇とも無縁のような8月の日差しの中、そこにあった。

それでも、乱歩が最も愛した場所としての“オーラ”は、十分に感じられた。