『日刊ゲンダイ』に連載しているコラム「テレビとはナンだ!」。
今週は、NHK「歴史秘話ヒストリア」について書いた。
見出し:
NHK大阪が東京に意地を見せつけた「歴史秘話ヒストリア」
コラム本文:
先週のNHK「歴史秘話ヒストリア」を見ていて感心した。
正岡子規を取り上げていながら、「坂の上の雲」や秋山真之には何も触れなかったからだ。
「ヒストリア」を制作している大阪放送局の東京に対する“意地”かもしれないが、民放的なマルチ展開型番組宣伝とは一線を画した姿勢が気持ちよかった。
番組の軸は子規と彼を支えた友人たちの交流。特に夏目漱石との友情が印象に残った。
有名な「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の句。
子規が実際に聴いたのは東大寺の鐘だったという話はどこかで読んだ記憶があるが、この句に込められた漱石への思いについては今回初めて知った。
この番組、「その時歴史が動いた」の後継企画ではあるが、雰囲気は相当違う。「教えてやろう」的な“上から目線”が消え、歴史上の人物たちとカジュアルに付き合える。
それを支えているのが案内役の渡邊あゆみアナウンサーだ。
鮮やかな和服姿に半世紀に及ぶ女の人生を包み込んで、艶然と微笑んでいる。
落ち着いた声と語り口が心地いい。「女子アナ30歳定年説」などという不条理をあざ笑うかのようだ。
民放では制作費削減で有名キャスターやフリーアナのリストラが続く。
抜けた穴は、社内の人的資源の有効活用で埋めたらいい。渡邊あゆみアナを見ていて、そう思う。
・・・渡邊アナを見るたび、つい黒田アナと言いたくなる。黒田は、テレビに登場した独身時代の苗字だ。
その後、結婚して久能木アナになり、離婚・再婚を経て、現在の渡邊あゆみアナとなった。
コラムで「半世紀に及ぶ女の人生」と書いたのは、何かとハンデを背負うことが多い女子アナにも、豊富な人生経験を生かして活躍を続ける人がいて欲しいと思ったからだ。
拝啓、渡邊あゆみ様。“中年女子アナの星”として、頑張ってください。