碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ「深夜食堂」が終わるのは、ちょっと寂しい

2009年12月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

「日刊ゲンダイ」の連載コラム「テレビとはナンだ!」。

今週はTBSで放送中のドラマ「深夜食堂」について書いた。

企画:アミューズ、毎日放送
制作:アットムービー・クリエイティヴ
製作:「深夜食堂」製作委員会

原作は「ビッグコミックオリジナル」で連載中だが、初回からずっと愛読している。

ドラマ化ということで、オンエア前はどんな具合になるのかと期待半分、不安半分だった。

しかし、なかなか上手に雰囲気を“移植”していて、ひと安心。

最近は少ない30分ドラマという枠設定もよかった。

テレビ草創期には、「月光仮面」も「隠密剣士」もみんな30分だった。

いつの間にか連ドラは1時間が当たり前になってしまったが、中身の薄いものを無理に60分も見せることはない。

モノによっては、30分という長さがピッタリなドラマもあるのだ。

水曜深夜のお楽しみだった「深夜食堂」も、今週、最終回を迎える。全10回と決まっていたとはいえ、ちょっと寂しい。


見出し:

「こんな食堂があったら」と思わせるTBSの深夜ドラマ

コラム本文:

今期、密かに楽しんでいるドラマが「深夜食堂」(TBS)だ。

街の片隅で、深夜0時から朝7時まで営業している食堂が舞台。

顔に傷のある、ちょっとコワモテ風な男がマスター(小林薫)だ。

メニューは豚汁定食のみだが、客が頼めばカツ丼でもお茶漬けでも大抵のものは作ってくれる。

とはいえ、物語の主人公はマスターではない。なぜかワケありばっかりの客のほうなのだ。

彼らはこの店に来て、好きなものを注文し、少し酒を飲み(1人3杯までが店の決まりだ)、マスターを相手に浮世のあれこれをポツリと語ったりする。

マスターはほとんど黙って聞くばかりだ。そこがまたいい。

先週は小粋な老婦人(りりイ、好演)が登場。熊本から一人でやってきて東京に滞在しているらしいが、詳細は語らない。

店の常連でストリッパーのマリリン(安藤玉恵)と仲良くなる。ある夜、昔の男と出くわして辛い思いをしたマリリンに朝までつき合う。

実はこの老婦人・・・。
 
「こんな食堂があったらいいなあ」と大人だったら思うはずだ。

ドラマは原作コミックの味を十分に生かしつつ、ドラマならではの余韻を残す。30分の長さもちょうどいい。

しかし、この「深夜食堂」は今週で“閉店”だ。

最終回では、店の常連である謎の男(オダギリジョー)の正体も明かされるかもしれない。
(日刊ゲンダイ 2009.12.15付)