碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

また一つ、“有り得ない”事件が・・・

2010年06月23日 | 日々雑感

昨日、広島のマツダの工場で、元派遣社員がクルマで従業員11人を殺傷した事件。

容疑者は「4月に解雇された。会社に恨みがあった」と供述しているらしいが、詳しい動機は、まだ分からない。

驚いたのは、容疑者が人をはねたクルマが、マツダの「ファミリア」だったことだ。

この事件の報道では、最初から「ファミリア」の名が出ていた。

「ファミリア」は、1963年から40年間も生産されていたクルマで、名前通り、マツダのファミリーカーだった。

容疑者が乗っていたのが何年式なのかは不明だが、自社製品を“凶器”として使われることほど、企業にとって辛いことはないだろう。

しかも、容疑者はかつて働いていた人間で、クルマという“凶器”が向けられたのは、現在働いている人たちなのだ。

マツダへの強い恨みを感じる。

しかし、どれだけ恨みがあったとしても、何人もの人を、無差別にクルマではね飛ばすだろうか。

また一つ、“有り得ない”事件が、有り得てしまったという気がする。

<言葉の備忘録>16  内田樹・石川康宏『若者よ、マルクスを読もう』

2010年06月23日 | 言葉の備忘録

内田樹さんの著書を、私は“ウチダ本”と呼んでいる。

ウチダ本は、「書店で見かけたらオートマティックにレジに持参する」という強い作用を持つから注意が必要だ(笑)。

新たなウチダ本『若者よ、マルクスを読もう~20歳代の模索と情熱』(かもがわ出版)は、神戸女学院大学の同僚である石川康宏教授(経済理論)との共著。

なんと、「高校生向けに書かれたマルクスの案内書」である。

いや、高校生じゃなくても、若者じゃなくても、マルクス入門者も、再入門者も、アンチ・マルクス者だって、来る者を拒んだりしない。

そして、私たちが高校生の頃、こんな本があったらよかったのに、と本気で思います。


マルクスはぼくの問題を解決してくれない。けれども、マルクスを読むとぼくは自分の問題を自分の手で解決しなければならないということがわかる。
――内田樹・石川康宏『若者よ、マルクスを読もう~20歳代の模索と情熱』