碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

<言葉の備忘録>15 瀬戸内寂聴『美は乱調にあり』

2010年06月21日 | 言葉の備忘録

小説『美は乱調にあり』が書かれたのは、今から45年前の昭和40年。

瀬戸内寂聴さんが、まだ瀬戸内晴美だった頃だ。

先日、この本が著者88歳の米寿記念として、角川学芸出版から“復刊”された。

関東大震災の際、アナーキスト・大杉栄と共に殺害された伊藤野枝の伝記小説である。

伊藤野枝は、「青鞜」最後の編集者であり、亡くなった当時28歳。大杉は38歳だ。

初めて読んだ時、内容だけでなく、この「美は乱調にあり」のタイトルが鮮烈、衝撃的だった。

大杉の言葉を、瀬戸内さんがアレンジしたものだが、このたびの復刊版でも、表紙をめくった扉ページに「原文」が掲げられている。


美はただ乱調にある。諧調は偽りである。
――大杉 栄『生の拡充』

江川紹子さん「サンモニ」降板問題

2010年06月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

某テレビ局で長年ディレクターをしている元“教え子”から届いたメールに、以下のような質問が添えられていた。


江川紹子、張本勲+TBSのPによってサンモニ降板(一時休養)させられるの件、どう思います?

そのうちコラムで書きそうな気もしますが(笑)、せっかちなんでいち早く感想が訊きたいです。

現場の作り手のひとりとしては、一方の演者を守り通す気概のなかった現場トップに怒り心頭ですね。

演者の盾になる覚悟のない人間がサブにいる資格はない。なんてね、、、


・・・・で、私は以下のように回答した。


「サンデーモーニング」の件は、やはりトホホな話だよね。

ユーチューブでオンエアのその場面を見たけど、私があの番組のプロデューサーだったら、以下のように思ったはず。

例によって、それがあの番組における役割であり芸風とはいえ、やや理不尽ともいえるような一方的な「喝!」を主張した張本氏。

それに対して、江川さんが、視聴者を意識したかどうかはともかく、結果的には一種テレビ的な“バランス”をとる意味の発言をしてくれたわけで、プロデューサーとしては「ありがとう」と言いたいところだ。

そして、張本氏からクレームがあった時も、上記のように江川発言はテレビ的な”バランス”だった、という説明をしたと思う。

それで張本氏が番組に出ないと仰るなら、冷静になっていただくまでご遠慮願うかも。

だって、番組の視聴者は張本氏だけを見たいわけじゃないから。

しかし、TBSはああいう対応をした。

ならば、フリーランスの江川さんには自分を守る権利がある。

ツイッターでの周知は、電波塔を持たない江川さんの自己防衛。

実際の経緯はどうあれ、世間が受け取ったのは、「張本氏の横車に押されて江川さんを切ったTBS」という印象だけだ。

損したね、TBS。


・・・・以上、江川紹子さん「サンモニ」降板問題の感想でした(笑)。