碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

<言葉の備忘録>8 内田樹『街場のアメリカ論』

2010年06月03日 | 言葉の備忘録

2005年に単行本として出た内田樹さんの『街場のアメリカ論』(NTT出版)が、先日「文春文庫」に入った。

この文庫版の「あとがき」で、内田さんは「二〇一〇年に読んでもわりとリーダブルだな」と自画自賛(笑)していらっしゃいますが、これは本当です(笑)。

いや、自国に置かれている“他国の軍事基地”の問題(だけじぇないけど)で、国家のトップの首が飛ぶような状況下では、ますます必読の書かもしれません。


改めてアメリカについて考えること、より厳密にはアメリカについて考えるときに日本人はどのように知性が不調になるのかについて考えることが要請されている
――内田樹『街場のアメリカ論』


鳩山・小沢ダブル辞任と報道

2010年06月03日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日の朝、大学で鳩山・小沢ダブル辞任を知った。

「うーん、なんだかなあ」と、やや脱力しつつも教室へ。

授業は「メディアと文化」で、ちょうどテレビ報道についての回だった。

「授業はライブだ」が持論なので(笑)、少し辞任問題と報道に触れた・・・・


ここしばらく、新聞もテレビも、政治報道の論調は「鳩山さん、辞めなさい」だった。

もちろん、「普天間」問題やら「政治とカネ」の問題やら、突っ込み処は山ほどあったのは確かだけど。

ならば、新聞やテレビは、日本を自民党時代に戻したいのか?

というか、読者や視聴者がそう思わざるを得ないような調子だった。

で、ホントに辞めちゃった(笑)。

すると、新聞やテレビは「8カ月で辞めるとはナンだ」とか「政権交代はナンだったんだ」とか言っている。

「あなたたちは、どうしたいのさ?」と聞いてみたくなる。

ここしばらく鳩山政権の支持率(マスコミの調査による)はぐんぐん低下していたが、それを“世論”だ、“国民の声”だと単純にいえたのかどうか。

なぜなら、新聞・テレビなど大マスコミによる、「倒すぞ、鳩山政権」猛烈キャンペーンともいうべき報道が続いていたからだ。

マッチポンプとは言わないが、かなりの世論誘導だった。

というわけで、鳩山降ろしが実現した。

今後、新聞・テレビは、どんな報道を展開するのか。

まずは民主党の代表選挙というイベントで耳目を集め、その結果でまたしばらくは読者・視聴者を引っ張ることになる。

そして7月には参院選だ。

今、我々に必要なのは、マスコミが伝える流れに身を任すのではなく、まさに自分のアタマで考えることだと思う。


・・・・というような話をして、授業の“本編”へと入っていったのでした。