碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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TBS「革命×テレビ」は、テレビ界に革命を起こせるか

2010年06月05日 | テレビ・ラジオ・メディア

「テレビとユーストリームとツイッターを連動して世界の様子を生中継」というフレコミの新番組「革命×テレビ(かくめいてれび)」が始まった。

TBS、日曜よる11時半からの30分。

司会は雨上がり決死隊と小林麻耶である。

タイトルがすごい。

なんてったって「革命テレビ」である。

番組名に「革命」の文字は珍しい。

しかもサブタイトルには「地球同時多発情報SHOW」とある。

「同時多発」も、その後につい「テロ」と続けてしまうほど、今や負のイメージが強い言葉だ。

さらに画面右隅には「世界の“今”を伝える革命的生放送です」と表示。

これはもう、相当なことをやってくれる、いや、やってくれないと視聴者は納得しないだろう(笑)。


さて、注目の第1回はどうだったのか。

繰り返すが、その革命たる所以は「テレビとUstream(ユーストリーム)とTwitter(ツイッター)の連動」である。

ユーストリームは生中継が出来る動画配信サービスだ。

「今世界では様々な面白いこと、すごいことが起きているんです。それをお見せしちゃう」と興奮気味の小林麻耶。

雨上がり・宮迫も「生放送で革命起こそうぜ!」とテンションだけは高い。

ただし、肝心の「世界8か所生中継」はモンゴルの飯屋とアメリカの浜辺で、後は新宿の居酒屋から若手芸人の打ち上げばかり“生中継”していた。って、おいおい(笑)。

確かに画面にはウランバートルにいる朝青龍が出てきた。

だが、画質が悪く、音声も聴きづらく、しかも途中で切れてばかり。

アメリカからはカブトガニを“生中継”したのだが、昼間なので動かない。

結局、事前収録された「夜のカブトガニ」を見せられた。

ただ、これが異様に大量のカブトガニで(笑)、ちょっとびっくり。

「最初からこのVTRを流せばいいのに」と、見ている誰もが思ったはずだ。

現地からレポートするのは、 “あまり忙しくない”若手お笑い芸人たちで、これが「革命特派員」と呼ばれる。

「世界笑える!ジャーナル」(TBS)における「芸人ジャーナリスト」と同じパターンだ。

また、突然小林が「ここからはニュースです」と言ってiPadを取り出す。

で、そのiPadの画面をカメラが映すのだが、さすがにカメラ経由では、文字を読むのはつらい。

そもそも報道セクションを持つテレビ局が「ヤフー・ニュース」を読み上げてどうする?という気もするが(苦笑)。

ツイッターも使っていることを強調すべく、茂木健一郎やハマコーのつぶやきを紹介するが、番組の中身としては、ほとんど意味がなかった(笑)。


テレビとユーストリームとツイッター。

新しく出てきたメディア・ツールを、番組に生かそうとすること自体は悪くない。

要は、その生かし方だ。

互いの相性や、組み合わせの妙もあらばこそ、ただ取ってつけただけという“無理やり感”と“安直さ”が、何とも情けないのだ。

特にユーストリームに関しては、そのメディアとしての可能性を“矮小化”しているとさえ思う。

この番組はソフトバンクの一社提供であり、まあ、番組全体が30分のCMみたいなもので、そう簡単には止めない(打ち切らない)かもしれない。

6日の第2回目は相当の“修正”をしてくるとはいえ、「これで毎週の生放送、大丈夫?」と、ついつい“革命”の行方が心配になる新番組でした。